SERIES
コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2024.05.29. | 

[Vol.2]Buddycareの目指す世界は愛犬の世界に未病医療や予防医療を確立すること

SWITCH STAND HATSUDAIが愛犬の健康習慣を食で支える「Buddycare」と5月31日まで開催しているコラボカフェ『Buddy FOOD Cafe』(バディフードカフェ)。通常はオンライン購入や動物病院での試食会など、限られた場所でしか体験できなかったバディフードが気軽に楽しめる場としてお客様をお迎えしています。前回に引き続きBuddy FOODについてお届けする今回の記事では、愛犬サクラと一緒に店舗で取材に応じてくれたBuddycare COO・長井聖司さんと、本社を構える鹿児島からリモートで愛犬のロッティと一緒に取材に応じてくれたBuddycare CEO・原田和寿さんに、前回の記事で伝えきれなかった創業時の想いや商品開発の背景などを伺います。

生活習慣領域のデータ蓄積で
“適切”な健康管理法の定義を

−−Buddycareを創業の経緯や想いについて教えてください。

原田さん:家族には1日でも長く元気でいてもらいたい。その想いが創業の原動力です。 創業当時、愛犬ロッティとの生活は7年目。人生の色々な転機を共に過ごして、まさに、相棒(=Buddy)であり、家族。この大切な家族の健康を守っていくために、何ができるだろうか。愛犬サクラと過ごす共同創業者の長井と、議論を重ねる中で見えてきたのは、愛犬たちの世界には、「まだ適切な健康管理方法が定義されていない」という大きな課題です。

愛犬を取り巻く環境が改善してきたことによって、愛犬たちの寿命は少しずつ延びてきています。それに伴い、近年の死因の多くが、ガン・心臓病・腎不全などの生活習慣に関連する病気へと変化してきました。

生活習慣に関連する病は、人間の場合と同じく、普段からの適切な健康管理によっていかにかからないようにするか、という事がとても重要です。しかしこの“適切”が定義されておらず、それを定義するためのデータも蓄積されていないのが現状です。それであれば、世界で初めてBuddycareが生活習慣領域でのデータを蓄積し、適切な健康管理方法を定義しよう。Buddycareの目指す世界は、愛犬たちの世界にも、未病医療や予防医療を確立することです。

並行して、それぞれの愛犬たちの健康状態に合わせて適切なヘルスケアソリューションが提供可能になることで、愛犬たちの健康管理を包括的にサポートできるようになる必要があります。そのソリューションの第1弾として開発したのが、バディフードです。

健康管理を行ううえでの食事の重要性は自明なことだと思いますが、それに加えて、私を含めた多くのご家族の皆さんが、一般的な“ペットフード”に対しては大小、疑問を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

 

愛犬と同じごはん、あなたは食べられますか?
「家族には、家族にふさわしい“ごはん”を」

私たちが食べているものは食品。では、ペットフードは食品?そう聞かれたらなんと答えますか?
従来のペットフードは、農林水産省の管轄で“ペットフード安全法”で管理されいて、この法の中での定義は、なんと「雑貨」。つまり、モノなんです。果たして、大切な家族に雑貨・モノを食べさせているというのはいかがなものか。同じものを自分が食べれるかといわれると、正直手がでません。バディフードは人間も食べられる100%食品基準でのごはん。Buddy FOOD Cafeに訪れたお客様の中には“家族と一緒に同じレベルのご飯が食べれることに豊かさを感じますね”という声も。こうした声がが自然とでてくること自体が新しい発見でもあります。

「私たちの普段の食べものは、厚生労働省が管轄する“食品衛生法”で管理され、当然ながら“食品”です。雑貨と食品では、衛生面や情報開示範囲などにおいて、明らかな基準の違いがあることは、想像に難くないのではないでしょうか。 とはいえ、まだ食品基準で作られた愛犬用の食事は、ほとんどありません。バディフードが目指したものはとてもシンプルで、家族には、家族にふさわしい“ごはん”をということです。」と語る原田さん。食品基準のペットフードが少ない理由として考えられる背景ついても伺いました。

 

原田さん:日本でペットフードが初めて販売された1960年当時は、「人間がいかにペットを飼育しやすくするか」という点に主眼が置かれていたため、安く・長期保存できる、ということを満たすために、人間が食べない部位(骨や皮、羽なども)をミールとして使用し、常温での長期保存を目的として水分を飛ばすために高温で焼く。それによって消失してしまう味や香りを補うため、油分でコーティングする。そうして作られたのが、一般的なドライフードでした。今とは状況が大きく異なるため、当時のペットフードを否定するものではありませんが、現在、私たちと愛犬たちとの関係性は当時と比較して大きく変化しており、それに合わせてごはんもアップデートされるべきだと考えています。

現在では、食材や製法にとてもこだわったドライフードも多数ありますので、全てのドライフードが当時の観点で作られている訳ではありません。ただ、愛犬たちのごはん事情は、まだ大きくは変わっていないと感じています。 「ペットの家族化」という言葉が出始めて久しいことに加え、弊社が独自に4,000名を対象に調査した結果からも、本当に多くの方が、愛犬は家族同然に大切な存在だと考えていますが、食べさせているフードを、自らが口にできるご家族は、限りなく少ない。

何が入っているか分からない、何か気持ちが悪い、という感情がその理由のほとんどですが、ふと立ち止まって考えると、「自分が口にできないようなものを家族である愛犬に食べさせている」という大きな矛盾が存在しています。「何が入っているかわからないし、何か気持ちが悪いけど、犬のごはんだからいいか」とは、私はとても思えませんでした。

 

−−Buddy FOODは、食品基準に沿っているため食品として提供されていますが、近い言葉としてヒューマングレードというものがありますよね。

原田さん:「食品」に近い言葉として使われる「ヒューマングレード」は、実は日本においては明確な定義がありません。食材や工程の一部をヒューマングレードにしているだけで「ヒューマングレードな食事」と言い切っているものも多数見受けられます。 このあたりの定義作りは、私たちもリードしていきたいと思っていますし、アメリカのAAFCO※1では全ての工程が人の食品と同じ場合こそがヒューマングレードであるというガイドラインを発表しています。私たちはそれに準拠して作っています。

専攻するペット先進国の米国では、ヒューマングレードの商品が非常に増えてきているのに対し、日本ではまだまだ普及していないのは、単純に、これまで選択肢があまりに限られていたからだと考えています。ヒューマングレードではないフードをあげているからと言って、愛情が薄いということでは決してありませんが、選択肢としてヒューマングレードのごはんを認識していれば、日本でも、「ヒューマングレードの方が良い」と考える方が確実に増えていくだろうとと感じています。

 

※1:AAFCOは、ペットフードの栄養基準(ライフステージ別の総合栄養食の基準)、ラベル表示のルールなどに関するガイドラインを設定しているアメリカの団体)

 

安心安全なごはんで、愛犬との生活をより楽しいものに

−−良いものとわかっていても、当たり前になってしまっている習慣を変えることに抵抗がある人もいらっしゃるかと思います。そんな方々にはどんな風に背中を押しますか?

長井さん:何か問題が指摘されていたり、または問題を実感したりしているフードでない限り、生活習慣の一部であるフードを変えるきっかけが少ないのは事実です。そんな中で習慣を変えるひとつのきっかけは、試しに愛犬が食べてみて、体験を通じて良さに気付く・実感することです。バディフードを愛用をしていただいている方々は、知って、実際に体験していただき、良さに気づき、続けているという方々が非常に多いです。喜んで美味しそうに食べている愛犬の様子など、すぐに実感していただけることもあります。今回のコラボカフェもそれを知るきっかけになる場所、正しい生活習慣ってなんだっけと考えるきっかけになったらと思っています。愛犬家であれば、「愛犬も家族の一員」と思うのは当たり前の世の中になってきました。 人間の食事同様に安心安全な「ごはん」であるバディフードを通じて、愛犬に、より「家族にふさわしい」生活を提供していくことに繋がればと考えています。

大事な愛犬に対して、より良い生活を提供できているという安心感を得られると思いますし、愛犬に対する愛情も更に深まっていくと思っています。 また、バディフードのような嗜好性の高いごはんによって、愛犬が良く食べ、、より元気に、活発になり、愛犬との生活がより楽しいものになればと考えています。これは私の実体験でもあります。

 

正しいものだとわかればきっと行動が変わる。
愛犬の健康を願う同士として一緒に新しい文化を

−−最後にBuddycareが描く未来についてお聞かせください。

愛犬たちの健康管理を家族が主体的に行う、という事も、フレッシュフードも、まだ日本では文化として浸透していません。ただ、ほとんどの方が愛犬たちを家族のように大切にしている気持ちは本物で、選択肢に触れ、正しいものだと理解していただければ、きっと行動を変える方がほとんどだと考えています。そのために、一時的なマーケティングではなく、科学的な根拠や栄養学的なエビデンスにとことんこだわり、獣医師さんの様な関係者を巻き込みながら、正しい情報を発信し続けることが、最も大切なことだと考えています。 Buddycareは、いち企業ではありますが、皆さんと同じく、愛犬たちの健康を願う“同士”でもあると考えています。本当の意味での家族化が、まさに今、動き出そうとしています。愛犬たちの世界にも、未病医療・予防医療を確立していくため、同じ愛犬家同士、この新しい文化を一緒に根付かせて行きましょう!

当たり前を疑ってみる。でも習慣を変えることは難しい。だからこそ、知ること、行動して体験することが大事。それを知るきっかけに食と場がある。

「あなたは、愛犬が食べているものを食べられますか?」「はい」と答える人が増えたら、Buddycareの目指す世界に近づいているということかも知れませんね。

 

– Information –
コラボカフェ:Buddy FOOD Cafe (5/31まで)
SWITCH STAND HATSUDAI
東京都渋谷区初台1丁目51−1 初台センタービル1階 TEL:080-4619-1192
<平日>10:00〜18:00

Buddycare (バディケア)
Buddy FOOD(バディフード)
Facebook
Instagram

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

モッテイクマガジンでは、イベントのレポートや新しい食のたのしみ方のアイデアを発信します。そして、生産者、料理人、生活者の想いをていねいにつないでいきます。 みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

Mo:take MAGAZINE > コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏 > [Vol.2]Buddycareの目指す世界は愛犬の世界に未病医療や予防医療を確立すること