2024.04.18. | 

[Vol.1]コンポストを場づくりのニュースタンダードに。 『FARM SPOT』で​​人にも地球にも優しい場づくり。

生ごみを堆肥にして循環させるコンポスト。そのコンポストを起点として場づくりのニュースタンダードなアプローチで、コミュニケーションをデザインする『FARM SPOT』。それぞれ畑違いの事業を生業としながらも、志を共にして結集したプロジェクトメンバーは合同会社こたつの安藤さん、建築設計事務所のツバメアーキテクツの山道さん、木原さん、川田さん、土壌の専門家チーム「DOJOYラボ」代表、ヨサクファームの愛敬さん、Yuinchu小野の6名。新しい概念で場づくりを推進する『FARM SPOT』について、皆さんからそれぞれの視点でお話を伺い、全3回の記事でお届けします。

Vol.1となる今回は、プロジェクトの発起人、合同会社こたつの安藤さん、そしてその想いに魅了されてプロデューサーとして参画するYuinchuの小野からプロジェクト誕生についてのお話を伺いました。

『FARM SPOT』は、コンポストを起点としてコミュニケーションやソーシャルグッドアクションのきっかけを生むためのアプローチ。場において、コンポストを導入するためのコンセプト設計、コミュニケーション設計を行い、コミュニケーションが起こる場をつくるというもの。このプロジェクトの発起人の安藤司さんは、自身が運営するカフェ「cafe michikusa」で使用している野菜の生産者・ヨサクファームの愛敬さんの想いに応える形でコンポストの取り組みをはじめたそうです。

 

生ごみをゴミとして出すことがほぼ無くなった。
誰もが取り組めるようにしたい。

−−『FARM SPOT』をはじめようと思ったきっかけを教えてください。

安藤さん:うちのカフェのお野菜をヨサクファームさんから仕入れさせていただく中で、愛敬さんが「野菜を提供している飲食店の生ごみを回収して、土に還す取り組みをしたい」と考えていることを知ったのをきっかけに、一緒に取り組ませていただくことにしました。実際に愛敬さんにカフェで出た生ごみを回収してもらうと、その量がはっきり可視化されて、結果的に生ごみをゴミとして出すことがなくなりました。そういった意味では、うちのカフェではほとんど生ごみが出てないんです。これを他のお店ではどうしてやらないんだろう。やれないんだろう?ってどんどん疑問が湧きはじめてきて考えてくうちに、これをみんなが取り組める仕組みを作って、誰もができるようにしたいと思って『FARM SPOT』の構想を練り始めたんです。愛敬さんには、このコンポストの技術的な部分のサポートをしてもらう形で、アドバイザーとして参画してもらえることになり、さらにYuinchuの小野さんを巻き込んで一気に走り始めたという感じです。

 

コンポストを起点とした場づくりで、
生ごみもコミュニケーションも循環する。

―カフェで、ゴミとしての生ごみがほぼ出ないってすごいですね!ところでなぜ小野さんだったのでしょうか?

安藤さん:場づくりに関わることもある自分の考えとして、 場づくりと飲食は切っても切り離せない関係性だと思っています。たとえば、交流会やケータリングで食事は重要な役割だったりしますよね。その中で仕込みの段階に出る生ごみや食べ残しがゴミになっていることに課題感もありました。

でも実際に自分のお店でコンポスト活動をするようになってから、 生ごみをそのまま捨てることのない“コンポストを起点とした場づくり”ができるんじゃないかと考えるようになったんです。そして、場づくりとコンポストをセットで考えるべきだと思ったとき、 以前から交流のあった小野さんがすぐに頭に浮かびました。

コンポストを起点とした場づくりなら、コミュニケーションのコストとして出る生ごみを回収して堆肥として循環させるので、ただのゴミではなくなる。しかも、コンポストがコミュニケーションのツールとして機能しはじめたり、それが環境にも優しい取り組みになっていく。
この考え方を、場づくりをするYuinchuさんやその先にいるステークホルダーの皆さんにも知ってほしい、 ちゃんと伝えたいと思って、小野さんを口説いたんです 笑

 

小野:そうなんですよ、しかも飲みの席でね!笑

 

コミュニケーションがコミュニティになる。
生ごみがコンポストでコミュニティに還されるのが見える。

−−Yuinchuとしても初となるコンポストですね!改めて、安藤さんのどんな点に突き動かされましたか?

小野:これはもう安藤くんがこの取り組みに可能性を感じているのが伝わってきたのが大きいですね。僕もお酒の席とはいいながらも、ちゃんと話をしつつ、改めてお酒の入ってない時にミーティングしようって解散したんですよ。そしたら翌日の昼に、話したことが反映された『FARM SPOT』の資料が来るっていう。もう資料の内容が良いのはもちろんですけど、何より翌日の昼に反映された資料が来るほど強い想いがあるんだなっていうところに動かされました。

 

−−それは、心動かされますね!ちなみに、小野さんの中にも安藤さんが感じている矛盾も含めて共感する点はありますか?

小野:そうですね、うちで飲食業やケータリング、レンタルスペースをやっていても、場づくりにゴミが出るというのはやっぱり自覚してます。だからどうにかしたい、サスティナブルアクションとして何かしたいという想いはありました。もう一つ感じているのは、世の中のソーシャルグッドなアクションは、誰かが努力して、方法論を編み出してコミュニティという枠が先にできる。その後にフードロス対策や脱プラなど、いろんなアプローチによって参加者がコミュニケーションをとるものがある。これは自然な流れなので否定的な意味ではなく、僕はコミュニティより前に、コミュニケーションが大事って考えがあるんです。当然『FARM SPOT』をやったとしても、完璧ではなく穴はあると思うんです。でも、コンポストを介して生まれるコミュニケーションが、コミュニティになるっていう考えは一番場づくりっぽいなって。安藤くんの『FARM SPOT』は、場づくり、コミュニケーションスポットづくりをするYuinchuとして、すごく共感性が高い概念のアプローチだと思いましたね。

 

―そして、今度は、小野さんがツバメアーキテクツさんに声をかけて、仲間が増えるわけですね!

 

コンポストをツールとしてどうコミュニケーションを生み出すか、本質的なソーシャルグッドなアクションとはなんなのか。既にコンポストを起点に思考することで生まれるコミュニケーションでコミュニティが誕生している『FARM SPOT』のプロジェクト。

 

次回は、ツールのデザイン設計を担う建築設計事務所のツバメアーキテクツさん、土壌の専門家チーム「DOJOYラボ」代表、ヨサクファームの愛敬さんからコンポストの役割や課題感についてお話を伺います。

 

次回は4/23(火)に公開予定です。

 

– Information –
FARM SPOT

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

モッテイクマガジンでは、イベントのレポートや新しい食のたのしみ方のアイデアを発信します。そして、生産者、料理人、生活者の想いをていねいにつないでいきます。 みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

Mo:take MAGAZINE > [Vol.1]コンポストを場づくりのニュースタンダードに。 『FARM SPOT』で​​人にも地球にも優しい場づくり。