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Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ
2022.06.23. | 

[Vol.1]皮はパリパリ、身はフワフワな魚の焼き方。白身魚のポワレ|Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ

「簡単な料理はするけれど、味には自信がない」という料理初心者の石川優奈が、Mo:takeフードクリエイターに弟子入り。通常のレシピには、当たり前のこととして詳しく書かれていない「どこよりも細かいレシピ」を教わることで、本当に美味しく仕上げるテクニックやコツを教わります。

今回のMo:takeフードクリエイターは、前回に引き続き、Mo:takeヘッドシェフで、イタリアンを得意とする坂本英文です。今回は「白身魚のポワレ」。魚料理というとハードルが高そうですが、実は、覚えてしまえば簡単にお店レベルの味が楽しめる調理方法があるんです。Mo:takeヘッドシェフの坂本に、どこよりも詳しく教わっちゃいましょう。

 

白身魚のポワレ 基本のレシピ

——————

<材料 2人分>

・白身魚の切り身(タイまたはスズキなど)2切れ

・アサリ 1パック

・ミニトマト 5個程度

・ニンニク 1かけ

・白ワイン 大さじ3(水でもOK)

・バター 10g程度
・オリーブ油

・塩

・胡椒

<下準備>
1)(砂抜きが必要なあさりの場合)30分程度砂抜きをする
2)ミニトマトのへたを取っておく
3)ニンニクをみじん切りにし、オリーブ油につける
4)白身魚に切れ目を入れる
5)白身魚に塩胡椒をする

<作り方>
1)フライパンにオリーブ油を入れ、魚を入れて火にかける
2)オリーブ油を魚にかけながら加熱し(アロゼ)、焼き上げる
3)アサリとミニトマトでソースをつくる
4)ソースと魚を盛り付ける

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さあ、ここから本当においしく仕上げるために、どこまでも細かくレシピについて聞いていきます!

 

今回は魚のポワレ!特徴は素材を「アロゼ」すること

石川:前回教わったパスタに続き、今日はメインディッシュになる魚料理を教わりに来ました!パスタもメインもつくれるようになったら、かなりいい感じのおもてなし料理になりそうです。坂本さん、初心者にもつくれるメインディッシュといえばなんですか?

 

坂本:そうですね。「白身魚のポワレ」をつくってみましょうか。

 

石川:ポワレですか?いきなり本格的ですね……。あ、でもポワレって要するにソテーですよね。ソテーのおしゃれな呼び方っていうことで合ってますか?

 

坂本:ソテーは「焼く」料理全般を指すんですが、ポワレはその中でも、油をかけながら焼く「アロゼ」という工程のある料理を指します。

 

石川:あ、料理の動画で見たことあります!アロゼっていうんですね。でも、初心者には難しいのでは?

 

坂本:コツさえ覚えれば工程自体はシンプルで、難しくありませんよ。でも本格的な仕上がりが楽しめるので、おすすめです。

 

坂本:今日使うのは、普通にスーパーで買ってきた真鯛の切り身です。これに、アサリとトマトのソースを合わせてみましょう。

石川:坂本先生、よろしくお願いいたします!

 

初心者にもカンタン!魚の下処理

石川:魚って下処理が大変なイメージがあります。

 

坂本:店頭に並ぶ魚はうろこなどの処理はしてあるので、やることはそんなにありませんから安心してください。

まず、魚の表面の水分をキッチンペーパーで軽く取ります。

それから魚に切れ目を入れましょう。切れ目は、うろこに対して斜めに、そして包丁を入れる角度も斜めに入れます。皮目に数カ所入れていきます。切れ目を入れることで、魚に火が入りやすくなります。

 

石川:なるほど!見た目がオシャレだから入れているわけではないんですね。

 

坂本:それも、ちょっとあるかな(笑)。機能プラス見た目、ですね。

 

坂本:さて、切れ目を入れたら次は塩胡椒をしていきます。

 

石川:塩は思ったよりたくさん振るんですね。わたしはいつも、おまじない程度にしか振ってないですね……。

 

坂本:料理で使う塩はおまじないじゃなくて、ちゃんと意味があるんですよ(笑)。みなさんが思っているよりたっぷり振ってOKです。表と裏、両面にしっかり振ってください。塩を振ったら、胡椒も振っていきます。

 

石川:塩と胡椒が一体になった「塩コショー」ってありますよね。あれだとやっぱりダメですか?

坂本:いや、塩コショーしかなければそれで大丈夫ですよ。ですが、胡椒は使い勝手が良くて、最後にぱらっと振るだけで料理のグレードもアップするので、塩コショーではなく胡椒単体のものを一本持っておくと料理が楽しくなると思います。

胡椒を買うなら、すでに挽いてあるものより、粒をミルで挽くタイプがおすすめです。嗅いでもらうと分かりますが、挽きたては香りが全然違います。

 

石川:あ、ほんとだ!香りがしっかり立つんですね。

 

坂本:スーパーでミルと胡椒がセットになった商品も手に入ることが多いので、案外手軽ですよ。

 

素材に油をかけながら焼く「アロゼ」

坂本:ではここから、魚を焼きます。ポワレの特徴である、皮はパリパリ、身はフワフワになる焼き方をお伝えしていきますね。

 

石川:魚は生焼けが怖くて、パリパリというよりむしろ、焦げ焦げに焼いてしまうことが多いんです……。パリパリとフワフワができるようになったら嬉しいなあ。楽しみです。

 

坂本:まず、火がついていないフライパンに、オリーブ油をたっぷりめに入れます。

 

石川:けっこうたっぷり入れるんですね。油はいつでも控えめが良いと思い込んでいたので、焦げ付かない程度にうっすら入れていました。

 

坂本:オリーブ油を入れたら、皮を下にして魚を置きます。火をつけて魚を置きます。火は、油が温まるまでは中弱火でいきましょう。中弱火は、火がフライパンの底にギリギリ付かないくらいの火力です。

 

石川:火をつける前に油と魚を入れちゃうんですか?料理の本ではよく「フライパンを温めてから油を敷き、材料を入れる」と書いてありますが。

 

坂本:今回は低温からゆっくり熱を入れていく調理方法なので、フライパンが最初から温まっていると、焦げてしまう可能性があるんです。

 

石川:パリパリに仕上げるためには、フライパンをよく熱してから強火でジャッ!とやるのかと思っていました。

 

坂本:弱火でゆっくり焼いていっても、素材は徐々に高温になっていくので、最終的にはパリパリになりますよ。むしろゆっくり焼いた方が、素材にしっかり熱が入ります。

 

坂本:だいぶ油が温まってきましたね。

 

石川:え、そうなんですか?油が温まったかどうか、どうやって分かるんですか?

 

坂本:シューと音がし始めたでしょう。

 

石川:あ、聞こえますね。少しずつ小さい泡も立ってきたみたいです。

 

坂本:シュッという小さな音がしはじめて、小さい泡が魚の周りに立ってきたら、火を弱火に落とします。

ここから油をかけながら焼く「アロゼ」を始めます。フライパンを手前に少し傾け、大きめのスプーンで温まった油をすくって魚にかけていきます。

 

理にかなってる!皮はパリパリ、身はフワフワの理由

 

石川:それにしても、全然油がジュッていいませんね。パチパチ小さい音がするだけで、とても静かです。

 

坂本:そうなんです。ジュッっていうほどの高温でなくても、火が通っていくんです。

普通の焼き魚だと焼いている途中で表裏をひっくり返しますが、鯛のような身が柔らかい魚は、皮を上にすると身が重みでつぶれてしまいます。アロゼのように、温まった油をかける方法だと身は上にしたまま熱が入るので、フワフワになります。

そしてこの間ずっと、皮の方は下になってフライパンの底面で熱し続けられているのでパリパリになります。

 

石川:理にかなってる!!アロゼを考えたフランス人は、優秀ですねー(笑)。

 

坂本:石川さんも自分でアロゼをやってみますか?フライパンを傾けて、オイルを温めながら、スプーンで油をかけていきます。

魚の身が分厚い部分にもしっかり熱が入るように、バランスよく油をかけましょう。分厚い部分に3回かけたら薄いところに1回かける、というように回数を調整しながらかけてください。

 

石川:なるほど。こういう調整が効くのも便利です。アロゼってすごいですね。それにしても、ぜんぜんジューッていわないですね。パチパチいうだけで、本当に静か。大事に育ててる気分になってきました。

 

焼き上がりは金串でチェック

 

石川:坂本さん、新たな不安が……これ、いつまでかけ続ければいいんですか?終わりが分からないです。

 

坂本:金串を使って魚の温度を確かめます。切り身の一番分厚いところに3秒ほど金串を刺します。金串の先端がフライパンに当たってしまうとフライパンの熱が直接移ってしまうので気をつけてくださいね。厚みの真ん中あたりまで刺すのがコツです。

そして、3秒経ったら金串の先端を唇の下あたりに当てて、「あつっ」てなったら火が通っている証拠です。

 

石川:先生、その確かめ方はちょっと怖いです(笑)!火傷しそう。

 

坂本:たしかに、僕も最初は唇に当てるのに勇気がいりました(笑)。じゃあ、最初は手の甲でやってみましょう。慣れてきたら唇の下で。唇は一番敏感な部分なので、判断しやすいんですよ。

 

石川:手の甲の方が安心ですね。あ、でも今ちょっと「あつっ」てなりました。

 

坂本:いいですね。ではあと10回くらい…このちょっと分厚いところに6回、薄いところに4回、油をかけましょう

 

石川:思っていたより繊細な作業なんですね。

 

最後は皮目をパリパリに

坂本:はい、これぐらいでいいですね。では油をかけるのはここまでで、あとは皮をパリパリにしたいので、もう少し焼いていきましょう。

 

石川:パリパリを超えて焦げ始めてしまうときの見極めポイントはなんでしょうか?

 

坂本:見た目で確認するのがおすすめですね。少し皮面を覗いて見てみましょう。

 

石川:焦げ目がきれい!もう大丈夫そうですね。

 

坂本:そうですね。ここでいったん火を止めます。ここからさらに、アサリとトマトのソースをつくって旨みを足していきますよ。

 

次回は6/28(木)に公開予定です。
「アロゼ」でふっくら焼き上げた白身魚によく合うソースをつくります。お楽しみに!(つづく)

ライター / 東 麻吏

紙媒体の専門誌副編集長、webメディアの編集長を経て、フリー。ライティングや編集のほか、コンテンツコンサルとしてメディア制作・運営のサポートや「伝える講座」も行う。個人活動で親子のハイキングイベントを主宰。

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