2021.04.06. | 

[Vol.3]器が料理人を刺激し、料理が器の魅力を引き出す。有田焼のブランド力向上に繋げるクレアツォーネのブランディング戦略

Mo:takeヘッドシェフの坂本英文(さかもと・ひでふみ)の料理を載せた器の写真を配置し、完成した「SAGAMA」のWebサイト。最終回は、ブランディングという仕事の魅力やこれからについて、株式会社のクレアツォーネの草野信明(くさの・のぶあき)さんと草野真美子(まみこ)さんにお聞きします。

ブランドの“これから”を考えてこその、ロールプレイング

佐賀県にある有田焼と伊万里焼の5つの陶磁器ブランドを、中国、台湾向けに輸出するためのSAGAMAのプロジェクトは3月、バイヤーとの商談が始まりました。

驚いたのは、商談も有田焼と伊万里焼の窯元さんたちが自ら行っているということです。

 

信明さん:事前に1ブランドにつき20アイテムをセレクトしてバイヤーさんにサンプルを送り、年末年始には私たちで一度ヒアリングもしました。それを踏まえて、どのブランドがどの窯元さんと商談するか、というアレンジまではやりましたが、商談は基本的に自社でやらないとバイヤーが不安になります。

もちろん私たちも同席しますし通訳も入りますが、自分たちだけでしっかりとしたコミュニケーションが取れるようになっておかないと、今後私たちが外れた時に取り引きが続きません。今後長い付き合いをしていくためにも、今のうちにブランドの独自性や価値をお互いに理解し、共鳴し合うことが大切なんです。

そのため、商談のロールプレイングもオンラインで重ねてきました。SAGAMAのWebサイトやプレゼンテーションツールを使って、いかに自分たちの独自性を相手に伝えるかという練習です。皆さんきっと、ある意味、ビジネススクールに通っているような気持ちだったと思いますよ。

 

 

ブランディングとは、相手から引き出したものを紡ぎ、編み、秘めていた魅力を可視化すること

SAGAMAの話を聞いていると、今回のプロジェクトを通じて各ブランドがどんどん立体化し、輪郭がはっきりしていったような印象を受けます。窯元さんたち自身もブランディングを通して出会った新たな自分たちの姿に誇りを持たれたのではと想像しますが、ブランディングという仕事のやりがいはそのあたりにあるのでしょうか。

 

真美子さん:ブランディングは、本人も気づいていないかもしれない魅力、気づいていても重要視していないのかもしれない魅力、自分が思っているのとは違うかもしれない魅力を可視化させていくことです。

そのプロセスを通じて「自分たちにはこんなにいいところがあったんだ」と思ってくださると嬉しいですよね。

 

信明さん:我々がやっていることは、皆さんが行ってきたことを聞き出して、紡いだり編んであげたりしているだけで、決して新しいものを作っているわけではないんです。どちらかというと、編集している感じですが、それに対して「ありがとう」という言葉を頂けるとやる気が湧いてきますね。

自分のこと、自社のことは、以外とわかっていないことが多いもの。気づいていないものや眠っているものを引き出し、光を当ててくれるお二人のような存在はとても貴重です。

一方でブランディングというと、ちょっと敷居が高く感じたり、大きな会社がやるもの、という印象があり、自分には必要ないと思っている人も多そうです。

 

真美子さん:ブランドというとファッションの高級ブランドのイメージがあってそう思われがちなのですが、自分の個性をはっきりと見せること、相手を知ること、伝えることがブランディングなので、会社の規模や、やっている内容は関係ないんです。

 

信明さん:だからこそ「皆さんがブランドなんですよ」というブランドとしての意識づけが大事ですね。なので私たちも「ブランドさん」と呼びますし、SAGAMAのサイトの紹介文でも「5つのブランド」として紹介しています。

 

 

今回、SAGAMAというプロジェクトを通して有田と伊万里という地域に深く入っていった草野さん、真美子さん。5つのブランドに体力がついてくれば、有田・伊万里の街全体がもっと魅力的になっていくと感じたそうです。

 

真美子さん:有田・伊万里は日本の磁器発祥の地ですし、400年もの歴史があります。そして有田焼、伊万里焼というブランドの認知度には絶対的なものがあります。それに、ここまで徹底した手作業でやっているところは他にないんだろうなと思います。

たくさんの物語を持っているのに、それが使っている人にもバイヤーさんにも伝わっていない。まだまだやれることはたくさんあると思いました。街にある器や美味しいものを連動させていけば、街自体の魅力ももっと高まり、人が増えてくるんだろうと思います。

 

信明さん:歴史というのは価値ですからね。魅力のある街なので、ブランドを通して歴史の価値を伝えていきながら、新型コロナウイルスが落ち着いた時には、たくさんの人が有田を訪れるようになるといいですね。

そして、今回出会うことができた坂本さんとも、これからまだまだ一緒に仕事をやっていきたいと思っています。

 

真美子さん:一緒にできること、たくさんあるでしょうね! とても楽しみです。

食を切り口に面白い仕掛けを作り、そこを接点として地域や特産品などをPRしていくのは、Mo:takeの得意とするところです。ぜひ、これからもよろしくお願いします!

 

– Information –
株式会社クレアツォーネ
https://creazione.jp

SAGAMA
https://sagama.jp

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

Mo:take MAGAZINE > [Vol.3]器が料理人を刺激し、料理が器の魅力を引き出す。有田焼のブランド力向上に繋げるクレアツォーネのブランディング戦略

Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

Mo:take MAGAZINEは、
食を切り口に “今” を
発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、
その時、その場所は、
より豊かになるはず。

みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

みんなとともに考えながら、
さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性を
きりひらいていきます。

さあ、いっしょに たべよう

OTHER SERVICE

様々な形で「食」が生む新たな価値を提供します。

ブランドサイトへ