春野菜が充実する季節ですね。野菜売り場でみずみずしいキャベツや玉ねぎ、人参をながめていると、それらを大振りに切ってコトコト煮込んだスープが食べたくなりませんか。シンプルな野菜スープの決め手はセロリでしょう。セロリを入れると、スープ全体の風味やコクが増します。
ですが、セロリ単体はクセがあって、好き嫌いのわかれる素材です(うちの家族も、サラダに入れると手を伸ばしませんね……)。スープに使うだけでは、たくさん余ってしまいます(でも、スープにはどうしても入れたいので買ってしまう……)。使わないまま、だんだん黄色くなってしなしなになると、素材を無駄にした罪悪感が湧いてきます。なんとしても、美味しく消費しなければ。
こんな風に、必ず使いたいけど使い道が見つかっていない素材が冷蔵庫にあるときは、ネット検索でアイディア出しがおすすめです。
さっそく「セロリ」でGoogle検索をしてみると……。
レシピはもちろん、辞書的な説明ページ、通販ページ、名前に「セロリ」が入っている施設など、いろんな種類のページが並んでいます。この検索結果を眺めていても、なかなかつくりたい料理のイメージにはたどり着けません。そんな時は、画像検索に切り替えます。画像検索の結果を見ると、そのページがレシピかそれ以外なのかが視覚的にわかるのです。飲食店で、文字だけのメニューを見ていてもイメージがわかないけれど、画像入りだと食べたいものを探しやすいですよね。あれと同じです。
画像検索の時点で良さそうなレシピが見つかる場合もあるのですが、セロリの画像検索の上位は辞書的な説明ページが多く並んでいて、まだイメージがわきません。そんな時は、画像検索の結果をスクロールしながらざっと眺めてみてください。「なるほど、漬物っぽくすることもできるな」「葉っぱだけで活用する方法もありそうだな」「炒め物も良さそう」など、発見があったり、自分の作りたいものの輪郭が見えてくるはずです。
ここで私は、炒め物系にしぼることに決めました。
次は「セロリ 炒め」で画像検索をしてみます。すると、合わせる動物系の素材は、豚肉とタコが多いことがわかってきました。味付けは中華風か洋風が多いようです。個人的には、魚介と合わせてレモン炒めがベストなのですが、おそらく家族は好みじゃないだろうな……ということで、中華方向に絞ります。画像検索をスクロールする中で豚肉が相性良さそうな上、家族も喜びそうだなと思い、合わせる素材は豚肉に決めました。
検索の上位に戻ってレシピ探しに入ります。
ひとつのレシピに絞るのではなく、いくつかのレシピを見ます。ひとつめのレシピは、ユーザーがレシピを投稿できるタイプのサイトのもの。レシピのジャンルや数が豊富なところが魅力です。ただし、投稿者の料理の力量はレシピだけではよくわからないため、玉石混交の宝探し的要素があるのです。今回見つけたレシピの味付けは、塩胡椒がメイン。そこににんにくやしょうがで風味をつけるよう。豚肉に片栗粉をまぶす下準備が入っているので、肉にとろみがついてよく味が絡み美味しそう。なかなか参考になりそうなレシピです。
ここまで理解したら、次のレシピを探します。
次に見つけたレシピは、食品メーカーが運営する料理メディアのものです。このタイプのレシピの特徴は、材料にその企業の製品名が並んでいること。もちろんそのメーカーの材料を揃えてもいいのですが、家にあるものに置き換えても良いでしょう。頭の中で材料を変換しつつ、料理イメージを膨らませます。なるほど、このレシピは豆板醤を入れるようです。たしかに、辛味要素をいれるのも良さそうですね。
ということで次のレシピへ。
こちらは料理番組の運営するページです。この場合、料理研究家やシェフなど、料理を仕事にしている人が監修していることが多いです。レシピの完成度は高く、安定感があります。このレシピの特徴は、鶏がらスープと水溶き片栗粉で中華あんをつくってまとめるところ。中華あん炒めは、家族の好きな味です。
このほか2〜3つのレシピを見て、方向性が決まりました。
「セロリと豚肉のピリ辛中華あん炒め」にします。
詳細な作り方は、いくつかのレシピで理解した大まかな流れを参考にしつつ、自分で決めちゃいます。
セロリは5ミリ程度の斜め切りに。
豚肉は塩と酒をもみ込んでおく。
ニンニクとショウガはみじん切り。
唐辛子は小口切り。
片栗粉は水で溶いておきます。
フライパンでごま油を熱し、ニンニクとショウガをいれます。
香りが立ったら豚肉を。
色が変わって火が通ったら、セロリと唐辛子を投入。
セロリが透きとおって火が通ったら、酒、鶏がらスープ(顆粒の鶏がらスープの素を水で溶く/100ml程度)を入れて煮立たせ、醤油で味付け。
水溶き片栗粉を入れてとろみがついたら完成!(ちなみに、唐辛子はニンニク・ショウガと同タイミングで入れても。熱するほど辛みが出るので、辛いのが苦手な家族がいる場合は後で入れるのがおすすめ)。
ということで、今夜のセロリは炒め物になりました。次回、セロリがあったら、何をつくるでしょうか。その時の気分と検索結果によって、まだつくったことのないものをつくるかもしれないし、今日の炒め物が美味しかったらリピートするかもしれません。その日がくるまで、何を作るかはわかりません。
ネット検索を上手に使って一期一会をたのしむ、料理ワンダーワールドへ、あなたもぜひ!最後に、コツをまとめておきますね◎
1. 検索一覧から良さそうなレシピをスムーズに探すには、画像検索がおすすめ
2. 検索一覧の料理画像を眺めながら、生で食べる(サラダなど)、火を通す(炒める、煮る、蒸す、揚げるなど)、和える(マリネなど)といった、大まかな方向性を決める
3. 調理の大まかな方向性が決まったら、「素材名 調理方法」で再度検索
4. 合わせる素材や「和風」「中華」「洋風」といったジャンルを決めると、レシピの数が絞れます
5.料理メディアは、「ユーザーがレシピを投稿」「食品メーカーが運営」「料理番組が運営」といった特徴がある。それぞれの都合や個性を知って使うと◎
6. レシピはいきなりひとつに絞らず複数眺めて、材料の都合が良いもの、調理のプロセスが好ましいものなどを探す
7. 材料は作り方はひとつのレシピを忠実に再現してもいいし、いくつかのレシピの好きなところだけパッチワークのように集めてもOK