2021.05.31. | 

[Vol.3]まずはやってみる。挑戦の中で目的を達成するための方法も見つかっていく。NOD溝端友輔さんの空間づくりの考え方

様々な空間づくりを手掛けてきた溝端友輔さんがプロデュースする複合施設「GROWND nihonbashi」。このプロジェクトを通して、溝端さんが発見した日本橋の魅力やおもしろさなどをお聞きしました。

コラボで感じた、日本橋の魅力

「GROWND nihonbashi」の始まりは、不動産の開発業者の方からの「食を起点に賑わいを創ってほしい」という相談でした。プロジェクトを進める中で、溝端さんは日本橋に何か課題を感じたのでしょうか。

 

溝端さん:課題というよりもまず、老舗のお店からデパート、個性的な飲食店などいろいろなお店が集まる街という印象をもちました。
仮に課題があったとしても、課題解決を最優先にして何かをやることに対して、僕はあまり関心がないんです。また、開発サイドの持っている課題感に100%合わせていくというのも、少し違うのかなと思っていて。

株式会社NODのビジョンは「場にある未知から、今までにない価値を生み出していく。」ですが、可能性って本当に予期できないもの、予測できないものだと思うんです。僕たちがあまり課題を意識しすぎると、「可能性」の部分がうまく機能しなくなってしまうかもしれません。
それというのも、街の再生や再開発を手がけるデベロッパーさんって、ことによったら100年先のビジョンを考えているわけです。僕らスタートアップの事業者が1年先を見ながら動いていることが、そういう長期的なビジョンと結果的にはつながってくるんじゃないかと思うんですよね。

 

課題解決が最優先事項ではない、と語る溝端さん。では、溝端さんが日本橋でアクションを起こす上での原動力は、今、どんなところにあるのでしょうか。

 

溝端さん:課題というよりはむしろ、コラボを始めてから日本橋に大きな魅力を感じています。
たとえば、ホットサンド専門店「HOT SAND LAB mm」では約170年の歴史を持つ日本橋の老舗の海苔屋さんとコラボしたのですが、とても柔軟で、決断も行動もスピーディなんです。初めてお会いした時には、社員の方がたくさんの商品を並べてくださって、「さあ、どの商品とコラボしましょうか?」と、どんどん話を進めてくださいました。
こういった柔軟な姿勢で事業にも取り組むから、100年以上も続く企業へと育ってこられたのかもしれません。もしかしたら、まずやってみるという姿勢が、数10年先、数100年先の文化をつくるのかもしれないですね。このように、日本橋という場だからこそ学べることって、多いんです。

僕は食の専門ではありませんが、食をはじめ様々な業界での事業は、やっぱりその世界が好きという方に続けてほしいし、そこにこそ価値があると思っています。僕は、建築や不動産のプロフェッショナルとしてサポートしていきたいと思っています。

 

 

予期できないことに満ちた状態がおもしろい

その世界が好きな人に事業を作り、育ててほしいと溝端さんは言います。それでは、溝端さんは、やはり空間をつくることが好きなのでしょうか。

 

溝端さん:好きですね。もともと実家が商売をやっていた関係もあるかもしれないのですが、場がすごく好きです。

 

空間を作っていく今回のプロジェクト「GROWND -nihonbashi-」や「HOT SAND LAB mm」を通して、どんな可能性を感じていますか?

 

溝端さん:そうですね。特に飲食のプロジェクトは、自分たちでも予期できなかったことが一番生まれていると思うので、この状態がおもしろいなと思っています。また、NODを立ち上げて1年半ですが、今協業している事業者さんが100年、200年続く老舗さんだということもすごく興味深いです。食をきっかけに、そういった老舗の方々と共感しあいながら一緒に仕事ができている状態に可能性を感じるし、とてもありがたいです。

 

 

制約をなくした自由な空間を楽しんでほしい

今後についてもお聞きしました。もし今新しく空間を作っていくとしたら、何か取り入れてみたい食のコンテンツはありますか。

 

溝端さん:最近、時間をかけて淹れる美味しいドリップコーヒーを提供するお店に興味があるんです。コーヒーとテイクアウトできるスイーツであれば、機材なども移動しやすく空間利用の幅が広がります。お店側からしても、他の飲食と比べ、場所も費用も大きな負担にならずに済むのではないかと思います。

なぜ場所や費用の負担感を減らしたいかというと、やはり、できるだけ制約をなくした状態で、事業者の方にもお客さまにも空間を自由に使ってほしいからなんです。ごく個人的な、自由なアイディアをできるだけそのままの形で実装できるような空間にしておきたいという気持ちが強いんですよね。

飲食の事業者さんからも、「飲食の提供を通じて、自分たちが大切にしていることを伝えたい」というご相談をよくお受けします。事業者さんの思いが、もう「ただ単に美味しい飲食を提供するだけ」に留まっていないんです。
飲食に、その事業者さんならではの何か新しい価値をプラスすることを前提に、僕は設計士としてサポートしていきたいと思っています。

 

溝端さんが今考えているアイディアをひとつ教えていただきました。

 

溝端さん:たとえば、オーナーさん一人で初期費用などを負担する形は、もう今の時代に合いません。そこで、オーナーさんのビジョンに共感した方々が、会員権を共同保有という形で支えるのもいいかもしれません。今、ホテルでそういった流れが生まれているので、飲食でも応用できたら新しいお店の形が生まれるかもしれないなとも思っています。
こうやってアイデアや仕組みを考えながら、これからも新しいものをつくっていきたいですね。

 

– Information –
HOT SAND LAB mm
https://mm.grownd.jp/
株式会社NOD
https://nod.jp.net/about/

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。