2020.12.01. | 

[Vol.2]最高の湘南みかんを召し上がれ。新しい魅力を伝えていくNPO法人湘南スタイル

美味しいみかんを作る。そのためにいつも全体の3分の2が取り除かれていました。それを、みかん農家では「摘果みかん」と呼んでいます。実は絞って飲むと美味しいのですが、農家さんの密かな楽しみになっていました。そんな摘果みかんの魅力に可能性を感じて、新たな形で広めているのがNPO法人湘南スタイルです。専務理事の渡部健(わたなべ・たける)さんに農家さんとの出会いからお話を聞きました。

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農家だけが知っていた
「摘果みかん」の魅力を商品化

神奈川県の大磯町でみかん農家を営む二梃木(にちょうぎ)さん。相模湾と山々に囲まれた温暖な気候のこの土地で、みかんを大事に育ててきました。
毎年11~12月に収穫期を迎えるみかんですが、真夏に一度、全体の3分の2を取り除く摘果の作業を挟みます。より美味しいみかんを作るために必要な過程です。

ある夏の日、二梃木さんがいつものようにみかんを摘果していると、みかん畑にやってきたNPO法人湘南スタイルの元理事長、藁品(わらしな)さんが言いました。「もったいない!」。そんな話から始まった取り組みを専務理事の渡部さんが教えてくれました。

 

渡部さん:NPO法人湘南スタイルは、茅ヶ崎を中心に地域の人たちと地元の産品を活かしながら豊かなコミュニティをつくっていくことを目的に設立された団体です。

みかん農家さんとのご縁は、「湘南のみかんをもっと盛り上げたい」というお話を行政の方からいただいことが始まりでした。農家の高齢化や後継者不足、また農地の荒廃化も進んでいるなど課題を抱えているのだけど、それを超える魅力がある。ぜひもっと広げるために力を貸してほしいと。候補には、「摘果みかん」も入っていました。

そこでみかん農家さんを訪ねたのですが、実際にみかん畑に落とされているたくさんの摘果みかんを見て、藁品が言ったのが「もったいない」だったんです。そんなこともあって、農家さんと話を重ねて、「摘果みかんを商品にして売りましょう」と動き出しました。

 

より美味しいみかんを作るために処分されていくことが当たり前だった摘果みかん。その傍らで、絞って飲んでいた農家さんだけがその美味しさを知っていました。それを一般の人にも広く知ってもらおう。そんな取り組みが始まり、まわりの人を巻き込んでいきました。

 

 

広がれ!湘南みかんの新しい美味しさ
農家もいっしょに発信

NPO法人湘南スタイルはまず、地産地消を目的に湘南で生まれた産品を製品化するブランド「湘南工房」を立ち上げました。その活動として、2010年、「みかんの木パートナーシップ」プログラムをスタートしました。

摘果みかんは、見た目が青色に近い緑色をしていることから「青摘みみかん」とも呼ばれています。そこに注目して、青摘みみかんの爽やかな香りと炭酸が口の中に広がる「青摘みみかんサイダー」、青摘みみかんを絞ってそのまま瓶詰にした「青摘みみかん100」などアイデア商品を作り、売り出しました。形が少しいびつなことで流通にのることのなかった規格外みかんも、「湘南みかんジュース」、「まるごとみかんマーマレード」として市場に送りだしました。

 

渡部さん:湘南工房は、平塚市にある社会福祉法人 進和学園の中にあります。ここの加工場では現在、就労支援事業として20名以上の障がい者の方々が働いているんです。「湘南みかんジュース」はここで働く人たちが丁寧に作ってくださっているものです。また、「青摘みみかんサイダー」は原料となる青摘みみかんの搾汁をしていただいています。
NPO法人湘南スタイルは、農家さんの課題解決の支援をしつつ、就労支援もしながらこの商品を育ててきました。この取り組みは2014年度に始めたので、今年で8年目になります。

 

二梃木さん:農家はみかんを育てるだけで手一杯だったし、摘果みかんを商品にするなんて考える隙もなかったんですよ。でも、湘南スタイルさんがいろいろ動いてくれるから、私らも「やってみよう」と始めたんだよね。それが今も続いている。美味しいみかんを作っていれば、みかんでいろんなことができると思っている。みかんがある限り。

 

 

まわりを巻き込みながら
おもしろい取り組みは続く

渡部さん:「みかんの木パートナーシップ」では、加工品を作るのと同時に、摘果や収穫を一般の方に手伝っていただくプログラムも2010年のプロジェクト立ち上げ当時から行ってきました。でも今年は新型コロナウイルスの影響で中止せざるを得ませんでした。

また加工品の開発や販売についても今、これまでの方法に限界を感じています。
私たちがみかん農家さんと摘果みかんの商品化を始めた頃は、そういった産品を加工品にする6次産業は珍しかったんですね。でも最近はブームになって、農家さんが直接ジュースを作るようにもなったんです。競合が増えてきて値崩れも起きています。

私たちとしては摘果みかんの価値を守りたいと思っています。摘果みかんは、農家さんが手塩にかけて育てたみかんを、真夏の暑い時に、一つひとつ取ってかごに入れて、出荷してくださったものです。その手間をきちんと価値として市場に送りたい。酸味も香りもほどよくて、ジュースやサワーに入れてもらったり、ドレッシングを作ってもらったりと用途も楽しめるんです。こうした摘果みかんの魅力をカフェやレストランなどでも手軽に楽しんでいただけないかと思っています。

 

そう話す渡部さん。模索する中で出会ったのが、Mo:takeを運営するYuinchuでした。これまで様々な企業やクリエイターたちとコラボしてきたYuinchu。常に枠にとらわれない食のスタイルを創り出しているYuinchuに渡部さんたちが期待するのはどんなことでしょうか。

 

渡部さん:東京は流行の発信地だと思っています。そこで活躍するYuinchuならではの視点で、摘果みかんの可能性をもっと広げてほしいです。地元にいる私たちだけでは気づけないような魅力を開拓してほしい。また多くの人が摘果みかんを楽しく知るきっかけを作ってもらえるとうれしいですね。そして、お客さまに湘南のみかん畑にも来ていただけたら。東京と湘南から、湘南みかんのムーブメントを起こしていきたいです。

 

二梃木さん:これからは農家だけで何とかしようという時代じゃない。いろんな人と、なんならお客さんも交えて、何かおもしろいことができたらいいよね。

 

次回は12/15(火)に公開予定です。湘南から東京へ。NPO湘南スタイルとみかん農家さんの想いを受け取ったYuinchuが、摘果みかんの魅力をさらに楽しくお客様に届けます。(つづく)

– Information –
NPO法人湘南スタイル
https://www.shonan-style.jp/

 

■OPEN NAKAMEGURO

中目黒のコーヒースタンド「OPEN NAKAMEGURO」では、スポーツドリンクをイメージした”ライフウォーターシリーズ”の第二弾として、湘南地域の摘果みかんを使用したドリンク「MIKAN GINGER」を販売しています。

11月30日(月)までの期間限定販売となりますので、興味を持たれた方は是非この機会に湘南みかんの美味しさを味わいに来てください。

目黒区上目黒2-9-17 Nakameguro Crossover1F
11:00〜18:00 不定休
WEB:https://open-nakameguro.com/
Instagram:https://www.instagram.com/open_nakameguro/

 

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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