SERIES
Food Experience Story
2024.09.27. | 

【Vol.1】ピッチからアートへ。グラフィックデザイナーYUNOSUKE

イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍をするYUNOSUKE(ゆうのすけ)さん。あらゆるジャンルにおいてグラフィックデザインやイラストレーションで活躍の幅を広げているクリエイターです。作品集『FAR COAST』は発売するなり完売し、現在も入手困難。オールディーズが聴こえてくるような懐かさを覚える作風は、YUNOSUKEさんの遊びごころが詰まっています。そんなYUNOSUKEさんは、ちょっと面白い経歴の持ち主。小学校から大学までサッカーに明け暮れる日々を経てクリエイターになったんです。そして、好きな食べ物は、パスタ。いろんな料理動画を見て研究、作って食べてを繰り返し理想の味を追い求めるほど食への探究心も。

この記事では食べること、作ることが大好きなYUNOSUKEさんが歩んできた道のりを辿ります。サッカーからクリエイティブの世界へとフィールドをうつした彼が、どのようにしてクリエイターとしての道を切り拓いていったのか。そんなYUNOSUKEさんの作品や人生観に、食体験はどう関わってきたのかを早速うかがってみましょう。

ゴールキーパーからクリエイターへ転身

YUNOSUKEさんは、小学生の時に見た2002年の日韓ワールドカップで活躍するゴールキーパーに憧れて、サッカーをはじめます。その後、ゴールキーパーとして頭角をあらわすと、高校ではサッカーの強豪校でインターハイに出場、国体5位入賞、地区対抗戦中国地方代表全国1位などの結果をおさめて、大学もプロのサッカー選手を多く輩出している名門校に進学しました。
一気にプロサッカー選手としての道をかけあがる、、かと思いきや、卒業後はデザイン事務所へ。そこからクリエイターとしての道へと歩き出します。

 

−−サッカーでも華々しい経歴をおもちですよね。そんなサッカーというフィールドから、クリエイターになるまでのお話をお聞きしたいと思います。まずは、小さい頃はどんなお子さんだったのでしょうか?

YUNOSUKEさん:幼い頃からどこに行ってもずっと1人で絵を描いていたほど、絵を描くのが好きな子どもでした。
絵に限らず何かを“つくる”っていうことが好きだったんですよね。
だから、図工とかもそうですし、料理も自分で考えた独自のデザートを作ったりしましたよ。
特に絵に関しては、うちの母の影響も大きいですね。
うちの母は絵を描くのが好きで、家には母が描いたスケッチブックがたくさんあったんです。
僕は、その母の絵を真似をして、絵を描いていました。

 

−−それはかなりお母さんも嬉しかったんじゃないですか?

YUNOSUKEさん:そうですね、でも逆に、本当に毎日絵を描いて過ごしていたので、それを見ていた親にも半ば心配されて、、それでサッカーをはじめたんです。

そこから2002年の日韓ワールドカップで活躍するゴールキーパーに憧れを抱いて、がっつりとサッカーに向き合うようになっていきました。

 

−−そこからはあまり絵を描く機会も減ってしまったのでしょうか?

YUNOSUKEさん:そうですね、サッカーをはじめるまでは女の子と一緒に絵を描いたりしているという感じでしたが、サッカーを始めてからは、たまに友達の誕生日に似顔絵を描いたり、部室でイラストを描いたりする程度になりました。大学まで本当にサッカー中心の生活でしたね。

 

デザインの道に進みたい。
自分の気持ちにちゃんと気づいたんです。

−−相当サッカーにうち込まれたんですね!でも大学までサッカー中心だったYUNOSUKEさんが、どうして卒業後はデザインの道にすすむことになったのでしょうか?

YUNOSUKEさん:やっぱりサッカー中心とはいえ、ずっと好きだった絵を気分転換に描いたりもしていたんですよね。そこで大学1年生ぐらいのときに、手描きのイラストをインスタグラムに投稿しはじめたんです。
するとちょっとずつ好意的なコメントがついたり、フォロワーさんが増えたりして。
そうした経験の積み重ねがデザインへの自信にも繋がって、次第にこっちの道(デザイン)に進みたいなぁっていう想いが芽生えて、強くなっていったんですよね!

 

−−ちなみに、その頃のイラストはオリジナルというか、独学で描きおこしていたものですか?

YUNOSUKEさん:オリジナルですね。特に何か習っていたわけではありませんでした。ただ好きで絵を描いていくうちに、だんだんと「この人のここの描き方がかっこいい」って思うアーティストが見つかったり、意識していくようになりましたね。それをそのまま真似して描きまくる!ということもしていました。

 

−−そうして、進路がクリエイティブの世界に繋がってくわけですね。でも輝かしい成績をもつYUNOSUKEさんがサッカーをやらないって周りの仲間は驚きませんでしたか?

YUNOSUKEさん:そうですね、結構反応はいろいろありましたね。でも、大学3年生になった頃には、興味のある展示会にひとりで行くようになって、次第に一緒に行ってくれる友達もできたり、デザインの方にどんどん興味が湧いてしまったんです。「あぁサッカーよりもこっちが好きだな。こっちにいるときの方が楽しいな」って自分の気持ちにちゃんと気づいたんですよね!

だから、もう大学4年の就活のタイミングには、イラストレーターになるって決めてました。でも、親とも話しながらいきなり未経験でイラストレーターは難しいという話になって、まずはデジタルスキルを学びに都内の大人の方が多く通うデザイン学校で1、2ヶ月の期間でAdobeのアプリをギュギュッと教えてもらえるコースに通いました。

この時は、サッカー部と並行しながらだったので大変でしたが、そこから自分のポートフォリオを作って、これを好きな、気になるデザイン会社に送ったら2、3社から良い反応もいただけたんです!

 

デザイン会社を経て独立。
西海岸で見つけた“雑なデザインの面白さ”

−−いきなりそんな反応があるものなんですか?すごいですね!

YUNOSUKEさん:いや本当に下手だったんですけど、みなさんサッカーの経歴を見て“面白いね”っていう反応をされて。意外とサッカー好きな人が多かったようで、いくつか良いお返事をいただいたんです。

デザインの業界も体育会系みたいなところが当時はあったので、面接を担当された方に「この子は頑張れそう」っていう印象をもたれていたり、美大生じゃなくても、デザイン技術は働きながら教えられるから大丈夫っていう印象もあったみたいですね。実際にデザイン会社でいろんな経験をさせていただきました。

 

−−そうなんですね!入社後のデザイン会社では、主にどんな経験をされたのでしょうか?

YUNOSUKEさん:デザイン会社では、雑誌を読者が読みやすいように誌面をデザインをする「エディトリアルデザイン」という役割で関わることが多くて、本当に0.1ミリ単位でデザインの修正をする緻密なデザインをやっていました。師匠と一緒に「そこ0.1ミリずらしたから、こっちも0.1ミリずらそうか」みたいなことをずっとやるっていう結構大変な仕事なんです。雑誌が出来上がるまでにはこうした苦労があって出来上がっているというのを身をもって体験しましたね。でも、自分はもともと体育会系だからか、それをずっとやっているうちに頭がおかしくなりそう、発狂しそう!って、本当にムズムズして走り出したくなっちゃったりもしましたよ。

 

−−まさに修行の日々。そうしたデザイン会社での経験を経て、いよいよ独立されたんですね!独立後のお話もぜひ聞かせてください。

YUNOSUKEさん:そうですね!独立後はずっと憧れていたアメリカのサンフランシスコに留学をしたんです。

 

−−サンフランシスコですか?なにか強い想いがあったのでしょうか?

YUNOSUKEさん:何がきっかけかはわからないんですけど、西海岸の雰囲気がすごく好きなんです。デザインとか、雰囲気とかちょっとローカルな感じがすごく好きで、ずっと憧れてたんです。実際に現地に行ったら衝撃的でした。もう歩いてるだけでも、“全部がインプット!看板がかっこいい!全部のお店がかっこいい!”って思うほど、本当に好きになりましたね。

サンフランシスコで目にするデザインは、もう余白とか関係なしに文字がのっている看板とか、ものすごく良いイラストなんだけど、色がはみ出てるとか、そういったものを見て「雑なのにかっこいい!」って思えたんです。0.1ミリ単位の緻密な作業をすることがデザインだと思い込んでいた自分からしたら、この大雑把さにすごく救われました。「これでいいんだ、これがかっこいい!」っていうふうに自信をもって思えた自分がいたんですよね。

今でもわざと雑な表現したりとか、わざと崩したりとかすることがあるんですけど、結構その頃の経験が作風に影響したりしています。

 

−−ちなみに留学の時の食事についてはどうですか?例えば一番感動した食べ物はありますか?

YUNOSUKEさん:シンプルにどこに行ってもステーキが大きくてめちゃくちゃ美味しかったですね。でも感動したっていうとタコスかもしれないです。実はホームステイ先の食事が本当に不味過ぎて、、、全然食べれなかったんですよ。

だから、夜中にこっそり家を抜け出してご飯を食べに行くんです。でもそんな時間に営業しているお店なんかなくて、唯一やっていたのがメキシコ人がやっているタコス屋さんでした。それで、そこで食べたタコスにすごく感動したんですよ!この感動はちょっとホームステイ先の苦行のようなエピソードがあってのことかもしれないですけど。

もうそれこそトルティーヤの上にお肉がドンッと乗ってて、雑で大胆な感じで、手を汚しながら頬張る! これぞジャンクっていうのが本当に美味しくて、好きでしたね! 最終的にはスペイン語で注文もできるようになるくらいに通ってました。

 

画像:現地で食べていたタコス

−−スペイン語で注文できるほどって、もう相当そのお店に通ってタコスを食べたんですね!アメリカ留学での食体験は刺激的なものになりましたね!

YUNOSUKEさん:そうですね!なんかこう今思うと、イラストのインスピレーションだけではなくて、こんなドーナツ屋を日本でやったら流行るんじゃないか?とか食のインスピレーションの方もかなり敏感になってたかもしれないです。

今でこそ日本でタコス屋さんも増えてきましたけど、当時は「これを日本人は知らないのか」って思って、真剣にタコス屋さんをやろうかなって思った時期もありました。

日本に帰ってから自分でタコスを作りましたが、ちゃんと作ろうとすると結構手間がかかって大変なんですよね。忙しい時にでももっと簡単に作れたら、多分もっと自分で作って食べていたと思うんですけどね。でも、また時間あるときはあの味を思い出しながら作ってみたいと思ってます!

小さい頃から絵を描いたり、図工やお料理など“つくる”ということに興味があったYUNOSUKEさん。次回Vol.2では、YUNOSUKEさんのクリエイティブの源泉や作風について、食がどう影響しているのかという部分にも踏み込みながら、お届けします!

Vol.2はこちら

 

– Information –

YUNOSUKE
YUNOSUKE STORE
Instagram

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

モッテイクマガジンでは、イベントのレポートや新しい食のたのしみ方のアイデアを発信します。そして、生産者、料理人、生活者の想いをていねいにつないでいきます。 みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

Mo:take MAGAZINE > Food Experience Story > 【Vol.1】ピッチからアートへ。グラフィックデザイナーYUNOSUKE

Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

Mo:take MAGAZINEは、
食を切り口に “今” を
発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、
その時、その場所は、
より豊かになるはず。

みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

みんなとともに考えながら、
さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性を
きりひらいていきます。

さあ、いっしょに たべよう

OTHER SERVICE

様々な形で「食」が生む新たな価値を提供します。

ブランドサイトへ