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Food Experience Story
2024.11.22. | 

[Vol.3]家族の絆を育む場所を目指して。

「おとなとこどもがおそろいの食事を楽しめるファミリーレストラン」をコンセプトに掲げ、親子が一緒に過ごせる豊かな時間を提供する新しいファミリーレストラン『Family Restaurant Ne;』のオープンに向けて準備を進めている、株式会社たからもの・和田訓一さん。

前回の記事では、地元小田原が拠点となった経緯や人の温もりを感じた食体験、そして子供が生まれたことをきっかけに芽生えた心境の変化などもお話しいただきました。

最終回となる今回の記事では、『Family Restaurant Ne;』がどのような想いとコンセプトのもとに生まれたのか、そして親子が一緒に楽しめる場としてどのように作られていくのか、その構想から現在に至るまでの道のりを和田さんに伺いました。

一番やりたかったのは、親子の時間が豊かになるものを作ること

−−新しい家族も増えたことがきっかけで、心境の変化もあって、新しい会社(たからもの)の事業も子育てに軸足を置いているとうかがいました。何か子どものためにしたいという想いは、もともと持っていたんですか?

和田さん:はい、ありました!でも子供のために何かしてあげたいなとは思いつつ、それをどういうモデルで、どういう風に展開していくかについては、相当考えました。そうした構想をもとに手当たり次第にいろんな人とコンタクトを取って、子供たちのための施設を作りで世界的に評価されている手塚建築研究所さんや、シェフワングランプリなどで活躍されているフードクリエイターの丸山シェフとご一緒させていただけることになって、今やっと土台が出来上がってきたんです。

 

−−ここに至るまで相当思考をめぐらせてきたんですね!子どもたちに対する想いなどたくさんお話しいただきましたが、事業としては最初からファミレスにしようと考えていましたか?

和田さん:僕が一番やりたかったのは、親子の時間が豊かになるものを作ることだったんです。自分が子育てをしてみて出会うサービスや商品を通して、親子で一緒に幸せになれるものって意外と少なく感じたんですよね。

 

−−確かにそれぞれ理由はあれど、ここは子供だけ、大人だけっていう見えない境界線はありますよね。なくても、そういうものだと思って線引きしてしまう。。

和田さん:そうなんですよ!例えば、キッズパークとか行っても、子どもが遊んでいる傍らで親が死んだ目をしながら携帯いじって遊び終わるのを待ってるみたいな状況がすごい悲しいなと思っているんですよね。であれば、もっと親子で一緒に死ぬほど遊べる場所があったらいいのにな、って思うんです。

特に、僕の中で違和感があったのは、子供と過ごす外食の時間でした。なんでお子様ランチとかお子様セットっていうのでくくられているのかなということ。ハンバーグ、オムライス、エビフライ・・どこに行ってもこれしか出てこないと子供がワクワクしないと思うんです!

親と子が一緒に幸せになれる時間や場所を突き詰めていって、そこでまた新しい価値が生まれることで「子育てって楽しいよね」っていう意識が醸成される。

そんな場があったら、今なかなか子育てに希望が持てない人たちが、少し前向きになれる兆しが作れるのかなと考えていて。回り回って社会課題である少子化に貢献できるのかなぁって、そんなことを思っていました。

 

−−そんな場が、ファミリーレストラン『Ne;』というわけですね!

和田さん:そうなれたらって思っていますね!そうした場を創ろうと思ったときに、自分が一番サービスとしてイメージしやすかったのが「食」だったんです。

自分自身も「食」が好きというのが大きのですが、子育てをしていると、子供たちの成長を支えてるのは”食べること”だとすごく直感的に思っていて、死ぬまで食べることと付き合っていく中で、人生をより豊かにしていくためにも子供たちに食べることをもっと好きになってほしい、そう考えて、そのきっかけをつくれるのは「飲食」だ、と思ったんですよね。

そして、僕はこの場所で幸せな家族の食卓をつくれたらと思い、だから、ジャンルとしてはファミリーレストランをやりたいと思いました!

ファミリーレストラン『Ne;』では、どうしたら親子にとってワクワクする場所になるんだろうな、というところにこだわりをもっています!

 

−−ここでも和田さんが大切にしてきた、楽しいかどうか?ワクワクするのか?っていう視点が活かされるわけですね!そうすると、私たちが知っているファミレスの概念とは違うファミレスが誕生するんですね!?

和田さん:そうですね!ファミレスってラインナップがたくさんあって、よりどりみどり選べて、親は自分が食べたいもの食べて、子どもも食べたいもの食べて、バラバラでもいいよ、みたいな雰囲気があると感じるのですが、僕は「共食」、共に食べるっていうことをすごく大切にしています。

というのも、やっぱりご飯食べる時、誰かと一緒に美味しいねって言える瞬間が一番幸せだって思っているんです。僕もそうだったんですけど、ちいさい頃、親が食べているご飯とか食べたくなりませんでしたか?(笑)
その好奇心によって結果的に食べたことないものにたくさん出会って、それで美味しいものとかを知っていく。こういう体験がすごく食べることに興味を持つ上で大事な時間なんじゃないかなと思っています。

だからメニューも、親と子が一緒に楽しめる一品って何かを突き詰めて、大皿料理をテーマにしてるんです!一緒の料理を取り分けてそれを一緒に食べるっていう、家族の幸せな食卓にありそうな画をちゃんとファミレスで作っていきたいんです。

ファミリーレストラン『Ne;』ではそんな食体験を子供たちに作ってあげたい、そして小さな子供との食事って大変だけど大人の皆さんにも食べる喜びを忘れないでほしいと思っています。

 

“食”をベースとして、色々な人との接点が生まれる場所に。

−−和田さんには、食事を楽しんでもらうだけではない想いがありそうですね。レストランをどんな場にしていきたいですか?

和田さん:そうですね、レストランに食事を食べにくるだけでなく、他にもいろんな目的で足を運んでもらいたくて、生活の中にいかに入り込めるか多角的な視点から場づくりを考えてます。

ありがたいことに残してもらった土地が広いので、建物が建たない敷地は地域に開いた「公園」のような場にしていきたいと考えています。

食育の視点から畑を作って子どもたちが畑仕事を手伝えたり、野菜を収穫をしてお店で食べる体験を提供したり、地元の(仕入れてる)生産者の方たちが好きにマルシェをしたり、子供たちが外遊びができるように走り回れる芝生を作ったり、登ったり滑れたりする芝の山も作ったり、木を植えて木陰で読書や昼寝をすることもできるような憩いの場にしたいです。

そんな風に”食”をベースにしながら、色々な人との接点が作れるといいなと思います。「レストラン」をしつくりたいというよりも、どっちかというとコミュニティをつくりたい感覚の方が近いですね!

 

目の前に畑がある、唯一無二のファミレス

−−メニューの開発も進めているんですよね?どんなメニューが登場しそうですか?

和田さん:子どもが食べてみようってトライできるように、最大限子供が食べやすい味にしています。食材は、野菜にこだわってますね。店の目の前開けたら畑があって、野菜触って食べれてっていうのは多分唯一無二で、他のファミレスには絶対ないはずなので!先ほど大皿料理がメインと言いましたが、野菜が主役になれる大皿料理をテーマにしています。例えば“すき焼き”ってお肉がメインになるはずだけど、あえて地域で採れるブランド玉ねぎがメインに見えるような“すき焼き”にするんです!

 

−−そのすき焼きはユニークな発想ですね!

和田さん:はい!ビジュアルは玉ねぎがドーンと置いてあって目で楽しみながらも、味もちょっと洋風に仕上げてトマトとバジルも添えて、玉ねぎをパカっと割ると中からチーズがトロッと出てる、そんな”すき焼き”です!(笑)

そうやって今まで常識とされてるものを、ちょっとずつずらして、大人も子どもも楽しめる味わいにしていきたいですね!

 

−−子どもはもちろん、大人が聞いても美味しそうです!

和田さん:これはもうメニューを監修してくれている丸山さんが、僕の無邪気に付き合って、お伝えしたことを全部形にしてくれるおかげなんですよ!(笑)

 

子供を育てたいと思うサステナブルな環境を。

−−これからもどんどんアップデートしそうな、ワクワクするレストランですね!なにか将来的にやってみたいことはありますか?

和田さん:そうですね!子育てについていうと、貧困と言われる層の方々は本当に深刻な状況なんです。だから、飲食で来てくれる人たちのお金の一部が、困っている人の食事に寄付されていくような仕組みを作っていきたいという想いはありますね。

僕も視察などでNPOさんなど、同じような志を持つ人たちに会ったりするんですけど、ドネーションのような取り組みで一番困ってるのは資金繰りなんですよ。せっかくいいことをしてるのに、寄付や補助金がもらえないなどで活動をストップせざるをえないということが起きてしまって持続できないという話もよく聞きます。本来こうした活動こそ、サステナブルであるべき活動だから、やっぱり営利目的で、自分たちで回していけるスキームを作っていかないと難しいと考えています。

だから僕は今回の事業をやるときに、営利である株式でやることにしたんです。そういう風に持続可能な対価をもらいながら、世の中に価値を落としていきたいと思っていますね。

 

−−そうした仕組みづくり、スキームができたら、他の地域でも展開できそうですね。

和田さん:そうですね、僕が目指してるのは社会全体の話なので、小田原に固執した話でもないんですよね!でもスタートが小田原だからこそ、ファーストミッションは、小田原がもっと子育てしたくなる街に変わっていくよう、自分が何か事業を通してやれたらいいですね。

でも、それってゆくゆくは地方再生モデルの一つになれるかもしれないと思っています。どこの地域も若者の流出とか少子化とか、もうこれは避けられない現実で、小田原もその一途を辿り始めています。だからこそ、若い人たちに子供を育てたいと思える環境を作りたいと思うんです。

もしかしたら子育てっていうのは、地方が元気になっていくきっかけになれるかもしれないと思ってるので、そこまで描きながら一個一個やっていきたいです!お話ししていて気づいちゃったんですけど、、もう、やることが沢山あって終わんないですね!(笑)

 

素敵な時間を過ごして、食をもっと好きになって欲しい。

−−子育てがしたくなる街かぁ、和田さんのお話を伺っていると、そんな風に小田原が言われる日もそう遠くない気がしますね!今回は幼少期から現在に至るまで赤裸々に色々とお話を伺ってきましたが、終始楽しそうにお話しされる和田さんの言葉を浴びて、こちらまでワクワクしてきました!それでは最後に、「Family Restaurant Ne;」に、こんな人に楽しんでほしいとか、こういう人に来てほしいなど、メッセージをぜひお願いします!

和田さん:ありがとうございます!「Family Restaurant Ne;」は生きていく上で大事な食という営みを、より好きになってもらうためのきっかけになれる場所だと思っています。だから、料理だけじゃなくて、収穫や生産者との交流など、トータルの体験を通じて、食をもっともっと好きになれる、そういう場所でありたいと思っています!

それを踏まえて「Family Restaurant Ne;」にはシンプルに、食を通して、家族との素敵な時間を過ごしてほしいっていうことと、やっぱり食にもっともっと興味を持ちたいと思っている人に来て欲しいですね!

 

−−和田さん、ありがとうございました!オープンが待ち遠しいです・・!

お祖父さんのようなプライドある生き方をしたいと思った少年期。そして自分が楽しいかどうか、という視点にこだわり、情熱と行動力で進む道を決断してきた学生時代。社会に出て、お子さんを持つようになって芽生えた、食べること、さらには子育てをもっともっと楽しめる世の中を作っていきたいという想い。そんな和田さんが開業する「Family Restaurant Ne;」では、きっと訪れる誰しもが、和田さんがずっと大切にしてきた、楽しく、ワクワクした気持ちを共有できるのではないでしょうか。

– Information –
Instagram(たからもの)
Instagram(Family Restaurant Ne;)

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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