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Food Future Session
2022.07.28. | 

[Vol.2]世界中の人とつながるサービスで、自由に走る楽しさを伝えたい【ラントリップ × Mo:take】

食の未来をユニークな仕掛け人たちと語る「Food Future Session」。今回は、ランナーのためのSNSアプリ「Runtrip」を開発・運営する株式会社ラントリップ代表取締役の大森英一郎さんとMo:takeの座談会です。Vol.2では、オンラインのランニングイベントの特徴を活かしたラントリップのコミュニケーションから話が始まります。

参加者は3万3000人!自分に合った方法で人とつながる

小野:コロナ禍をきっかけに始めたオンラインのランニングイベント、とても興味があります。オンラインならではのコミュニケーションも楽しめそうですね。

 

大森さん:そうなんですよ。例えば、リアルイベントの場合、対面でいろいろな人と知り合って、つながることが醍醐味になると思います。でもその一方で、自分から話しかけるのが苦手で、リアルイベントへの参加を遠慮していた人たちもいるんじゃないかと思っています。

ラントリップが開発・運営しているSNSアプリ「Runtrip」は、オンラインのランニングイベントに参加したい方にインストールしてもらっているのですが、3万3000人が参加してくれる月1回開催のオンラインイベントには、いろいろなランナーが参加してくれています。

イベント参加者は、走っている間「Runtrip」に投稿しますが、たとえば誰かが「5km走りました」と投稿したときに、それだけだと速いのか遅いのか、5kmが長いのか短いのか判断が難しい。

ただ、そこに写真や自分の状況を表す言葉が付いていたりすると、一気に情報が増えて、わかりやすくなります。「実は子どもと一緒に走っていました」「今日、生まれて初めて5kmを完走できました。すごくうれしい!」など。そうすると、走っている人の背景がイメージできて、5kmという数字の印象が大きく変わってくるんです。

記録的な数字だけではない温かい情報になることで、読む人たちは自然とコメントしたくなるみたいです。そこから、「私も親子ラン楽しんでいます!」「私もチャレンジしてみたいです」と交流が生まれやすくなるのを感じています。もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。ただ、そういうコミュニケーションもあることに、僕自身が気づいたんです。

 

小野:リアルなイベントに参加したい気持ちはあるけど、参加できない人たちがまずオンラインでまずやりとりを始める感覚、僕、よくわかります。僕自身、そうですから。

カフェの運営や商品開発など外に出る仕事をたくさんしてきていても、いざ自分がリアルな場に飛び込む勇気がなかなか持てない。だから3万3000人が集まるオンラインイベントも、まずオンラインで入口を抜けて、という慣れ方が安心できるかもしれません。

 

走っている自分を世界中の人が「ナイス!」

小野:3万3000人もの人が参加するイベントだと、いろいろな人と出会えることを想像するだけで面白そうですよね。ただ、ランニングって、イベントに参加しなくても自分一人でできるじゃないですか。イベントに参加したいと思うモチベーションはどこにあると思いますか?

 

大森さん:ランニングって簡単に始められるけど、継続することがすごく難しいんです。ランニングを習慣化できている人たちも、日々、工夫をしながらなんとか続けている人が多いです。自分をどうモチベートさせるか、そこがすごく重要になっています。

たとえば僕らのオンラインイベントは無料で参加できるので、「無料で参加できるイベント」があること自体が自分を動かすきっかけになっているようです。「とりあえずエントリーしようかな」と参加してくれる人が多いと思います。

その先で、実際に走ってみると気分も高まるし、自己肯定感が上がります。その気持ち良さをリアルタイムで「Runtrip」に投稿すると、全然知らない世界中の人たちから反応がくるんです。「Runtrip」では、「いいね」ボタンならぬ「Nice Run」ボタンがあって、自分が走っているその瞬間に、全然知らない人からランニングを称賛されるということが起きます。孤独感を伴うスポーツであるランにとって、とても重要なモチベーションになっています。

 

小野:ランニングを通して自分のことを認めてもらえる。一人で走っていても、たくさんの人に背中を押されている感覚になれますね。

 

続ける難しさをどう越えるかが課題

小野:「Runtrip」では、ほかにも何か仕掛けをされているのですか?

 

大森さん:今、健康増進型の保険商品を扱う保険会社さまに特別協賛いただいています。イベントの完走証を提出するとポイントが付与されて、最終的に保険料の割引につながるんです。

運動を継続するために必要なのは、「利得性」と「つながり」の2つだと僕は思っています。「利得性」は、運動を始めるための大きなきっかけになります。継続していくためには更に、「つながり」やゴールできた時の「達成感」のような、内発的動機が重要になってくると思っています。

 

小野:日本だけでランニングしている人はどのくらいいるんですか?

 

大森さん:今、過去最高で1000万人以上います。10人に1、2人が走っている計算になります。でも、ランニングの継続には、「苦しい」「つらい」「続かない」といった課題がたくさんある。そこで、ラントリップは「Runtrip」を通して自由で楽しいランニングを提案したいと考えているんです。そうすれば、もっとランニング人口も増えるし、続ける人も増えると思っています。

 

小野:ランニングを続けるまでの孤独感や苦しさをどう乗り越えるかが、続けるための大きなポイントなんですね。

 

大森さん:そうなんです。どう続けるかが大きな課題です。続けるためにはどう利得性につなげるかも大事だし、機能としてほしい情報を簡単に入手できて、イベントに参加できて、誰かと交流ができて、といった要素も大事です。そのような「ランニングを続けたい」と思える情報や機会を、「Runtrip」では試行錯誤しながら提供しています。

 

小野:利得性の追求、すでにあるつながりの機能と、大森さんが思い描いていたサービスが整ってきていますね。

 

大森さん:ちょっとずつですが、つながってきているのを感じます。コロナ禍前までは積極的に開催していたリアルイベントは今はまだできていませんが、今後タイミングをみてチャレンジしたいですね。オンラインのサービスを提供していくうえでも、一番効果的なマーケティングは、リアルイベントにあると思っているんです。

 

次回は8/2(火)に公開予定です。ランニングを楽しく続けるためのサービスを展開するなかで、リアルイベントがどんな価値を提供できると考えているのか。大森さんと小野が可能性を探っていきます。(つづく)

 

– Information –

ラントリップ

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ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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