現場に行かなければ、学べないことがある
今回スタッフのみなさんが訪問したのは埼玉県狭山と茨城県猿島、古河のお茶農家さん。いずれも、Saténで提供している日本茶の生産者さんです。
小山さん:ぼく自身、生産の現場に行って学ぶことってほんとうに多いんですよね。そうやって知ったことや感じたことをスタッフみんなで共有したくて、「じゃあみんなで行こう」ということになりました。
訪問時の写真を何枚か見せていただきました。住宅街らしき家並みの中に、お茶畑が見えます。また、機械が並んだ工場のような場所の写真も。
小山さん:今回おじゃました農家さんは、どこもこんな風な茶畑と製茶の工場を持っています。ぼくたちが飲んでいるお茶の形になるまでに、「生育」「荒茶(あらちゃ)」「仕上げ」という3つの段階があるんですが、この時に訪問した農家さんは、いずれも仕上げまでご自分のところでやっています。
一般的には組合の共同工場で製茶を行う農家さんが多く、分業が主流なのだそうです。生育から仕上げまでを一手におこなう分、農家さんごとの個性も出てくる、と藤岡さんは言います。
藤岡さん:ふだんお店でお茶を淹れながら、「なぜこういう味になるのかな」と不思議に思っていることも、現場に行くとその理由が分かるんですよね。それぞれの農家さんによって、生育環境も、大切にしているポイントも違うんだということを知ることで理解が深まりましたし、お客様への説明がより具体的にできるようになりました。
実はこんなに違う! 産地、農家さんによるお茶の味わい
産地や農家さんによって具体的にどんな違いがあるのか、伺ってみました。
小山さん:たとえば、狭山茶は香ばしくて茶葉も細かいのが特徴です。狭山はお茶の産地としては標高が低く、茶葉が硬くなりがちです。蒸す時間を長くする必要が出てきますし、そうなると茶葉が崩れやすくなるので、葉が細かくなりやすいんです。生育環境と味の特徴は密接につながっているんです。
一方で、抽出舎とつながりのある農家さんは、そうした伝統的な方法を踏襲するだけではないそうです。
小山さん:こうした作り方自体には、「狭山火入れ」などその地域での伝統的な手法も入ってきますが、私たちがお願いしている農家さんは、それをあえてやらないでつくってみたり、反対にさらに強くしてみたりといった工夫をされています。自分たちのお茶をどういう風に仕上げたいのか、完成形を思い描きながらつくり方を選択しているんです。
茨城県の猿島や古河の農家さんにも、狭山とはまた違う工夫があるそうです。
小山さん:茨城は寒暖差が激しく、新茶の時期が遅いんです。早生の茶葉を使うことで一般的な新茶の時期に合わせている農家さんも多い中、今回伺った農家さんでは、早生、中生、晩生と3種類つくることで、長期間品質を落とさずに摘採できるような工夫をしています。
藤岡さん:そういうことを知ると、お茶への理解の深さも、淹れ方も変わりますよね。それぞれの味わいを生かしたり、お茶全体の調和を壊さないよう、さらに淹れ方を工夫するようになりました。
「あの生産者さん」の思いだから伝えたくなる
現在、後継者不足の波がお茶農家にも及んでいます。そんな中で、小山さんたちは若手の農家さんとのつながりを重視しているとのこと。
小山さん:「両親が引退したので跡を継いだ」という方もいるし、「他の仕事をしていたけれど日本茶が好きだから地元に戻ってきた」という人もいます。いずれにしても、若い農家さんは「自分たちのお茶は他の産地と比べてどんな特徴があるか」「自分たちのお茶のよさをどんな風に追求すべきか」ということをよく考えています。また、販路の開拓ひとつとっても、既存のやり方にとらわれない自由さもあります。ぼくたちとしても、そういう農家さんを応援したいという思いがあります。
藤岡さん:だからこそ、生産の現場に足を運んで、顔を合わせて苦労話も伺う、ということが大事だと思うんです。「あの人の思いをぜひお客さんに伝えたい」という気持ちになりますし、実際に会って交わすたわいない会話の中から学べることがたくさんあるんです。コーヒーの生産地は遠い国なので、なかなか行けませんが、日本茶の産地ならもう少し気軽に行ける。それは大きなメリットですね。
小山さん:今回スタッフ全員でおじゃましたことで、生産者さんたちに「この人たちがお店で自分たちのお茶を淹れているんだ」と知ってもらえたのも良かったですね。そんな風にお互いに顔の見える関係性というのを、これからも大事にしたいと思っています。
次回は11/5(火)に公開予定です。農家さんとのつながりを大切にする抽出舎が目指す「作り手」と「飲み手」のサスティナブルな関係性づくりについて、また、Satén のお茶のこだわりポイントについて、さらにお話を伺います。
– Information –
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Satén japanese tea
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