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コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2021.05.29. | 

[Vol.2]「食」からおもしろいプロジェクトが始まっていく。NOD溝端友輔さんが生み出す新しいまちづくり

日本橋で新しいアイデアを形にするプロジェクト「GROWND nihonbashi」を展開する株式会社NODの溝端友輔さん。関わる事業者さんのアイディアをサポートするため、溝端さん自身は日々、どんな挑戦をしているのでしょうか。またその先に、日本橋がどんな街になることをイメージしているのか、そんなお話をおうかがいしました。

事業性を考える仕組みづくりが
難しいし、おもしろい

複合ビル「GROWND nihonbashi」のプロジェクトを始める時に、難しいと感じたことはあるのでしょうか。

 

溝端さん:今回は、事業者の方のアイデアを活かせる環境を実現するために、仕組みづくりの部分に挑戦しました。このプロジェクトは2年間の期間限定ですが、短期間で再現性をもって事業を継続するためのコンテンツを育てるのは本当に難しいと実感しています。
継続可能な形にするために、たとえばキャッシュポイントを多く設定する必要が出てきますが、その組み立てとなるとすごく大変なんです。やりたいことを継続するためにいろいろなことに挑戦するのが難しいし、その分、おもしろいなと思います。

また、「HOT SAND LAB mm」は、20代半ばから30代半ばくらいの方を対象にお店づくりをしていたのですが、実際オープンすると、来店される年齢層が幅広いことに気づきました。たとえば、1日のうちでも午前中には60代の方が食事をされていたり、お昼には20代の方がランチされていたり。この年齢層の豊かさは日本橋ならではかもしれないですね。

 

今あるものから、
今までにないものを生み出す

溝端さんが2019年12月に設立した株式会社NODについても教えてください。これまで、どんなことを大切にして事業を手掛けていらしたのでしょうか。

 

溝端さん:「場にある未知から、今までにない価値を生み出していく。」をビジョンに、今までなかったようなものを創り出せたらと思いながら、建築や空間の設計やプロデュースなどをしています。

今回のプロジェクトのような遊休不動産の活用は、NODでも多く関わらせていただいてきました。僕自身、これまで建築の仕事でもリノベーションをメインにやってきたんです。だから、ゼロイチで作るよりも、今ある空間をどう活用していくかを考えて作っていく方が得意だと思います。また、東京にはそもそも使われていない場所も多いと思っていて、そういった場所を活用することに価値を感じています。

 

ゼロイチで作ることよりも、もともとある場所から何かを作り出す方が制約があって難しそうにも見えます。

 

溝端さん:新しいものを生み出す時に何か制約があったほうがおもしろく感じますね。いろいろなルールや法律的な壁もありますが、そういった制約の中で、壁を越えながらオーナーさんの願いが叶えられる新しい空間づくりに挑戦できることに魅力を感じます。

 

日本橋にいる人が
おもしろがれる場所が増えるように

日本橋に個性的なアイデアを広げている「GROWND nihonbashi」。では、今、溝端さんはここにどんな可能性を感じているのでしょうか。

 

溝端さん:今回のプロジェクトをきっかけに、地域の方から事業のご相談をいただくようになりました。1階のホットサンド専門店「HOT SAND LAB mm」がオンラインとオフラインを兼ね備えた場所ということもあって、たとえばWEBサイトやECサイト、またSNS、ブランディングなどとしっかり連動した場所づくりをプロデュースしてほしいというお話をいただいています。おもしろい流れだと思うし、このプロジェクトで新しい可能性を感じています。

実を言うと、僕自身はお金に少し苦手意識があるんです。だから、お金のことをあまり心配しなくてもいいように仕組みを考えているところがあります。
たとえば、「HOT SAND LAB mm」ならオフラインとオンライン、またケータリングや事業者コラボなど、多様なキャッシュポイントを生み出せるように。そんな風に、できるだけアイデアを考えて実行することにエネルギーを使いたいんです。その仕組み化の部分に共感して取り入れたいと言っていただけるのはうれしいですよね。

 

この日本橋という街で、「GROWND nihonbashi」がどんな存在になっていたいのかについても伺いました。

 

溝端さん:僕は多様性のある街に魅力を感じています。「GROWND nihonbashi」を起点に、これまでなかったものが生まれるといいですね。若い方に向けたものも、年齢層の高い方に向けたものも混在するようなおもしろい街になるといいなと思います。

実際に、独自の事業を展開される業者さんからの相談も増えていて、ここでは対応しきれないものを他の業者さんにご紹介したりして、新しい文化が生まれるきっかけにもなっていると感じています。たとえば、今年7月には、この「GROWND nihonbashi」の目の前で、著名なアーティストによる展示会が決まっているんですよ。食が始まりですが、そこから多様なコンテンツに広がっていくといいなと思っています。

そして、日本橋を訪れる人、日本橋で働いている人たちにとって、楽しめるスポットが増えるといいですね。日本橋を変えたいとか、こういう街にしたいとかいうような大それたものではなくて、本当におもしろいスポットが増えるといいなという感覚なんです。僕自身、こちらに住んでいるので、近所におもしろい場所があるといいなと思いながら関わっています。

 

次回は6/1(火)公開です。最終回の3回目は、溝端さんの思いをもう少し詳しくお聞きします。プロジェクトを通して本当に実現したいこととは何か、そしてこれから挑戦してみたいコンテンツについてなどのお話です。お楽しみに。(つづく)

 

– Information –
HOT SAND LAB mm
https://mm.grownd.jp/
株式会社NOD
https://nod.jp.net/about/

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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