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意外と知らないローカルフード
2025.05.07. | 

【香川】うどん県に激震? 今食べたいのはうどんじゃない? | 意外と知らないローカルフード

食の歴史や文化、そして土地の魅力がぎゅっと詰まった“地域の味”を再発見して楽しく紹介する「意外と知らないローカルフード」。このコーナーでは“誰もが知っているあのメニュー”ではなく、知る人ぞ知るローカルフードや、昔から変わらないその土地ならではのこだわりの逸品、時代を超えて今もなお愛される一皿、その「食」の背景にある物語をひも解きながら、その地域ならではの味とは何なのかをカジュアルにお届けします!

第6回目の今回は『香川』。4月18日から始まった瀬戸内海の各島・各地を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭2025 春会期」。その舞台の一つである香川県・小豆島に、うどん県としては禁断ともいえる、まさかの「アレ」が400年の長きにわたり愛されているとの情報をキャッチ。早速調べてみました!

空海も愛した讃岐うどんにスキなし?

香川県といえば、やっぱり「讃岐うどん」が名物ですよね。うどんの生産量および一人当たりの消費量で日本一。うどん推しはとどまるところを知らず、2011年には香川県観光協会が自ら「うどん県」を名乗るプロジェクトを開始。うどん=香川は全国誰もが知るところとなりました。

まず、讃岐うどんのルーツは、弘法大師とされています。弘法大師は、別名を空海としても知られる平安時代の僧侶で、香川県出身と言われています。彼が唐(昔の中国)に渡った時にうどんの調理法を知り、帰国後、故郷・香川に伝えたといいます。

さらに、香川は小麦や塩、醤油、煮干しの産地であり、うどん作りに必要なものが手軽にそろい、さらに小麦や塩は他と比べ良質とされていました。香川の温暖で、雨の少ない瀬戸内海式気候が、うどん文化の浸透に必要な条件をすべて満たしたのです。まるでうどんのような長い歴史……今のところ「うどん食うかい?(空海)」と言わざるを得ません(笑)。

 

「日本三大そうめん」の一つをうどん県で発見!

しかし、今、香川で食べるべきソウルフードはうどんではありません。この春、香川に行くなら「小豆島そうめん」です。あのうどん県で、あえてのそうめんなのです。「小豆島そうめん」も最近ぽっと出のソウルフードではありません。

まず、そうめんの起源は諸説ありますが、奈良時代に唐から伝わった索餅(さくべい)というお菓子が始まりで麺に変わっていったものといわれています。索餅は「麦縄」とも呼ばれ、小麦を練って細長くねじり縄状にしたもの。「索麺(さくめん)」と記された文献もあり、これが「そうめん」の語源と言われています。鎌倉時代には油を塗って細くのばす製法が伝わり、索餅は現在のそうめんのような細長い形状に。以降、室町時代へかけて、さらに製法が改善されていきます。江戸時代には小麦の品質向上と相まって、そうめんの生産は全国で盛んになったといいます。

小豆島でそうめんが食べられるようになったのも、およそ400年前の江戸時代のことです。小豆島の島民が、奈良に行った際にそうめん作りを学び、島に持ち帰ったのでした。そうめんは冬の農閑期でも少人数で生産できることから、瞬く間に多くの島民の間で生産されていきます。さらに、そうめんの生産に必要なごま油がたくさんとれることも大きな要因となり、「小豆島そうめん」は兵庫県の「播州そうめん(揖保乃糸)」、奈良県の「三輪そうめん」とともに、日本三大そうめんの1つとなっています。

 

やっぱり手作り!「手延べそうめん」にこだわるべし!

さらに、小豆島で食べたいのは「手延べそうめん」です。そうめんには機械で作るものと、手作業で伸ばしていくものとがありますが、小豆島のそうめん職人は、頑なに昔ながらの製法を守り続けてきました。手練りの手延べ法といわれるこの製法は、ごま油を塗りながら練った生地を、木箸を使い極細の糸状になるまで丁寧に引き伸ばし、天日でじっくり乾燥させて作ったもの。

一般的には菜種油が使われますが、ごま油の生産量が日本一の小豆島では、小豆島特産のごま油が使われています。

それによって、そうめんが少し黄色っぽくなっているのも、小豆島手延べそうめんならではの特徴です。ごま油によって酸化が抑えられ、油臭さを除去する工程が必要ないことも、そうめんの味わいを保つのに一役買っているそうです。

瀬戸内国際芸術祭の会場で、最も面積が大きい小豆島。島ならではの美しい海岸線をはじめ、渓谷や棚田、夕日など、令和の今も昔のまま残る美しい日本の原風景とともに、今なおじっくり手間ひまかけて作られる小豆島そうめんの豊かな風味とコシを味わいに行ってみませんか?

 

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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