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Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ
2022.11.01. | 

[Vol.2]手軽なサバ缶が本格スパイスおつまみに変身!「大葉香るサバ缶のスパイスつまみ」で学ぶ、基本のスパイス使い。|Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ

「スパイスカレーは大好きだけど、自分で作ったことはない」料理初心者のライター谷井百合子が、Mo:takeフードクリエイターに弟子入りします。レシピを読むだけでは気がつかない、美味しく仕上げるためのコツやアレンジを、一緒にキッチンに立って「どこよりも細かいレシピ」を教わります。

今回のMo:takeフードクリエイターは、Yuinchuが運営するSWITCH STAND ODAIBAが提供するフードメニューのカレーを、Mo:takeと共同開発したダーホンさん。その開発ストーリーを以前Mo:takeマガジンでもご紹介しました。

 

[Vol.3] カレーとイラスト。コミュニケーションツールとしての共通性。「DAHON CURRY」 dahon(ダーホン)さん

 

後半のポイントはズバリ、スパイスの使い方。しっかり軽量したスパイスを使って、お酒によく合うスパイスおつまみを作っていきます。とびきりおいしく作るコツを、ダーホンさんに引き続き詳しく教わります!

サバ缶は汁までまるごと使い、
旨味のある具材を加えてさらに凝縮

ダーホンさん:ここから火を入れて、一気に仕上げていきますよ!スパイスをテンパリングして、玉ねぎを炒めていきます。まずサラダ油をフライパンに入れて弱火で熱します。

 

谷井:油は多めですね。

 

ダーホンさん:スパイスは油と相性がいいのでたっぷり使います。少ないとスパイスの良さを引き出せないので!温まってきたらクミンシードを1粒落とし、細かい気泡が出てきたら全量入れます。

 

谷井:スパイスのいい香りがしてきました!

 

ダーホンさん:シュワシュワして茶色く色づいてきたので、玉ねぎを入れます。素早く絡めて、分量外の塩をひとつまみ。火を強めて、中火で炒めていきます。

 

谷井:茶色くなるまでですか?

 

ダーホンさん:この料理は、玉ねぎを茶色くなるまで炒めることはしません。玉ねぎのエグミが抜けて全体的に透き通ってきたらOKです。硬さの目安は木べらで潰せるぐらいです。

 

谷井:透き通ってきました!

 

ダーホンさん:では具材を入れて炒めていきましょう。まずサバ缶ですが、汁ごと投入します。

 

谷井:サバ缶を使うのは簡単なので助かります。

 

ダーホンさん:サバ缶はそのままでも美味しいですからね。サバを細かく潰していくと、ツナに近い食感になります。今回は、サバの旨味が出ている汁も、水分として使います。

 

谷井:水分が多くてシャバシャバしていますね。今回も、この水分を飛ばして、さらに旨味を凝縮させていくのですか??

 

ダーホンさん:そうですね!きのこの旨味も一緒に出したいので、まだ水分が残っている状態で続いて舞茸とえのき茸、そしてたけのこも入れて、炒めていきます。

 

ニンニク、レモン、ナンプラー。
すべての味わいを最後の塩分調整で決める

ダーホンさん:そして、ここで、ナンプラーを入れます。

 

谷井:ここで入れる調味料はナンプラーだけですか?

 

ダーホンさん:はい!ここではナンプラーだけを入れます!ナンプラーは、最初に入れて加熱しておくと、味がまろやかになります。逆にあまり加熱せず、最後の方に加えるとナンプラーの香りを生かしたエッジの効いた味わいや風味になります。

 

谷井:ナンプラーがない場合、なにか代用できるものはありますか??

 

ダーホンさん:ナンプラーはこの料理の具材と相性がいいので、できれば準備して頂ければいいかなと思います。独特の香りがありますけど、加熱することでその香りが飛んで旨味だけが残ります。
なければ、ちょっとテイストが変わりますが醤油でもおいしくできると思います!

 

谷井:ナンプラーの独特な香りも旨味に変化するのですね!

 

ダーホンさん:だいぶ水分も飛んできて、もったりしてきたので、にんにくとしょうがを入れます。にんにくは味の決め手のひとつです。

 

谷井:どうしてですか?

 

ダーホンさん:ニンニクは味にパンチを持たせつつ、味の輪郭をはっきりしてくれます!

 

谷井:そうなんですね!ニンニクの役割は大事ですね。

 

ダーホンさん:だいぶ馴染んできたので、コリアンダーとターメリック、ブラックペッパーと、塩の半分の量を投入して、火を弱めます。このサバのおつまみは、カレーにならないように、あえて辛味にチリペッパーではなく、ブラックペッパーを使っています。ブラックペッパーを使うことで、ピリッとしたアクセントになるような辛味を意識してます。

 

谷井:なるほど。ブラックペッパーを辛味として使うのですね。そして、ターメリックで一気に黄色く、色が付きましたね!

 

ダーホンさん:はい!スパイスと塩をしっかりと全体に馴染ませていきます。そしてそろそろ水分が飛んで水っぽさがなくなってきたので、ここで味見をします。

 

谷井:前回のチキンカレーのときと同じように、ちょっとしょっぱいぐらいに塩気を調整するんでしょうか?

 

ダーホンさん:いえ!今回のこのレシピは、この先水分をこれ以上加えないので、この段階で「ちょうどいい」を目指して塩気を調整します。チキンカレーの時に、比率が大事ということをお伝えしましたよね!

 

谷井:はい、塩分もスパイスも全体量の1%、ですよね。

 

ダーホンさん:そうです、塩分も1%、スパイスも1%、にんにくと生姜も1%が目安です。今回は、スパイスの全量を9gとしているので、今回の配合の比率は3:4:2で足し算しています。例えばアレンジして3種類のスパイスを同率にするならそれぞれ3gづつとなります。ただし、塩の量は今回のサバのおつまみはごはんと一緒に食べるカレーライス用よりも水分量が少ないので、塩分量は1%よりも控えめになっています。

 

谷井:なるほど!

 

ダーホンさん:そしてここでレモン汁を入れて、もう一度味見します。レモンの酸味も大事な要素のひとつなのですが、レモンが入ると塩分の感じが減るんですよ。

 

谷井:塩分調整は本当に微妙なのですね。

 

ダーホンさん:そうなんですよ!塩分調整は慎重に!です。最後に大葉を入れて、全体をさっと混ぜたら火を消します。これで完成です!

 

谷井:スパイスの香りも立っていて、とても美味しそうです!

 

レモンと大葉がおりなすさわやかさ
凝縮した旨味のベースがあるからアレンジ自在

ダーホンさん:では盛り付けていきましょう。

 

谷井:刻み海苔に胡麻!和風の仕上げですね。茶色い粉はスパイスですか?

 

ダーホンさん:ガラムマサラです。カレー粉に近いですが、チリは入っていないので辛くないです。お手軽にスパイス感が出せるので、もう少しスパイス感が欲しいときはあると便利ですよ。

 

谷井:なるほど!

 

ダーホンさん:あとは、ちょっと意外かもしれませんが、横に納豆を添えて一緒に食べてもとても良く合います。

 

谷井:納豆!?

 

ダーホンさん:意外でしょう?でもすごく相性がいいんですよ。サバの味噌煮と納豆、朝の定食のイメージかな。

 

谷井:ものすごく意外ですけど、試してみます!

 

谷井:では、味見をさせていただきます!
まさに旨味が凝縮されている感じがします。レモンと大葉がさわやかです!美味しい!

 

ダーホンさん:良かった!!

 

谷井:スパイスでサバの旨味がより強調されてる気がします!和風テイストも感じつつ、エスニックっぽさも同時に感じます。そして、ブラックペッパーが効いてて、ビールのおつまみにピッタリですね!

 

ダーホンさん:そのままおつまみとしてもいけますが、クラッカーやバケットの薄切りに乗せてカナッペ風にしたり、食パンにチーズと一緒に乗せて焼いてピザトーストにしたり、アレンジも楽しめると思います。

 

谷井:これにチーズを載せて焼くのは絶対美味しいですね!

 

ダーホンさん:オイルベースのパスタに絡めるのもお勧めです。

 

谷井:それも美味しそうです!!大葉とレモンを追加して、旨味が濃いのにさわやかなパスタ。家でも作ってみようと思います!その他にも色々アレンジできそうですね!!

 

サバのおつまみ「どこよりも細かい」レシピ

<材料 6人分(約800g)>

・サラダ油  30ml
・玉ねぎ   1玉 180g
・サバ水煮缶 2つ 380g
・舞茸       50g
・タケノコ       100g
・えのき茸      100g 
・大葉         10枚

・クミンシード    3g ※テンパリング用
・コリアンダー       4g 
・ターメリック             2g
・ブラックペッパー    2g
・ニンニクチューブ 4g 
・ショウガチューブ    4g
・塩 8g ※ナンプラーがある場合は5g
・ナンプラー(あれば3ml)
・レモン汁     8g
※このレシピは水で延ばさないので、塩分量は全体の1%よりも少ない。

 

<下準備>

①玉ねぎと舞茸は細かいみじん切り、えのき茸は1cm幅に切る。タケノコは玉ねぎと同じぐらいのサイズ(7-9mm角)に切る。大葉は3mm角の大きさに切る。

◎どこよりも細かいレシピポイント(玉ねぎのカット)

玉ねぎのみじん切りは、短い調理時間でも火が通りやすいよう、細かく切る。細かい粒感が残る。みじん切りの手順は以下の通り。
・包丁の先端でくり抜いてから半分にカットする。
・芯の方から、まな板と水平になるように横に3回包丁を入れる。その際、端を1cm ほど残して、玉ねぎがばらばらにならないようにする。
・玉ねぎの繊維に対して水平になるように、8~10回包丁を入れる。ここでも、端を1cmほど残しながら切る。
・玉ねぎの向きを変え、繊維に対して垂直になるように6~7回、包丁を入れる。
・1cmほど残った部分も、縦横に切って同じ位の大きさのみじん切りにする

◎どこよりも細かいレシピポイント(玉ねぎみじん切りの時の涙予防)

涙が出る原因は、カットした際に「硫化アリル」という成分が蒸発して目に触れるため。予防方法は以下の通り。
1.換気をする(サーキュレーターや扇風機)
2.冷蔵庫で冷やしてから切る→硫化アリルの蒸発(気化)がおさえられる
3.包丁を研いでおく→断面が滑らかだと硫化アリルの蒸発がおさえられる
4.電子レンジで500w・20-30秒温めてからでもいい→硫化アリルの成分が変化する

◎どこよりも細かいレシピポイント(きのこの種類)

・舞茸やえのき茸は、他のきのこで代用してもよい
・和の風味がある椎茸やなめこは特にお勧め
・食感を揃えるため、みじん切りが望ましい

◎どこよりも細かいレシピポイント(具材の代用)

・たけのこは食感を出す役割なので、入手できなければなくても作れる
・ひよこ豆の水煮などを追加しても美味しい

 

<作り方>
テンパリング・玉ねぎ炒め

②サラダ油をフライパンに垂らし、中火で加熱する。クミンシードを1粒落とし、気泡が出てきたら残りの全量を投入し、テンパリング(油にスパイスの風味を移す工程)を行う。

◎どこよりも細かいレシピポイント

・玉ねぎ投入は、クミンの香りが出て、油がシュワシュワして、クミンが濃い茶色に色づいたタイミングで。

③気泡がおさまってきたら玉ねぎを投入し、油と玉ねぎを素早く絡め馴染ませ、塩をひとつまみ(分量外)振る。玉ねぎが全体的に透き通り、木べらで潰せるくらいになるまで炒める。

◎どこよりも細かいレシピポイント
・玉ねぎは、茶色くなるまで炒めなくてよい。

 

具材炒め・スパイス&調味料投入

④サバ缶を汁ごと③のフライパンに投入し、全体的に潰しながら満遍なく混ぜる。
サバ缶を汁ごとフライパンに投入し、全体的に潰しながら満遍なく混ぜる。舞茸、タケノコ、えのき茸を加え、中火で加熱する。最初はサバ缶の水分によってシャバシャバするが、水分が飛び、もったりしてくるまで焦げないように混ぜながら加熱する。
※大体2-3分くらいが目安。

◎どこよりも細かいレシピポイント

・ナンプラーは、具材を投入後すぐに加える。加熱により、味がまろやかになる。ナンプラーの香りは熱すると飛んで、旨味だけが残る。

⑤弱火にして、その他のスパイスと塩・ニンニク・ショウガを投入し、全体的に馴染むようにかき混ぜる。この時点で味見をし、塩を入れる。このあと、水を加えないので塩分量は「ちょうどいい」を目指す。

◎どこよりも細かいレシピポイント(スパイス)
・スパイスカレーに使用するスパイスの基本の4種類は、クミンシード、コリアンダー、ターメリック、チリ。
・好みの配合にアレンジしてよいが、スパイス全部の分量は料理のできあがりの分量から逆算して1%となるよう、きっちり計る
・配合の際の注意点として、クミンとコリアンダーは増やしても問題はないが、チリとターメリックの分量は要注意。チリは増やすと辛くなるし、ターメリックは入れすぎると苦味が出る
・サバのおつまみは、辛さをチリではなく、ブラックペッパーで出している

 

仕上げ

⑥レモン汁と大葉を投入し、さっとかき混ぜたら火を消す。最後に味見して塩味の程度を確認し、必要であれば調整する。完成!

◎どこよりも細かいレシピポイント(レモン)
・レモン汁を投入すると、塩分の強さが和らぐ。味見をして調整すること。

◎どこよりも細かいレシピポイント(食べ方のアレンジ)
・納豆を添えるとよく合う
・そのままおつまみとしても美味しいが、カナッペにしたり、チーズを載せてピザトーストにするのも美味しい
・オイルベースのパスタに絡めてるのもおすすめ

 

ライター / 谷井 百合子

会社員からライターへ転向。腰の軽さで興味に乗っかる行動力で、ビジネストレンドやブックレビュー、食や旅にも題材を広げている。 目についた野菜を連れて帰り、レシピをググって調理するのが楽しいこの頃。

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