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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.08.17. | 

[Vol.2]新しい形の農園。「ハマラノーエン」の夏が始まった  株式会社ベジパング/ハマラノーエン 柳沢卓矢さん

2023年7月22日、長野県八ヶ岳に、とうもろこしの収穫体験やビニールハウスでのカフェ体験など様々な「農」体験ができる、体感型農園 「ハマラハウス」がオープンしました。立ち上げたのは、「株式会社ベジパング」で自社ブランド野菜の八ヶ岳生とうもろこしを展開する「ハマラノーエン」の柳沢卓矢さんと折井祐介さん。前回に続き、「株式会社ベジパング」を代表して柳沢さん、2020年よりお二人と共に活動してきたMo:takeの小野正視、坂本英文に、「ハマラハウス」の魅力を取材しました。広大なとうもろこし畑を背に、彼らが語る「ハマラハウス」の夏とは?

新発想がいっぱい。しかけのつまった「体感型農園 ハマラハウス」

−−2023年7月にオープンした、「ハマラハウス」について教えてください。

柳沢さん:「ハマラハウス」は「体感型農園」です。「体感型」というのは、この後ろの農園で、自社ブランド「ハマラノーエン」の八ヶ岳生とうもろこしの収穫体験ができ、それをその場で焼いて食べられる、ビニールハウスでカフェ体験などができるという意味です。ここで、様々な「農」体験をしていただきたいと思っています。

 

−−「ハマラノーエン」さん初の試みですか。

柳沢さん:はい。これまでは、お客さまから八ヶ岳生とうもろこしの注文が入ると、お届けするタイミングに合わせて僕たちが収穫し、発送してきました。それを、今年の夏は、お客さま自身に、畑で八ヶ岳生とうもろこしの収穫をしていただき、その場で食べていただこうと。「ハマラハウス」は、感動体験を提供する拠点ですかね。

 

−−のれんがあるビニールハウスって他にはありませんよね(笑)

柳沢さん:そうですね(笑)「ハマラハウス」には3か所ののれんがあるのですが、のれんをくぐると、広大なとうもろこし畑があって、そこで収穫体験ができます。写真撮影もOKなので、一面のとうもろこし畑を背にして、ぜひ記念撮影してください。まるでトトロの世界のような〝映える″ショットが撮れますよ。 都会育ちの方には新鮮な驚きが、田舎の思い出を持つ方には懐かしい風景なのではないでしょうか。

 

リビセンとの創造的なコラボ。日本の夏を再構築させる空間づくり

−−「ハマラハウス」はリビルディングセンタージャパン(リビセン)さんとコラボされたとおっしゃっていました。どういう経緯でつながったのですか。

柳沢さん:もともと、僕らは代表の東野(アズノ)さんを存じ上げていたのですが、うちのスタッフが偶然、東野さんとお仕事をさせていただいていたご縁があって、コンタクトを取らせていただきました。そこで、「実はこのビニールハウスをお客さまが何かおもしろい体験ができるような空間にしたい」と相談したところ、「じゃあちゃんと設計して、その空間を一緒に作っていこうか」と快諾してくださったんです。東野さんご自身が、おもしろい空間作りを常に求めている方なので、すぐにイメージが湧いたようで、あっという間に設計図を作ってくださいました。

 

−−どういうところからイメージを膨らませていったのですか。

柳沢さん:まず、ビニールハウスの概念が壊れたらいいなっていうところから始まりました。そこで、中に入った時、いかに感動や解放感が味わえるかと考え、3方面の入り口に大きなのれんをかけることにしたんです。ビニールハウスにのれんがかかっていること自体がちょっとおもしろいですよね。これは全部特注です。遮光性の高いビニールの屋根を使用していますし、3方面に風が吹き抜けるので、夏でも快適に過ごせます。

 

−−のれんをくぐって中に入るビニールハウスはおもしろいですね。

柳沢さん:そうですよね。のれんをぱっとくぐって入口に入ったら、大きなカウンターがあって、その後ろの壁面は大きな黄色い壁です。壁の後ろではうちの従業員たちが作業をしています。あえて作り込みすぎず、〝隙間″を作ったのは、慌ただしく作業をしているライブ感も楽しんでいただきたいからです。16時まで農作業をしているので、自由に見学してください。もちろん、獲れたてのとうもろこしもここで召し上がっていただけます。

 

−−作業はどのように進めたのですか。

柳沢さん:リビセンさんが全面的な設計と、流れを全部つくってくださったのですが、「自分らが全部作るだけじゃなくって一緒に作り上げよう」とおっしゃって、図面も全部見せてくれました。室内に商品を置く棚とかは、設計図が僕たちに回ってきて、「農家さんだったら手仕事でしょう」と依頼され、自分たちが手仕事でガンガン作るっていう(笑)。ペンキの色やサイズも、僕ら農家目線と、リビセンさんの建物目線で意見をすり合わせていきました。

 

−−リビセンさんとのコラボレーションができて良かったですね。

柳沢さん:今回、この「ハマラハウス」を作るにあたって、どこかで古き良き日本の良さっていうのを伝えたい、そのかわり古いものをそのまま利用するのではなくて、再構築して表現したいと思っていました。それを実現できるのはリビセンさんしかないと。東野さんは有名な方だったので僕たちは良く知っていましたが、どうしたら会えるかな、どういう関わり方ができるかなと考えていたところに、共通のスタッフがいたことは本当にご縁を感じました。

 

−−リビセンさんにとっても貴重なご経験になったのではないでしょうか。

柳沢さん:最初はやはり驚いていらっしゃいました(笑)。「ビニールハウスに建物を建てる注文を受けたことがない」と。未経験の建材や素材を使用してくださったそうです。でも、その分、「おもしろいクリエイティブなものができた」と、いろいろなところで発信してくださっているそうです。

 

「ハマラハウス」で過ごす夏。 八ヶ岳を眺め縁側の風に吹かれながら、獲れたてのとうもろこしを

−−いろいろなしかけがある「ハマラハウス」ですが、改めてお客さまがそこでどんな体験ができるのか教えてください。

柳沢さん:「ハマラハウス」の横にある、約1万本のとうもろこし畑で収穫体験ができます。おいしいとうもろこしを獲ったら、とうもろこし畑の手前に縁側というか、テラスがあるんですが、そこに座って、とうもろこし畑や八ヶ岳を眺めながら、獲りたてのとうもろこしを味わっていただけます。とうもろこしはそのまま焼いても良いですし、うちのとうもろこしは冷やしても糖度が落ちないので、冷やしとうもろこしもお薦めです。

 

−−冷やしとうもろこしって珍しいですよね。

柳沢さん:とうもろこしは、普通、冷やすと糖度が下がるのですが、うちのとうもろこしは逆に糖度が上がるんですね。なので、夏の間は、あえて冷やしとうもろこしとして食べてみてはいかがでしょうか。味にはもちろん自信がありますし、新しいとうもろこしの食べ方も体験できますよ。ラムネやカフェメニューも用意していますので、ゆっくりお過ごしください。風鈴が鳴り響いて、蚊取り線香もあって、田舎の懐かしい夏の体験を思い出にしていただきたいですね。こんなに気持ち良い空間の中で、そういう体験ができる農園は、これまでほとんどなかったのではないでしょうか。

 

−−まさに、日本の夏、という感じですね。

柳沢さん:はい。ここでの体験を通して、お客さまに畑への新しいイメージをもっていただけたらと思っています。畑って、土や植物があるだけではなく、こんなふうにしっかりと空間を作り込めば、田舎体験、懐かしい体験という感覚が持てる場所なんだと感じていただきたいですね。収穫体験の予約はホームページからできますので、ご連絡をお待ちしています!

 

次回は8/22(火)に公開予定です。
今後の「べジパング」の展望と、Yuinchuとのコラボについて語っていただきます。

 

– Information –

『体感型農園 ハマラハウス』
所在地:長野県茅野市玉川11398
営業時間:7:00~12:00(7月・8月は無休)
9月から土・日・祝日のみ営業※収穫不良や天候による休みの場合を除く
アクセス:最寄駅JR中央本線・茅野駅より、車で約15分。諏訪南ICより車で約10分。
ハマラノーエン公式HP/フェイスブック/インスタグラム

 

ケータリングで「生とうもろこし」を体験する

ライター / 黒澤 真紀

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。

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