2020.11.17. | 

[Vol.1]最高の湘南みかんを召し上がれ。新しい魅力を伝えていくNPO法人湘南スタイル

湘南といえば海。でも実は、山の自然にも恵まれていることをご存じですか?フルーツも収穫されていて、なかでもみかんは歴史が古く、神奈川では果実生産量1位を誇るのです。その湘南みかんの魅力を、10年以上前から地元のみかん農家さんと広げてきたのがNPO法人湘南スタイル。今回、一緒にみかん農家さんを訪ねて湘南のみかんの歴史や魅力をお聞きしました。

明治時代から実をつけてきた木も。
みかんが湘南で育つ理由

お会いしたのは、神奈川県の南部に位置する大磯町でみかん農家を営む二梃木(にちょうぎ)さん。鮮やかなオレンジ色に染まったみかんの木々に囲まれながら、お話を伺いました。まずは湘南でみかんが最初に作られたときのことから。

 

二梃木さん:湘南のみかんの歴史は古くて、明治時代くらいから育っている木もあるんですよ。その時代からある古いみかんは細かい種があるのが特徴。それじゃあ食べにくいからと改良されていったんです。今、スーパーとかでよく売られている早生みかんに改良されたのは昭和30年頃だったかな。

 

この湘南エリアは関東では最北で、相模湾があって、山も連なっていることでみかんが苦手な寒い風をうまくよけるんだよね。たとえば東京で雪が降っても、こっち側は山が壁になっているから雨に変わるの。それだけで1、2度気温が違ってくる。みかんを作るのに必要な気温は平均16度くらい。土地の条件としては適していたのかもしれないね。東京にも近いから流通面でも恵まれていたんだろうね。でも、ほかにも果物がなっていたから、みかんは流通量としてはそんなに多くないんだけどね。

15年育って認められるみかんの木
その影の苦労とは

二梃木さんがみかん農家になったのは昭和30年頃でした。その頃に比べるとみかん農家の数は減少の一途をたどっていると言います。

 

二梃木さん:私が始めた頃はまだ15軒くらいあったのだけど、今は5軒くらい。みかんの木を、農家ではよく人間の成長に例えるの。植えてから15年で中学を卒業するくらい。木として一丁前に仕事ができると認められるんだね。逆に言うと、みかんの木をそこまで育てるには10年以上かかる。そんなに儲けが大きな商売ではなかったし、湘南は東京にも働きに行ける距離だから、若い人たちは東京へ出て行っちゃうんだね。高齢化が進んでいった。

 

それに昭和44年頃には九州でみかんが豊作になって、売れて、大暴落したんですよ。面積はあっちのほうが断然広くて、農家がわれもわれもと参入していって、みかんの価値が下がっていってしまった。私たちは「どうするんだ!?」と言って、いいものを作るためにもハウスミカンに移行したほうがいいってなったんだよね。「できないことはない」って。私もハウスミカンを始めたけど、最終的にはやめてしまった。費用がかかるんです。採算が合わないからやめざるを得なかった。

 

みかんは収穫の時期が年に1回だけという意味で一発勝負だしね。1年のサイクルが決まっていて、何かあったらサイクルが狂ってしまう。大変なんですよ。農家は後継者の問題もあって、あとを継ぐ人がいないところが多い。

青くて香りがいい
「摘果みかん」が生まれ変わるまで

後継者不足から農家が減少し、生産量にも影響が出ていた湘南のみかん農家ですが、思わぬところに可能性を見出す人がいました。NPO法人湘南スタイルを設立した、藁品孝久(わらしな・たかひさ)さんです。

 

二梃木さん:「摘果(てきか)」といって、みかんが直径3センチくらいまで育ったら、もいで下に落としていく作業があるんですよ。みかんの手入れって、2月に剪定といって枝を整えて養分を通りやすくしていくことから始めて、収穫の半年前にあたる7月の下旬頃に摘果をするんです。全体の3分の2くらいを落とすの。そんなに多く落としちゃうのかと思うかもしれないけど、そうしないと実がなりすぎてしまうから、いいみかんを作るために必要な作業なんですね。摘果したみかんは緑色でかたい。でも、香りがすごくいいんです。

 

私たち農家はそのみかんを下にばらばら落として、そのままにしていたんだよね。絞って自分たちで飲んだりもします。ちょうど真夏の時期だから、酸味があって美味しいんですよ。そうやって、捨てるか自家消費が当たり前だった。

 

そうしたら、みかん畑に藁品さんがやって来て言うんだよね。「それじゃもったいない」「何かできるんじゃないか」って。

 

そうやって生まれたのが、「摘果みかん」を使ったコラボ商品でした。こんな風に、湘南のみかん農家とNPO法人湘南スタイルの取り組みが始まったのです。

次回は12/1(火)に公開予定です。湘南のみかん農家とNPO法人湘南スタイルが出会い、一緒に叶えた新しい形、広げた可能性についてお話いただきます。(つづく)

– Information –

NPO法人湘南スタイル
https://www.shonan-style.jp/

たかなしまき

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。