2020.08.04. | 

[Vol.3]「突き抜けたケーキを作りたい」お菓子プロデューサーの実験と挑戦

ただ単純に美味しいだけじゃない。スイーツの既成概念にとらわれないユニークなお菓子を提供する国分寺のケーキ屋さん「Ngram(エヌグラム)」。
ケーキを求めている人を満足させることはもちろん、そうでない人にもケーキの魅力を届けたい。そんな思いから、オーナーの生野さんは試行錯誤を続けています。

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クラシック音楽とパティシエの意外な共通点 

生野さんは現在、クラシック音楽財団の理事としても活躍中です。お菓子作りとクラシック音楽。全く異なるこの2つには、意外な共通点がありました。

 

生野さん:音大生は毎年1万人ほど卒業するのに、クラシック音楽を聞いてる人は40万人位です。小さい頃から、寝る間も惜しんで練習をして、プロになります。もちろん、演奏技術はすごい人たちです。にもかかわらず、卒業後は「演奏する場がない」と嘆いています。そんな彼らに演奏する場を提供しよう、と財団ができました。当時、私が運営していたカフェにて、財団の協力を得て毎月演奏会を開いていました。財団が立ち上がる際に、現場運営の意見を求められ理事にしていただきました。

 

一人1,000円というお手頃なお値段、子供は無料。カフェで開催した演奏会は大人気になったそうです。
「技術をもったプロがいる」ということだけでは、なかなか流れがつくれないのは音楽もお菓子も同じ。プロと「食べたい人」「聴きたい人」を繋ぐプロフェッショナルが必要となる理由が伺えます。

 

生野さん:パティシエも、何年も修行して技術を習得します。けれど、いざ店を出しても、売り方がわからないとその良さを伝えられないんです。そこがパティシエと音楽家の共通点ですね。
音楽に興味がない人でも、良い演奏を聞けばその価値や感動が伝わるんです。だからまず、出会ってもらうことが大事です。音楽家から「聞いてください」とお願いされるよりも、お気に入りのカフェの店長が勧めてくれるほうが、聞いてみようかな、という気になるじゃないですか。

 

出会いさえすれば、価値は伝わる。音楽もお菓子もそれは同じこと。価値のあるお菓子と「食べたい人」との出会いをもっと作り出していきたいと、熱く語ってくださいました。

山の上で、ウェディングで、非日常なスイーツを提供したい。

生野さん:Mo:takeさんとは、昨夏の大きなケータリングイベントでコラボさせていただきました。この時は、常温で提供できるアップルパイやジャムロームを 1,600 個作りました。

 

ケータリングの食事で、職人のこだわりが詰まったケーキがデザートに出てきたら嬉しいですよね。今後やってみたいことについても伺いました。

 

生野さん:ウェディングの二次会でデザートを作ってみたいですね。 Mo:take さんの食の横で、パティシエがデモンストレーションをしつつ、新郎新婦と一緒にケーキを組み立てたり、飴細工を披露する、なんてことが実現できたら楽しいな、と思います。

 

体験と美味しさがセットになった、ハレの日のスイーツ。想像するだけでワクワクしてきます。

 

生野さん:他にも、横浜にあるキャンプ好きが集まるカフェにも、山で楽しめるスイーツを提案させていただいています。冷凍のまま山に持ち込み、解凍された頃に山で食べられるんです。将来的には、キャンプの火を使って完成させるようなスイーツも作ってみたいですね。

 

ウェディングで、山の上で。非日常な空間に美味しいスイーツを届けたいという生野さんの思いが伝わってきます。

「お菓子のプロデューサー」である生野さんが、ケーキ屋で野菜を売る理由

「私が一番嬉しいのは、お菓子作りに携わる人々が繋がって、流れが生まれることですね。」と語る生野さん。そのひとつとして話してくださったのが、お店の片隅で行われている野菜販売のことでした。

 

生野さん:スタッフの実家が国分寺の農家というご縁で野菜を売っているんですよ。野菜を売ることで、普段はケーキ屋には来ないお客様も来てくださるので、地元の方とコミュニケーションも取れます。野菜の引力は凄いですね。

 

お客様の中には、「ケーキ買わなくてごめん!」と言いながら野菜だけを買っていくおばあちゃんもいるとか。

 

生野さん:今後は国分寺の野菜を使ったスイーツ作りにも挑戦したいです。例えば、野菜嫌いな子供でも食べれるほうれん草クッキーを作れたら、野菜好きな家族と子供を繋げることができます。人と人、野菜と人を繋げる、そんな繋がりをNgramで生み出して行きたいです。

 

今後のチャレンジについて、生き生きと語ってくださいました。そんな思いから生まれる野菜スイーツはどんな味なのでしょうか。食べてみたいですね。

グラム数にも、お菓子の材料にも、ケーキ好きなお客様だけにもとらわれない。Ngramはいわゆる「ケーキ屋さん」の概念を超えたお店でした。お菓子を求めていない人にもお菓子の良さを届けたいと、実験と研究を続けるNgram。そこからどんな面白いスイーツが生まれてくるのか、ますます楽しみです。

 

– Information –

Ngram本店
東京都国分寺市南町3丁目22−31島崎ビル 1F
042-316-8788
営業時間 11:00 〜 19:30  定休日 なし(不定休)

Ngram 国分寺マルイ店
営業時間 10:00〜20:30 (国分寺マルイの営業時間に準ずる)

HP : https://ngram.storeinfo.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/ngram_0g/
Facebook : https://www.facebook.com/0gram/

川口 香織

ライター / 川口 香織

1987年生まれ、東京都の下町出身。6 年間の英国留学により、イギリスかぶれの江戸っ子となる。8年間勤めた外資系 IT 企業では、一万件を超えるメール対応、ヘルプ記事の翻訳、マニュアル作成などにて「書く」を鍛えた。現在ファッションアドバイザーとして活動中。 趣味は古代ローマ史、パズルゲーム。心の声だだ漏れ系の育児ブログを書いている。