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コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2022.04.12. | 

[Vol.1]「カフェを”カフェ”で終わらせない」360室、1,500人が働くスモールオフィスを1階から盛り上げる【RJオフィス 岸田×Yuinchu 小野】

湾岸エリアのスモールオフィスとして、約360室、1,500人の入居者を抱える「the SOHO」。その玄関口となる1階のカフェ・SWTCH STAND ODAIBAをテーマに、管理会社である株式会社RJオフィスの岸田浩治さんと株式会社Yuinchuの代表・小野正視が対談を行いました。

スモールオフィスビルにおけるカフェの存在意義。「あくまでカフェは”装置”」

湾岸エリアのスモールオフィスビルとして、約360室、1,500人の入居者を抱えるthe SOHO。1階にはカフェがあり、利用者はいるものの、岸田さんは以前から「立地をうまく活用しきれていない」「もっと利用者を増やしたい」と悩んでいました。

そのような中で、コーヒースタンドやカフェを軸とした場のプロデュース事業も行うYuinchuと、RJオフィスが手を組み、the SOHO1階のカフェをリニューアルする運びに。

「SWITCH STAND ODAIBA」の名で、ビル内の空きテナントを利活用したカフェ併設型のレンタルスペース・撮影スタジオとして、今年2月に新たに始動することとなりました。

今回の記事では、その経緯や変化などについて、語り合ってもらいます。

 

小野:そもそもthe SOHOって“スモールオフィス”とうたっているとおり、ビジネスを主な目的としていると思うんですが、なぜカフェに力を入れようと思ったんですか。

 

岸田さん:それには、お台場という立地が関係しています。アクセス面で考えると、都心から少し距離があり、建物周辺にも目立った飲食店はありません。そういった環境で、多くの入居者さんが集まり、日々クリエイティブなことが生まれようとしているわけです。
せめてこの建物だけで日中の生活を完結できないか、と考える中で、やはり「食」というのは重要な要素だと気づきました。ここで2回の食事をとるとすると、1回はコンビニでも、もう1回はちゃんと健康にいいものを食べてほしい。そういう意味で、このカフェは重要な存在になります。

 

小野:カフェとしてではなく、まず「飲食」として考えたんですね。そこから、「交流の場」や「建物のシンボル」という風に、さらに広げて捉えるようになったと。

 

岸田さん:飲食の場として捉えるのは当然で、でもそれだけだと、ちょっともったいない。せっかく様々な入居者がいるのだから、交流の場になったり、打ち合わせの場になったり、もう少し幅の広い使い方ができるのではと考えました。
もっと言うと、こんなに広い空間があるのだから、カフェ単体ではなく建物全体を使った何かができないかと。そのように考える中で、カフェだけでなく、空間全体をコーディネートしているYuinchuさんに声をかけさせてもらいました。

 

小野:カフェを”カフェ”として終わらせるのではなく、あくまでカフェを”装置”として場の活性化を図る。これはYuinchuの得意なところです。打ち合わせもかなりカジュアルな感じで、すぐに合意しました(笑)

 

レンタルスペース事業がキーに。「the SOHO全体を”マイクロ経済圏”にしたい」

 

小野:僕たちの強みは、空間プロデュースです。もしカフェだけだったら、他の会社さんでも出来てしまう。だからもっと広く、このthe SOHOという建物全体で捉えてみました。すると、共用部があったり、複数スペースが撮影スタジオになっていたりして、まだまだ活用しきれていない空間があると感じました。
僕たちはGOBLIN.というレンタルスペース事業をやっているので、GOBLIN.で貸し出せば、外からの流入も取れる。そういう意味で伸びしろがあるし、経済的なサステナビリティも担保できる気がして。

 

岸田さん:そういう大きな視点で考えてくれるのは、本当にありがたいです。

 

小野:レンタルスペース事業で外からの流入を担保しつつ、カフェを内側から盛り上げる。the SOHOをひとつの”マイクロ経済圏”として捉え、引いては地域、お台場という街の活性化につながればと思っています。

 

多様性があるから生まれる、新たなコラボレーション。キーワードは「手動と自動」

外からの流入を図り、経済的な持続性を担保することを前提に、カフェを考えていく。ここからは、具体的にどのようにカフェを盛り上げていくか、という内容に話は進んでいきます。

 

小野:施設が大きい、部屋数が多い、つまりコラボレーションが生まれる可能性が高いわけです。カフェが、入居者さん同士でつながったりする場として機能すれば、あらたな出会いが生まれたりする可能性もある。カフェという存在が、クリエイティブな場として機能する。
そのために、たとえばカフェを使って交流会やイベントを開催するという案が最初に浮かびますが、このように単発のイベントを打つだけでは、すぐに息切れしてしまう。ある意味で、入居者さんにも主体性を持ってもらう必要がある。

 

岸田さん:どこまでこちらで手を入れて、どこまで入居者さんに考えてもらうか。”手動”と”自動”のバランスですよね。

 

小野:まさに。「入居者割引」としてカフェを安く利用できるというのは”手動”の一例ですが、それだけでは続かない。上手く”自動”にするには、たとえばカフェを夜だけスナックとして営業して、月1回公募制で、テナントさんにカウンターに入ってもらうとか。そのくらい自発性に委ねたほうがいいのかもしれない。

 

岸田さん:それはいいですね。私もオーナー関係者も飲みたがりだし(笑)。このカフェのカウンターで、色んな業界の方、年齢の方が、垣根を超えて飲んでいる姿が想像付くんですよ。
あとはもっと限定的に「ここのテナントを狙っていこう」「この人たちとやりたい」という感じで、こちらからアプローチしていってもいい。断られたとしても、なんせ360室もありますから。
年齢層も、非常に幅広い。さまざまな世代の方がいて、和気あいあいと打ち合わせしている横の部屋で、スーツを着てバリバリの商談が行われていたりする。そういう多様性のある空間だからこそ、カフェを起点として、さまざまなことを仕掛けていきたいですね。

 

――

次回は、4月14日公開予定です。

「カフェ」としてだけでなく、「建物の一部」として捉えることが重要だと話す二人。次回の対談では、建物における1階の価値やビジネスモデルとしてのSWTCH STAND ODAIBA、the SOHOの地域貢献などをテーマに、より深掘りした内容で語ってもらいます。

 

ーInformationー

the SOHO
WEB:https://thesoho.net/

HYPHEN TOKYO
WEB:https://hyphen-tokyo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hyphen_tokyo/

GOBLIN.
WEB:https://goblinspace.jp/

ライター / 清水 翔太

横浜市在住。大学卒業後、官公庁にて約7年勤務。その後ライターに転身し、オウンドメディアなどを中心に執筆活動をおこなっています。

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