料理に興味を持ったきっかけは
幼少期の食体験
西村さんが食に興味を持つようになったきっかけは何だったのでしょう。
西村さん:小さい頃から食べることと楽しいことが大好きでした。漁師町出身なのでおいしい海の幸を食べて育ち、自営業の父母が忙しかったこともあり、夏休みなどは祖父母に旅行へ連れて行ってもらい、その土地ならではのものを味わっていたんです。
全国各地でいろんな料理を食べましたが、今でもよく覚えているのは、群馬県の草津温泉で食べたお子さまメニューです。木でつくられた小さなおうちの屋根を開けると、いろんな料理が入っていて。素敵な仕掛けに感動しました。
もうひとつが、三重県の志摩観光ホテルで食べたカレーです。伊勢海老やあわびが入っていて、いつも食べているカレーとは全然違う。「なんだこのおいしさは!」と衝撃を受けましたね。
そうした経験をしていくなかで、少しずつ食や料理に興味を持つようになって。中学卒業後の進路を考えたときに、「普通科で学ぶより、毎日料理の勉強ができたほうが楽しそう」と、相可高校の食物調理科を選びました。といっても、はじめから決めていたわけではなく、進路希望変更の最終締切ギリギリのタイミングでの決断でしたが(笑)。
包丁の扱い方から学び
「高校生レストラン」の運営にも参加
相可高校の食物調理科はとても人気のコースで、定員はたったの20名です。いったいどんな学校だったのでしょうか。
西村さん:相可高校は食のスペシャリストを育成する学校で、卒業と同時に調理師免許を取得できるのが特徴です。「小さい頃から料理人になりたかった」とか「兄や姉が通っていて、その影響で自分も料理人を目指すようになった」など、みんな夢や目標がはっきりしているんです。「楽しそう」という理由で入ったのは私くらいだったので、最初は周りとの本気度の違いに戸惑いました。
気になる授業の内容は?
西村さん:栄養学や食品衛生などの座学もありますが、1日のほとんどが実習です。もともと料理ができなかったのですが、包丁の持ち方や研ぎ方といった基本から教えてもらえたので安心しました。
大変だったのは実技テストです。制限時間内に三枚おろしをするとか、きゅうりの薄切りが何枚できないと不合格とか。たくさん練習して、たくさん指を切りました(笑)。
メディアなどで有名な「高校生レストラン」にも参加していた西村さん。
西村さん:調理クラブに所属し、先生の指導のもとレストランの運営からメニュー考案、調理まで行っていました。実際にレストランを開くのは土日祝なので、木曜と金曜はその準備のために、朝5時から先生方と一緒に市場へ行って食材を仕入れ、放課後、みんなで仕込みをしていました。
“大人と一緒に商品開発をする”という
貴重な経験もできた
西村さん:調理クラブでは商品開発もしていました。例えば、メーカーさんからの依頼で、おからを使った「卯の花まん」を一緒に開発したり、コンビニエンスストアさんと一緒に地元食材をふんだんに盛り込んだオリジナルのお弁当を商品開発したりしました。
部員が60人くらいいるので、そうした商品開発には全員が参加できるわけではありません。私は将来食品メーカーで商品開発に携わりたいという気持ちがあったため、よく参加させてもらっていたんです。ほかには、和食を極めたいという人は、京都の有名料亭に研修に行ったりもしていましたね。
大人と一緒に仕事をするというのは、高校生にとってはとても貴重な体験。振り返ってみて思うこともあるのではないでしょうか。
西村さん:当時は「高校生だからといって失敗できない」という緊張で常にいっぱいいっぱいだったので、楽しむ余裕もありませんでした。でも、今こうしてフードコーディネーターの仕事をしてる立場で当時を振り返ると、ご指導くださる先生方に見守られながら商品開発やプロデュースのプロセスをひと通り経験させてもらえたのは、すごくありがたいことだったなと改めて感じます。
次回は2/5(火)に公開予定です。食品メーカーに就職した西村さんがフードスタイリストに転身したきっかけから独立後のお話まで聞いていきます。(つづく)
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