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Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ
2023.10.10. | 

[Vol.1]外はカリッ。中はトローリが魅力の「春巻き」|Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ

春巻きは大好きですが今まで作ったことがありません。なぜなら、難しそうで時間がかかりそうな割に、カリッ&トローッの食感が出せそうにないからです。そんな私が、初めての春巻きをお弁当、ケータリング「kichijitsu(キチジツ)」オーナーで、フードコーディネーターの大高未来(以下:みくさん)さんに教えていただける贅沢な機会をいただきました。

「実はそんなに難しくないんですよ。大丈夫!」とにっこりするみくさんの手際の良さに引っ張っていただきながら、おいしい春巻き作りに挑戦してみたいと思います。

「春巻き」基本のレシピ

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<材料 2人分>
豚バラ肉 100g
海老 6尾
干し椎茸(水で戻しておく) 2枚
春雨 100g
たけのこ 50g
白菜 3枚
ピーマン 2個
春巻きの皮 10枚

オイスターソース 大1
醤油 大11/2
紹興酒(なければ料理酒) 大2
鶏ガラスープ 200cc
砂糖 大1
片栗粉、水 同量

★揚げ油
米油 鍋に入れた春巻きが浮かぶほどの量

 

<作り方>
①干しシイタケを水で戻しておく
②具材を切る
③フライパンで具材を炒める。このとき調味料で味付け&片栗粉でトロミをつける
④③にラップをかけて粗熱を取り、冷めたら冷蔵庫で冷やす
⑤冷蔵庫から出した具材を春巻きの皮で包む
⑥米油で揚げる

 

具材を適当な大きさに切る

みくさん:今日、干ししいたけを水に浸してそのままの状態で持ってきちゃったんですが、いつもはだいたい前日から水で戻しておきます。ジップロックにしいたけがかぶるぐらいに水を入れて一晩経てば戻ります。ジップロックの代わりにボウルを使っても構いません。干ししいたけは、時間がない時などはお湯で戻してもいいですよ。干ししいたけの戻し汁はいいだしになるので捨てずにとっておいてくださいね。

 

黒澤:干しシイタケを戻す時間がなかったらどうすれば良いですか?

 

みくさん:強いうまみが出るので干ししいたけがオススメですが、急に「春巻きを作ろう!」ってなっても干ししいたけを戻す時間がないですよね。そんなときは生の椎茸でも構いません。

春雨も水で戻しておきましょう。

 

黒澤:緑豆春雨って書いてますね。

 

みくさん:私は大体、緑豆春雨を使います。国産の春雨の多くはじゃがいもなどのデンプンから作られているのですが、緑豆春雨は、豆やえんどうなどのデンプンから作られていて、太さだったりその食感などが、火を通す料理の食感に合っているんです。

 

黒澤:なるほど!戻すのはお湯でも良いですか?

 

みくさん:全然大丈夫です。

 

黒澤:それを聞いて安心しました。具材は何でも良いですか?

 

みくさん:野菜でもお肉でも、ご家庭の好みの具材を入れてください。さつまいもや根菜類をちょっと大きめに切って巻くのもおいしいですよ。今日は、スタンダードな春巻きの具材にしてみました。春巻きは最後に揚げるので揚げ物なのですが、春巻きの皮で包んで高温の油で揚げるので、実際は中身の具材を蒸す、蒸し料理というイメージなんですよ。

 

黒澤:実は私、春巻きを作ったことがないんです。まずは何をすれば良いですか?

 

みくさん:そうなんですね。春巻きは比較的簡単に作れるので、すぐにできるようになりますよ! まず、材料を全てカットしていきましょう。

 

みくさん:水で戻した干しシイタケは石づきを切り落とし、かさと軸に切り分けます。ヒダを下にして、はしから2〜3mm幅に切ります。

 

みくさん:たけのこは、根元の方を5cmくらいカットします。まん中の節の部分を包丁で落として、全体を3〜4つに切り分けます。すると、半円状だったものが板状になるので切りやすくなります。それを同じ間隔で細切りにしていきます。

 

みくさん:白菜は芯と葉の部分に分けて切ります。あんまり細かくする必要はないんですけど、1センチぐらいですかね。

 

みくさん:ピーマンは種を取って細切りに。

 

みくさん:いったんまな板を洗って、豚肉も細切りにしていきます。たけのこより少し太めかな。

 

黒澤:いろいろ切りましたが、ここまでで5分くらいでしたね。

 

みくさん:そうですね。材料を何センチに切るかは基本的にお好みなので、あまり気にせずにどんどん切っていきましょう。

では、エビの処理をしていきます。今日はブラックタイガーを使いますが、それ以外でも構いません。エビの殻は、足をもって、手前から向こう側にくるっとむきます。最後にしっぽをしゅっとぬけば全ての殻が簡単にとれます。

 

黒澤:ホントですね。簡単にできた。

 

みくさん:殻をむいたら背ワタを取ります。足と逆側の丸まった方にある黒い線が背ワタです。これがあると、料理の見た目や風味を損ねることがあるので、取ったほうが良いと思います。エビの背中側に沿って包丁で浅く切り込みを入れ、その部分を包丁の先や爪楊枝で取ります。

 

みくさん:背ワタをとったら、塩もみして臭みをとり、水分を拭き取ります。このひと手間で仕上がりが全然違うので、ぜひやっていただきたいです。

 

みくさん:春雨は長ければはさみで半分くらいにカットします。長さはそんなに気にしなくて構いません。

 

具材に火を通して味をからめる

みくさん:材料を全部切ったら、火を通していきます。

 

黒澤:油の種類は何ですか?

 

みくさん:市販の油で大丈夫です。フライパンに大さじ2くらい。油を熱して、強火でお肉を炒めます。

 

黒澤:強火で焦げませんか?

 

みくさん:混ぜながら炒めれば大丈夫です。強めの火でお肉を炒めると肉汁が出にくいので、旨味がもれないんです。料理屋さんだと豚肉に下味をつけるのですが、今回はそこまではせず、具材全体をオイスターソースや鶏ガラで味をつけていきます。

 

黒澤:お肉が白っぽくなってきました。

 

みくさん:そしたら、野菜を加えて、さらに炒めます。野菜から水分がでるので、ずっと強火で構いません。野菜がしんなりしてきたら、春雨を加えて、全ての具材が均一に混ざるように炒めます。

 

みくさん:そこに、混ぜておいた調味料を入れ、軽く煮詰めて具材に味を入れていきます。その後一度火を止めて水溶き片栗粉を回し入れ、全ての具材に統一に絡むように混ぜ合わせます。

 

水溶き片栗粉のポイント

みくさん:水溶き片栗粉は、小さなボウルに片栗粉と水を加えて、よく混ぜ合わせてくださいね。

 

黒澤:片栗粉のトロミってどうやって調整しますか?

 

みくさん:そうですね。だいたい、水と片栗粉を1:1って言いますけど、どれくらいトロミをつけたいかによって分量を調整する感じでしょうか。

 

黒澤:さらさら寄りかとろとろ寄りのどちらに仕上げたいか、ですね。

 

みくさん:そうですそうです。要は片栗粉の量なんですね。ただ、片栗粉をボンって粉のまま入れると、粉がかかった部分だけがダマになっちゃうので、そうならないために水で溶くというわけです。

たとえば、「3のとろみが欲しいのに、今、2のとろみしかないな」と思えば、1の片栗粉を追加するために、水で溶いて入れるんです。しっかり水で溶いてくださいね。

 

黒澤:必要な分量の片栗粉を入れるということですね。ただ、まんべんなく具材にからませるために水で溶く、と。

 

みくさん:はい。あとは、水溶き片栗粉を入れるタイミングも大切です。最初の、強火の時点で入れると、そこから固まってしまうので、注意してください。水溶き片栗粉を入れる前に、1度、火を弱めるか止めるかしてください。

 

黒澤:そのまま入れても大丈夫ですか。

 

みくさん:バシャっとかけないように、フライパンの中身全体に行き渡るように、回し入れてくださいね。

 

具材に火を通して味をからめる −フライパンを振って仕上げる−

みくさん:水溶き片栗粉は、最初は液体状ですが、加熱することで徐々にとろみが出てきます。フライパンを振って全体を混ぜながら加熱すると、具材全体に均一にとろみがつきます。(フライパンを振って具材を返す)

 

黒澤:おおっ! テレビでよく見るプロの技ですね。みくさん、華奢なのにすごい。私がやると、材料が全部向こうに飛んで行っちゃうんですよ。

 

みくさん:慣れですね(笑)。だれでもできるようになりますよ。

 

みくさん:水溶き片栗粉のおかげで、具材全体がトロッとしたソースに包まれるような感じになります。具材がフライパンの中でひとまとめになれば、ソースが具材に絡んだちょうど良い状態なので火を止めます。

 

黒澤:ちょうど良い硬さって……。

 

みくさん:春巻きとして食べるときに、どれぐらいの硬さがいいのかによって調整していただければいいかなと思います。今日はちょっと硬めに仕上げました。1回、冷蔵庫で冷ますとちょっと固まるんですけど、油で揚げることによって火が入るので、この状態の硬さに戻ります。

 

黒澤:このままごはんに乗せて食べたいですね(笑)。

 

みくさん:本当にそうですね(笑)。春巻きって、この、これだけで食べられる状態にすると、あとはもう巻いて揚げればOKなんです。

 

みくさん:これをバットに移して冷ましましょう。

 

黒澤:ラップをかけて冷蔵庫へ。

 

みくさん:できるだけ具材を空気に触れさせないために、「落としラップ」をします。「落としラップ」は具材の表面に密着させてラップをすることで、具材の乾燥や酸化を防ぐことができます。室温で置いておいて、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れてください。具材が熱いうちに皮にのせてしまうと皮がやぶれてしまうので、冷めるまで待ってくださいね。ここが美味しく作るポイントの一つです!

 

黒澤:特別な日の前日に具材を仕込んでおくのもアリですね。

 

みくさん:そうですね。ちょっと手間かも知れませんが、そうすれば、料理を出す当日は皮で具材を巻いて揚げるだけで良いので楽ですね。1日目は具材を載せて丼にして、2日目に春巻きにすると2日分のレシピとして使えますよ。

 

次回は10/12(木)に公開予定です。
いよいよ具材を春巻きの皮で巻いていきます。不器用な方も大丈夫。巻き方の特別動画付きでお届けします!

 

– Information –

大高未来さんプロフィール

Instagram:@_kichijitsu_

 

ライター / 黒澤 真紀

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。

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