たっぷりの米油で10分弱揚げる。油の温度は180度
みくさん:では、揚げていきましょう。さっき、片栗粉を付けながら皮をしっかり伸ばしましたね。その皮を上側にして揚げるのがポイントです。
黒澤:「米油(こめあぶら)」で揚げるんですか?
みくさん:そうなんです!これはおすすめですよ。油って一言で言っても色々ありますが、米油は米糠を原料にしていて抗酸化成分もたくさん含まれているので、酸化しにくくカラッと揚がります。揚げ物や炒め物にもいいですし、ドレッシングなど生食用としてもクセが無いのでよく使っています。
黒澤:それなら、たっぷり使っても体に良さそうですね。
みくさん:そうですね。やっぱりたっぷりの油の方がおいしく揚がります。
黒澤:関門なのが油の温度なんですが……
みくさん:たしかに、難しいですよね。温度計があると簡単なんですが、でも温度計がないご家庭が多いですよね。私も普段は使いません。でも今日はしっかりお伝えしたいので、計測しつつ、目安をお伝えしていきますね。
黒澤:二度揚げってよくレシピには書いてありますが、やっぱりやったほうがいいんですか?
みくさん:お好みだと思うんですが、二度揚げをする場合、160℃くらいの低めの温度から鶏肉を入れてじっくり揚げていきます。一度油から取り出し、余熱で中まで火を入れ、その間に油の温度を190℃〜200℃に上げて鶏肉を戻し入れ外側をカリッと揚げる。という流れです。
黒澤:じゃあ今日は二度揚げしないバージョンでお願いします(笑)。
みくさん:はい(笑)。油の温度が180℃くらいになったらお肉を入れます。お肉を入れると1回温度が下がるんですが、そのまま加熱していくと、時間の経過とともに油の温度が上がっていきます。その流れに任せて中火くらいでお肉が揚がっていくのを待ちます。油の温度が上がりきらず、低すぎる時点で入れちゃうと、衣がはがれちゃって、その部分がぶよぶよしちゃうので気をつけてください。
黒澤:なるほど!油の温度が180℃って、温度計を使わずにどうやったら分かりますか?
みくさん:菜箸の先を水で濡らして湿らせます。それを揚げ油の中に入れて、菜箸のまわりに5ミリ大の泡ができてきたら180℃くらいの目安です。
黒澤:なるほど。そうなんですね。それならわかりやすいですね。油の温度が低いと衣がはがれること以外に困ることはありますか。
みくさん:脂っこくなっちゃうんです。べちゃべちゃしちゃう。
でも、揚げ物によってちがっていて、例えばじゃがいもなど、根菜類は油の温度が低いうちから入れます。なぜなら、高い温度の油に入れてしまうと、外側はこんがりしているのに中は生という状態になってしまうからです。フライドポテトのように中からじっくりと火を通さなければならない場合は、低い温度の油に入れます。
黒澤:油の温度が上がるまでにお聞きしたいんですが、唐揚げって、料理の本によっては、片栗粉じゃなくて、小麦粉と書いてありますが、粉によって仕上がりって変わるんですか?
みくさん:片栗粉だけだとさっくりざっくりっていうイメージですね。小麦粉だと、逆にふんわり、ジューシーというか。それぞれを単体で使っても良いですし、1対1で混ぜてもいいと思います。どんな唐揚げを作りたいかで、お好みで良いと思います。
油温も180度になりましたね。そろそろ鶏肉を入れましょうか。先ほども言いましたが、皮を上にして油に入れていきます。
黒澤:結構、ざぶんと入りましたね。油がかぶる感じですね。
みくさん:はい。たっぷりの油なので。油の温度は、入れるお肉の量にもよりますが20℃くらい下がります。すぐに触っちゃうと衣が剥がれやすいので、入れたらしばらくは触らない方がいいです。
鶏肉が薄い茶色になったら油からバットへ
黒澤:(油を入れて3分後くらい)ちょっと音が大きくなってきましたね。
みくさん:水分が抜けていっているからですね。お肉の水分がだんだん抜けて行っているので、油と反応してるのだと思います。泡もだんだんぶくぶくっと大きくなってきましたね。
黒澤:何分揚げるというよりは、お肉の状態をみて判断したほうが良いですか。
みくさん:そうですね。お肉の大きさやお鍋の大きさにもよるので。難しいところですが、何分という目安に頼らなくてもできるようになれば、作る量やお肉の大きさが違っても変わらないおいしさに仕上げることができるようになりますよ。余熱でも火が通るので、「ちょっと薄い茶色かな」と思ったくらいが揚げ時かな。
みくさん:ではそろそろ網をしいたバットに上げていきますね。目安として、今、10分弱です。
この時、さっき伸ばした皮の部分を上にすると、油が下に落ちるので、カラッと仕上がります。逆に皮を下にしちゃうと、そこに油がたまってべちゃっとしてしまいます。上げる時のポイントは、唐揚げを持ち上げて、お鍋の上で軽く2回くらい振り、油を落とすこと。その後バットに乗せる時は、皮面を上にして置きます。
黒澤:そこまで意識しなかったですね。
みくさん:ほんのひと手間で仕上がりのカリッと感が違うので、ぜひ意識してみてください。
黒澤:網をしいたバットの上に上げるんですね。私、新聞や雑誌の上にのせてるんですけど、バットの方が良いですか?
みくさん:たしかに、紙は油をしっかり吸い取ってくれますよね。でも、お肉と紙の部分がべっとりついてしまうので、旨味がそこに溶け出してしまうんですね。油から取り出したお肉と、取り出した先の接する面積は、なるべく少ない方が、旨味が逃げ出さずにすむので、雑誌などよりは網をしいたバットのほうが良いかなと思います。ちなみに、とんかつやアジフライなども揚げ終わった後ちょっとたてて置いてあげると、油切れが良いのでやってみてくださいね。
サクサク、ジューシーな絶品唐揚げのできあがり
みくさん:マヨネーズ付ける派ですか?
黒澤:おお、唐揚げにマヨネーズですか?そういえば、居酒屋なんかでよく添えられてきますね。
みくさん:おいしいんですよ。コチュジャンとマヨネーズを合わせてもおいしいです。でも今日はシンプルにレモンでいきますか。
黒澤:では、いただきます。外側、サックサクですね!かじると肉汁があふれてきて、めちゃくちゃジューシーです!!本当においしい!!
みくさん:よかった~!嬉しいです!
黒澤:あと、この香ばしい香りがたまりませんね。まだ食べてるのに次のもう一個が食べたくなりますね。お肉、ちょっと大きいかなと思ったのですが、このごろんとしたボリューム感もいいですね。
みくさん:揚げるとどうしても身が縮んじゃうので、最初からお肉を小さく切っちゃうと、かなり小さくなってしまうかもしれませんね。それが冷めてお弁当となると余計にジューシーさがなくなってしまってパサパサになってしてしまうので、ちょっと火の通りが難しいんですけど、できればちょっと大きめの方がおいしいですね。
黒澤:形と大きさがそろっているので揚げムラがなくて仕上がりもキレイですね。
みくさん:そうですね。ちなみに、さっき、唐揚げの中心部分の温度を測ると80度ぐらいでした。ちょうどいいですかね。100度近くになっちゃうと火が入りすぎちゃってパサパサになっちゃうんです。今日は大成功です!
鶏の唐揚げ「どこよりも細かい」レシピ
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<材料 2人分>
鶏モモ肉 250~300g
片栗粉 分量外
米油 鶏肉が浮かぶほど
★ブライン液
水に塩、砂糖を適量溶かす※vol.1の内容に変更
★唐揚げの味つけ
酒 大1
醤油 大1/2強
しょうが ひとかけ
にんにく ひとかけ
<作り方>
①ブライン液を作っておく
◎どこよりも細かいレシピポイント(ブライン液)
・お肉を柔らかくするのに欠かせないブライン液。最初につくっておけば、肉の処理をしたらすぐに漬けられて楽。
②調味料を混ぜ合わせておく
◎どこよりも細かいレシピポイント(調味料)
・にんにくとしょうがはなるべくすりおろしたほうが香りがつく。そのとき、おろし金にアルミホイルを敷いた上ですりおろすとおろし金が汚れない&余らせずに全部使える。
③鶏ムネ肉を広げて、骨、脂身、筋をとって下処理をする
◎どこよりも細かいレシピポイント(鶏ムネ肉の下処理)
・食感を大切にするために骨、脂身、筋を包丁で切り落とす。ただし、大きいものだけでOK。
④ ③をブライン液に1~2時間つけてラップをかけて冷蔵庫で保存する
◎どこよりも細かいレシピポイント(肉を漬ける)
・その間に他の料理を作ると時間を上手く使える。このひと手間でお肉がうんと柔らかくなるのでぜひやってほしい!
⑤冷蔵庫から出した鶏肉に★★の調味料をしっかりもみこむ
◎どこよりも細かいレシピポイント(調味料で味つけ)
・調味料を肉にしっかりもみこむ!肉を漬けておくだけじゃダメ。
⑥皮をしっかり外側に伸ばしてあげて、皮以外の肉の部分を包むようにして片栗粉を均等に付け、最後に軽く握る。
◎どこよりも細かいレシピポイント(油で揚げる)
・みくさんのおすすめはヘルシーな米油。
・小さいお鍋でも構わないけど、たっぷりの油で揚げる。
・皮面を上にして油に入れる。
・油の温度が180℃くらいになったらお肉を入れる。
*180℃の目安*
菜箸の先を水で濡らしてキッチンペーパーで拭きます。それを揚げ油の中に入れて、菜箸のまわりに5ミリ大の泡ができてきたら180℃くらいの目安です。
・温度が低いときにお肉を入れると、衣がはがれるので気をつけて。
・油から取り出した唐揚げは、お鍋の上で軽く2回ほど振ってから、網を敷いたバットに上げます。この時、皮の部分を上にして置いてください。
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