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意外と知らないローカルフード
2025.04.28. | 

【宮城】宮城・仙台でエイプリルフールに食べたいものとは!? | 意外と知らないローカルフード

食の歴史や文化、そして土地の魅力がぎゅっと詰まった“地域の味”を再発見して楽しく紹介する「意外と知らないローカルフード」。このコーナーでは“誰もが知っているあのメニュー”ではなく、知る人ぞ知るローカルフードや、昔から変わらないその土地ならではのこだわりの逸品、時代を超えて今もなお愛される一皿、その「食」の背景にある物語をひも解きながら、その地域ならではの味とは何なのかをカジュアルにお届けします!

第5回目の今回は『宮城』。4月1日はエイプリルフール。この日だけはウソをついてもよいという風習にちなんで、ウソのようにおいしいローカルフードが食べたい……そんなとき、北風に乗って宮城・仙台のとあるローカルフードの噂が舞い込んで来ました!

三大ご当地グルメに肉薄する一皿。

宮城県といえば、東北最大の都市として知られる仙台市が真っ先に浮かぶ人も多いはず。緑豊かな街は「杜の都」と呼ばれ、ご当地グルメも充実しています。おいしいものに事欠かない仙台市で、誰もが知る三大ご当地グルメ「牛タン」「笹かまぼこ」「ずんだ」に食い込む新たな逸品があるのか、半信半疑のまま調べていると、地元民にひそかに愛されているローカルフード「仙台マーボー焼そば」を発見。

10数年前からその存在が知られるようになり、ちょっとしたムーブメントも含めて(笑)、ご当地グルメとして頭角を表しているといいます。

さて、この「仙台マーボー焼きそば」。焼きそばや揚げた麺に麻婆をかけるという、その名の通りの料理ですが、面白いのはこのメニューの誕生からローカルフードとして広がるまでのエピソード。調べるほどに、エイプリルフールで話したくなるようなストーリーが隠れていました。

 

「ケンミン食だ」というウソから始まった!

今から12年前の2013年3月某日。日本全国の県民性やグルメなどを紹介するあの国民的番組で、仙台市のとある中華料理店のメニューの一つであるマーボー焼きそばが紹介されました。ただ紹介するだけでなく、いかにもこの番組らしく、大げさに、もっともらしく「仙台市民はみんな食べている!」と。

しかし、この紹介はやりすぎでした。むしろ、嘘と言っても過言ではないほどです。
そもそもこのマーボー焼そばは、店のまかないとして食べられていたもので、常連客には評判が良かったものの、1日にせいぜい1、2食提供される程度のメニューだったのです…。

最近ではオールドメディアと言われたりもしますが、テレビの力は偉大です。もちろん放送当時、SNS上では「そんな話聞いたことない」というケンミンからの書き込みが相次ぎましたが、翌日、当の中華料理店ではマーボー焼きそばのオーダーが殺到。
1日1、2食しか出なかったこのメニューが、ピーク時には300食も提供されたとか。

その店を中心に、「仙台マーボー焼そば推進委員会」なる団体も生まれ、今では県内の多くの中華料理店で提供される、ご当地定番グルメになっています。
まさに嘘から出たまこと…フェイクニュースが、リアルニュースになってしまったのです!

 

アレンジと広がりがダテじゃない!

いまや仙台マーボー焼きそばを提供する店舗は、推進委員会認定店で40店舗超、それ以外を合わせると100店舗以上と言われています。エリアも、発祥の仙台市内にとどまらず、宮城県内全域に広がっているそう。そんな仙台マーボー焼きそばの定義は、以下の3つとされています。

・麻婆を使い、具は豆腐に限定しない。
・麺は焼くか、揚げたものとする。
・宮城県中華飲食生活衛生同業組合の認定人が認定したものとする。

つまり、この3つさえ守れば、あとは自由。各店ごとに特色ある「仙台マーボー焼そば」が生まれています。特に、麻婆の違いは顕著で、定番の豆腐やナスのほか、海鮮を使ったものや仙台味噌を隠し味にしたもの、辛さを選べるものなど、料理人の腕の見せ所と言わんばかりに無限の広がりを見せています。

「少しも料理心なきはつたなき心なり(料理の心得がない人は心が貧しい)」とは宮城県を代表する戦国武将・伊達政宗が料理について残した言葉です。研究熱心な彼は、自ら献立を作り、台所に入って料理をし、美食の道を極めたといいます。

政宗公の意志を継ぐ宮城の料理人たちが提供するさまざまな仙台マーボー焼きそばは、どれもダテじゃない美味に違いありません。

 

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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