2021.08.03. | 

[Vol.1]場づくりとカフェ、そして食の関係を語る。「HYPHEN TOKYO」井上雅之×「Mo:take」ヘッドシェフ坂本英文

Yuinchuが運営を行う HYPHEN TOKYO でディレクターを勤める井上雅之(いのうえ・まさゆき)と、「Mo:take」ヘッドシェフの坂本英文(さかもと・ひでふみ)。2年前からMo:takeのリニューアル、そしてHYPHEN TOKYOの立ち上げに共に関わって来た二人に、「場づくり」、そして場と「食」の関係について、じっくり話していただきました。1回目は「そもそも場づくりって何だろう?」というお話から。

「マサさんは、僕の中に眠っているものを引き出してくれる人」

ーーHYPHEN TOKYOが運営する中目黒の「OPEN NAKAMEGURO」は、カフェであり、「開かれた場所」をコンセプトにもつ”場”でもあります。場について語って頂く前に、まずは井上さんのことを教えてください。

 

井上:ブランディングを中心としたブランド戦略を手がけています。HYPHEN TOKYOには、立ち上げ時からディレクターとして参加しています。
アパレル、観光系のコンサルティング会社などを経て独立。海外アパレルブランドの日本展開におけるブランディングを皮切りに、ブランド戦略の仕事は5年目になりました。

 

ーーブランディングのプロですね。Yuinchuとの出会いはいつ頃ですか?

 

坂本:2年前、「Mo:take」をフルリニューアルする時のブランディング をしてもらったんですよ。ブランディング目線はもちろんのこと、あらゆる角度から問いや指摘をもらって、かなり深掘りしていったのを覚えています。 

 

井上:当時は今とは違ってコンサルという立場だったので、ひたすら問いかけてましたね。

 

坂本:マサ(=井上)さんは、僕の中に眠っているものを引き出してくれて、僕の考えの中枢にある思いを言語化してくれました。そういう人は僕の周りにいなかったので、貴重な体験でした。

 

ーーマサさんがYuinchuと出会った時の印象は?

 

井上:枠組みにとらわれない所がすごく面白かったですね。「食はこうあるべき」、「場づくりはこうあるべき」といった固定観念がない会社だなと感じました。ここなら自分がやりたいことが一緒にできるかもしれない、場の概念も変えられるかもしれない、と思ったのが始まりです。

 

 

場づくりって、そもそも一体、何のため?

ーーブランディングディレクターとしてYuinchuに参加後、HYPHEN TOKYOの立ち上げに関わって今に至るそうですが、HYPHEN TOKYOディレクターとしての具体的な仕事内容を教えて下さい。

 

井上:OPEN NAKAMEGUROなどの直営店のディレクションと、「場をつくりたい!」という想いがある方々に伴走して場づくりをしています。

僕がしているのはカフェを起点とした場づくり。つまり、主はあくまで「場づくり」なんです。ですから僕自身、カフェを作っている意識はあまりありません。場の機能の一つとしてカフェがある、という認識です。

 

ーーここで根本的な質問をさせて下さい。そもそも場づくりって何でしょう?

 

井上:場づくりの一番の目的は、仲間を集めることだと思います。行き着くところは、共感を呼んで仲間を作れるかどうか。場づくりは、共感を連鎖させて仲間を集めるための手段ですね。

 

坂本:どうして仲間を集めるのかと言えば、自分にとって、より心地良い場所を作りたいとか、自分の想いを誰かと一緒に成し遂げたい、そういう思いからですよね。

 

井上:場づくりの概念はとても広いですが、仲間づくりは共通の要素だと思います。会社も一種の場づくりですよね。風土を整え、会社が行く道を示し、そこに共感する人を集め、同じ方向を向いて進んでいく。結局はそこが大事だと思います。

 

 

ラムネドリンクと駄菓子
普通のカフェにはないメニューの理由

ーーカフェは場の機能の一つということでしたが、その他に場に必要なものは何でしょう。

 

井上:僕がよく挙げる要素は、ヒト、モノ、コト、ウツワ、そしてコミュニケーションです。カフェの中にはあらかじめヒト、モノ、ウツワが含まれているので、ディレクターとしては「コト」を一番考えるかもしれないですね。そこでどんなコトが行われるのか、常々意識しています。

 

ーー例えばポップアップイベントは「そこでどんなコトが行われるか」の事例そのものですね。一方、いつも変わらずそこにある定常のカフェにおける「コト」とは。

 

井上:安定的で安心できる環境を提供しつつ、ふとした瞬間に「ここ、何だかいいな」と思ってもらえる体験が必要だと思っています。人やフード、ドリンクとの出会いや、「めちゃめちゃ映える写真が取れた」という体験もその1つ。ですから、そこで何かを感じ取ってもらう仕掛けは常に考えていますね。

 

ーーOPEN NAKAMEGUROで言うと、どんなものがそれに当たりますか?

 

井上:冬に販売していたジンジャーブレッドラテの「何これ、可愛い!」という反応もそうですし、期間限定のスポーツドリンクの「カフェなのにスポーツドリンク?」という驚きもそうです。そんな心が動く体験を提供したいと考えています。

この夏は、ラムネを使ったドリンクと駄菓子のセットを販売しています。特に今年はコロナでお祭りが少ないし、行きたくても無意識に躊躇してしまうこともあるかと思います。そんな時、近所のカフェに行ったらラムネのドリンクが置いてあって駄菓子が買えたら、地域の人にも今までとは違った、新しい体験をしていただけるかなと思っています。

 

これも、カフェではなく場として捉えているからこそできることだと思います。

 

8/10(火)に公開予定の次回は、「場所としての価値」、場づくりと密接に関わっている「食」ならではの特性についてさらに掘り下げてお聞きします。(つづく)

 

– Information –

HYPHEN TOKYO
Instagram:https://www.instagram.com/hyphen_tokyo/
WEB:https://hyphen-tokyo.jp

OPEN NAKAMEGURO
目黒区上目黒2-9-17 Nakameguro Crossover1F
11:00〜18:00
Instagram:https://www.instagram.com/open_nakameguro/
WEB:https://open-nakameguro.com/

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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