SERIES
食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.05.11. | 

[Vol.2]「旨すぎてのけぞった」。至高の果実「瀬戸田レモン」との出会い レモンザムライ鈴木慶洋さん

レモンサワーを極めたい!そんな想いから「レモンザムライ」と名乗り、レモンサワーについて研究したり、その美味しさを広めたりする活動を始めた鈴木慶洋さん。鈴木さんは、「レモンサワーが好き!」という想いをどうやって発信していったのでしょうか。「仕事という枠にはめたくない、でも広めたい」。そんな風に考えていた鈴木さんは、広島県瀬戸田町の特産品「瀬戸田レモン」との運命の出会いを果たします。vol.2では、鈴木さんと瀬戸田レモンの出会いの経緯や、鈴木さんのはまった瀬戸田レモンの魅力についてお伝えします。

サムライなのに武器がない。「瀬戸田レモンを武器にしたらどうだ?」

−−鈴木さんが卸販売をしている広島の瀬戸田レモンとの出会いについて教えてください。

鈴木さん:瀬戸田レモンに出会ったのは、2017年に「レモンザムライ」の肩書きでレモンサワーのレシピ開発やレモンサワーのおいしいお店の紹介を始めてからなんです。僕の活動を知る友達から、「瀬戸田レモンの農家さんが、レモンの話をしたりレモネードを飲ませたりしてくれるワークショップを開催するために東京に来るらしい」と教えてくれました。それまで、農家さんと全く会ったことがなかったので、これは良い機会だと思い、1人で会いに行きました。

 

−−レモンザムライの印象はどうでしたか?

鈴木さん:最初は説教されたんですよ。「レモンザムライって何?」って(笑)。でも、いろいろな話をするうちに、レモンの栽培の仕方や、どういうサイクルでレモンの実がなっていくのかというサイクルについて教えていただきました。

 

−−そこから今につながったんですね。

鈴木さん:そうです。そこから瀬戸田レモンの農家さんとSNSで繋がって、ワークショップの翌月に「君はサムライとしての武器がないから、うちの瀬戸田レモンを扱ってみるか」と声をかけてくださって、仕事につながりました。その農家さんが直接卸しているお店は名だたる有名店ばかりだったので、よく僕に卸してくれたなと感謝しかありません(笑)。

 

瀬戸田レモンのおいしさに感動。おいしいレモンサワーには欠かせないと確信

−−瀬戸田レモンの魅力について教えてください。

鈴木さん:まず、外国産と国産レモンの違いから話しますね。外国産のレモンは、コンテナで輸送される2ヶ月間で、味がぼやけてしまい、酸味しかないんです。それに比べて、国産のレモンには旨みと甘みが詰まっています。僕は、日本の国産レモンをたくさん食べ比べしたのですが、その中で瀬戸田レモンは抜群においしかったです。

瀬戸田レモンは、完熟時の糖度が11度前後あるんですね。11度というと、フルーツトマトぐらいの甘みです。子供でもおいしいって食べられるくらい。レモンなので酸味はもちろん感じるのですが、口の中に甘みが広がるんですよね。初めて瀬戸田レモンを食べた時、「うまーっ!」ってのけぞりましたもん(笑)。安全性も確保されており、皮まで食べられます。

 

−−瀬戸田レモンはどこで栽培されているのですか?

鈴木さん:広島県尾道市瀬戸田町の生口島一帯です。そこで、明治時代からレモン栽培をしているそうです。収穫量は日本一で、国産レモンのトップブランドです。

 

−−鈴木さんが瀬戸田レモンにこだわる理由は?

鈴木さん:おいしいレモンサワーのためには、どんなレモンを使うかが大事だからです。どのくらいの量を絞るかは個人の好みによりますが、全体の4分の1でも、8分の1でも、他のレモンのレモンサワーと飲み比べれば、味の違いは誰でもわかると思います。おいしいレモンサワーには瀬戸田レモンが欠かせないと確信しています。

 

「ビジネスのビも知らなかった」 最初はリュックに名刺とレモンを詰め込んで営業

−−鈴木さんは個人で瀬戸田レモンの卸売をされていると伺っています。卸売を始めることになった経緯を教えてください。

鈴木さん:最初はビジネスのビも、もちろん経営のこともなにも知りませんでした。そもそも、好きでやっていたことなので、ビジネスとも思ってなかったんです。でも広めたかった。ECサイトも当時は作っておらず、飲みに行った時に、リュックに名刺と瀬戸田レモンを詰め込んで、名刺と一緒に瀬戸田レモンを渡して、「使ってみてください」と伝えて歩きました。そうすると、だいたいレモンサワーを作ってくれて、一口飲んで、「これ、うまいな」と喜んでいただけるんですよね。

そうやって地道に裾野を広げていくうちに、少しずつ個人経営の店舗さんから注文が入るようになり、今は北海道から沖縄まで、100店舗以上と契約させていただいています。

 

−−どんなふうに営業されているのでしょうか?

鈴木さん:基本は紹介ですね。そこから派生して販売代理店ができることもあります。あとは、生レモン以外の商品を増やすことも大事にしています。。夏場は、瓶に入った「瀬戸田レモンストレート果汁」を販売しているのですが、それに加えて、生レモンペーストも販売しています。一年のうち、レモンの収穫時期(10月〜5月)以外にも商品をお届けできるようにしたいと思ってやっています。

 

−−レモンザムライをやってみての苦労は?

鈴木さん:実は、苦労は形を変えてずっと続いてまして(笑)。最初は、昼間の派遣の仕事をやりながら夜にレモン活動をしていたのですが、3年前に派遣をやめて、2021年からレモンザムライに専念するようになりました。そこからがキツかったですね。ビジネスのことを何も知らなかったし、レモンサワーが好きという気持ちだけでいけるだろうと思って派遣の仕事を辞めてしまったので、営業や売り上げを出すための工夫など、全てが手さぐり状態でした。

ただ、いわゆる、普通の卸業者さんのようにただ単にDMを送るなどの仕事はしたくありませんでした。そうじゃなくても収入を上げるやり方を見つけたかったのですが、それが本当に難しかったです。正直なところ、今も模索中です。

 

瀬戸田レモンという武器を手に入れた鈴木さんを、新型コロナウイルスの感染拡大が襲います。発注ゼロからの逆転とは?次回詳しくお伝えします!

 

次回は5/15(月)に公開予定です。

 

– Information –

レモンザムライ
WEB/ ECサイト/ instagram

ライター / 黒澤 真紀

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。

Mo:take MAGAZINE > 食を起点としたコト起こしの舞台裏 > [Vol.2]「旨すぎてのけぞった」。至高の果実「瀬戸田レモン」との出会い レモンザムライ鈴木慶洋さん