2019.11.19. | 

うなぎみたいなのにうなぎじゃない?Mo:takeの不思議なヴィーガン・ケータリング「MODOKI」

パーティーやイベントに出かけた時、ケータリングの食事が出てくると気分が上がりませんか?プロがその場で提供してくれる、おいしさと非日常感が魅力のケータリングサービス。中でも、Mo:takeが手がける「グラン・ケータリング」は、食べる人の感性に訴えかける、わくわくするような体験とセットで提供されています。

そんなグラン・ケータリングの新メニュー「MODOKI」が提供する体験は「錯覚」。「日本×ヴィーガン」をテーマに、目の錯覚、食感の錯覚を楽しむことを意図したという「MODOKI」について、ヘッドシェフの坂本さんにお話を伺いました。

「本物そっくり」のポイントは見た目と食感

伺ったのは「MODOKI」のメディア向けお披露目会。秋をイメージしたテーブルセッティングの中に、うな重、焼き鳥、酢豚にチキン南蛮、ハンバーガーと、日本の食生活にとけこんだ、おなじみの料理が並びます。「ヴィーガン料理」とは、肉・魚はもとより卵やミルク、ゼリー等に至るまで、動物性の材料を完全に排した料理のことだそうですが・・・坂本さん、これ、ぜんぶ本当にヴィーガン料理なんですか?

 

坂本さん:そうなんです。たとえばこのうな重、ちょっと食べてみてください。

 

さっそくいただいてみました。見た目は完全にうなぎです。口に入れてみると、うなぎらしいふわっ、とろっとした食感ながら、うなぎとは違う味わいが広がります。見た目と味のギャップに、一瞬「あれっ?」と不思議な感覚になります。

 

坂本さん:これは、うなぎの代わりに大豆や山芋、れんこん等をまぜたものをベースにしています。皮のところは海苔で作っているんですよ。

 

見た目はもちろん、食感を似せるためにかなりこだわったという坂本さん。

 

坂本さん:ヴィーガンの世界では、肉や魚の代わりにソイミートという既製品を使うのが一般的です。でもぜんぶソイミートにしちゃうと、食感が一緒になっちゃってつまらない。うなぎならうなぎのとろとろ感、酢豚なら酢豚のしっかりしたかみごたえを出したかったんです。本来の料理の食感に合わせて、ソイミートを使ったり、高野豆腐や車麩を使ったりと、バラエティを持たせています。

体質や食習慣に関わらず、そこにいる人みんなが囲めるテーブルを

「動物性のものは食べない」という選択をする人が、今、日本国内にも増えてきています。さらに2020年のオリンピックを控えた今、外国人訪問客の多様な食のニーズに応えていこうとする流れは、飲食業界共通のものになっているように見えます。実際、Mo:takeでも「メニューの中にヴィーガン料理を何品か入れて欲しい」というご依頼が増えてきているのだそうです。

そうした声に応えているうちに、坂本さんはあることに気づいたと言います。

 

坂本さん:普通のメニューの中にヴィーガン料理を何品か入れるスタイルだと、ヴィーガンの人はそれしか食べられないんですよね。食べ物で人が分かれちゃう。でももしぜんぶがヴィーガン料理だったら、ヴィーガンの人もそうでない人も同じ料理を食べられますよね。体質や宗教上の理由等を問わず、誰もが同じテーブルを囲めるようにしたかったんです。

 

お肉もお魚も大好きなわたしは、ヴィーガン料理に対して、「体にも環境のためにもいいんだろうけれど、おいしさや楽しさは二の次」というイメージをもっていました。わたしのようなタイプの人は、パーティーに出かけて、そこにヴィーガン料理のコーナーがあったとしても、たぶん食べないだろうと思います。でももしそれが「MODOKI」のお料理だったら、興味を惹かれて食べてみたくなるだろうし、そこにいる人たちみんなで「ほんとにうなぎみたいですね」とか「おいしいですね」とか、わいわい言いながら楽しめるだろうな・・・そんな気がしてきます。

 

坂本さん:これまでヴィーガン料理に抵抗があったという人にこそ食べてもらいたいんです。実際、どんなものかを知らない人も多いと思うんですよね。そういう人たちがヴィーガン料理に触れるきっかけにもなったらいいなあと思っています。

「MODOKI」はおいしくて楽しい現代版の精進料理

日本の伝統的な精進料理の中に、豆腐などを用いた「もどき料理」というものがあります。肉や魚が食べられないお坊さんのために、見た目だけでも楽しめるように、と考えられたものだそうです。

 

坂本さん:「MODOKI」には、現代的な精進料理、という意味もこめています。精進料理だけど、おいしい、楽しい。そういうのがいいと思っていて。

 

「うなぎに見えるけどうなぎじゃない」「酢豚に見えるけど実は車麩でできている」、そんな「錯覚」の体験は、たしかに魅力的です。楽しく食べられて、しかもおいしい、というのは、食べる側としてはとても嬉しいことです。

一方で、「食」の世界を見渡すと、食材にこだわり、産地や素材の高級感を訴える売り文句が飛びかっています。坂本さんは、そうした常識をあえて外していこうとしているように見えます。

 

坂本さん:有名な産地のいい食材なら、ある程度、誰が調理したっておいしいわけですよね。でもぼくら料理人のやることって、目の前にある食材をいかにおいしく調理するかということだと思うんです。素材がどれだけ高級でも普通でも、素材の良さを最大限に引き出しておいしいものをつくっていくのが役目だと思っています。Mo:takeの場合はそこにさらに「面白さ」というのが加わります。そこは、ぼくたちが大切にしている軸でもあります。

 

Mo:takeへのご依頼で、特徴的なことがあるそうです。

 

坂本さん:「このイベントのテーマがこういうものなので、テーマに絡めた料理をご提案いただけますか」というご依頼がとても多いんです。ぼくらみたいな立ち位置のサービスを求めてくださっていることが感じられて、嬉しいですね。

 

「食」を通じてワクワクするような体験を提供し続けるMo:takeらしさがつまった新メニュー「MODOKI」は11月1日から本格スタート。これからの展開が楽しみです。

八田吏

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。