2024.07.09. | 

美味しさを未来につなぐ フードクリエイター丸山千里の想い

情熱を持った若き料理人の登竜門として業界でも話題となっている「CHEF-1グランプリ」。この大会の2023年度で準優勝に輝いたのがフードクリエイターの丸山千里さんです。今回はそんな多方面で活躍する丸山さんにインタビュー!もう丸山さんのお料理が素晴らしいのは承知の事実。というわけで、本記事では丸山さんのルーツやお料理に対してどんな風に向き合っているの?などなど、これまでの軌跡をたどりながら、フードクリエイター丸山千里の内側に迫ります。

料理ができたら野菜の魅力をもっと伝えられる。
そう思ったのがきっかけですね。

−−今日はこれまで丸山さんが、歩まれてきた足跡をたどりながら、食との向き合い方や世に生み出してきた商品や作品に対してどういうふうに取り組んできたかとかうかがい、その秘密に迫っていきたいと思います。早速ですが、やっぱり丸山さんは小さい頃から食に興味があったのでしょうか?

丸山さん:私は小さい頃からたくさん食べてたようです(笑)食欲旺盛というか食べ物にずっと興味はありました。例えばお子様ランチについては「おいおい、私をお子様扱いすんなー!」みたいな感覚があったり、小さいながらに居酒屋メニューが好きで大人と一緒に食べたいみたいなところがありましたね。

 

−−もはやお子様ランチもそんなこと言われるなんて思ってないですよね(笑)でも子供ながらに居酒屋メニューが好きっていうのは、私も同じだったのでわかる気がします。お料理もその時からですか?

丸山さん:いやいや当時は食べる専門で、作ることはまだなかったんですよね。

 

−−えっ!それほど食に興味があるということなので、もはや神童レベルでお料理をされてたのかと思いました!では、お料理をしたい!と思ったきっかけはどのあたりから芽生えてきたのでしょうか?

丸山さん:お料理ができたらと思ったきっかけは、大学で農学部に入って、農家さんのところに行くようになったことが影響していますね。その時に私がお料理できるようになったら、この野菜の魅力をもっと伝えられる!って思うようになったのが最初ですね。

 

−−素敵なきっかけですね!大学で農学部を選んだのは、やっぱり食をもっと探求したいっていう意味で“農業を”みたいな想いがあったのでしょうか?

丸山さん:いや、最初は農業に興味があったわけではなくって(笑)進学を考えていた当時高校生だった私は「オーガニック」の化粧品を作りたいって思ってたんですよね。そんな気軽な動機ではありましたが、大学にはいってからは、果物や野菜の研究室でフィールドに出て活動をしたりしました。「オーガニック」についても、そこまで強いこだわりはないんですけど、うちの母が「無農薬の野菜を食べよう」っていう考えを多少もっていたので、本当に無農薬がいいのか、そうでない野菜もいいんじゃないかという部分を科学的に証明できたら面白そうっていう考えも芽生えましたね。

 

料理修行で挫折、一般企業へ就職。
でもやっぱり料理は楽しいなって気づいたんです。

食に興味をもって食べる専門だった幼少期を経て、農家さんの野菜の魅力を料理で伝えられるかも!と大学生の丸山さんの心に料理への灯火が宿ります。でも実際に食に関わったのはもう少し先のお話。大学卒業から現在までのお話についても教えてくれました。

−−“料理ができたら”というきっかけになった大学生時代から、実際にお料理をするようになったのは卒業後すぐだったのでしょうか?

丸山さん:それが大学を卒業してからは「食」とは関係のない一般企業に就職をしたんです。そこで社会人経験をしてから、転職をした飲食店のビストロで「食」の世界に足を踏み入れることになりました。そのビストロがすごく人気のお店だったので、かなり忙しい環境で料理の修行をさせていただいて、もう色々と鍛えられた感じですね。(笑)

 

−−それまであまりお料理をされていたわけではないところから、多忙な人気店のビストロで修行ですか?ビストロって本格的なイメージがありますし、想像ですけど、当時の料理の世界ってかなり過酷なイメージもありますが。

丸山さん:いやぁ、そうですね、、、私が勤めていたビストロはもうめちゃめちゃ忙しかったですね。お魚が売りのお店で、オーダーが入ってから魚をさばくっていうオペレーションにこだわりがあったり、指示をうけた時に、その理由を理解した方が効率がいいと思って、理由を聞いたりすると、飲食業界で身を削ってきた体育会系の先輩たちからは、「理論とかじゃなくて、わかんなくてもいいからとりあえずやれ!」みたいな文化もありました。あとは、営業用の食材の入った重い荷物を運んだり、マグロの頭も運んだりしましたね。なかなかハードな生活をしてました。

結局そのあと挫折してしまってビストロを辞めて、また普通の会社にまた入りなおして。その後また料理の世界に戻って今に至る。そんな感じで、実は道のりとしては一本道ではなかったんですよね。

 

−−壮絶な飲食店での修行となったんですね(笑)でもその経験が今に生きてるんだろぉなぁとは思います。今のように「食」に関わるようになったのはどのタイミングからですか?

丸山さん:そうですね、本当に今振り返ると良くやったなぁ!と思うし、今も料理のベースとなっているので、この経験は良かったです。ビストロの後にもう一度、飲食ではなく一般の企業に転職したのですが、今のような形で「食」に関わったのは、その時からになりますね。

 

−−そうなんですね。とはいえ企業に勤めながら、どんな風に活動されていたんでしょうか?

丸山さん:会社がお休みの日や有給を使って、「日替わり店長のお弁当屋さん」みたいなところで自分のお弁当を出したり、友達のお店を手伝ったり、自分でレシピを考えるようになって、何かしらお料理に関わることをやってしまってたんですよね。そうしているうちに、料理ってやっぱり面白くて、唯一飽きない仕事だなぁって思えて。

「やっぱり私は料理をやりたいんだろうな」って気づいたんです。その時から、食の開発のお仕事ができるTETOTETO(てとてと)っていう今の所属先にインターン的な関わり方ではいって、色んなプロジェクトのお手伝いをさせていただくようになりました。個人のプロジェクトとしても、ここ1年ぐらいで色々とやらせていただいて、自分でレシピを開発するようになりましたね。

 

−−がっつりお料理の世界にいて、お料理と少し距離をとってみても、やっぱりやりたいことが料理だっていう、自分の本当の気持ちに気づけたわけですね!

 

悩んでいるけど、どこに依頼すればいいかわからない?
どんな相談も一緒に考えて美味しいものを作ります。

−−お料理の開発というと、インパクトのあるものも開発されている印象なのですが、どのようなご相談が多いのでしょうか?

丸山さん:そうですね、これまでだと未活用食材を活かしたいというご相談などで、未利用魚でミールキットを開発したり、捨てられてしまうことの多いお肉のホルモンを使ったスナック菓子を開発したり、あとは子供向けに必要な栄養をいれたお菓子の開発もしました。ご相談としては、みんなが「どこに依頼すればいいかわからない」っていうようなことも多いのかなぁって思っています(笑)

でも、私は来るものは何でも打ち返す!みたいなタイプなので、多くの料理人の方々も、なかなか触ることがないようなことを科学的な側面などで多角的に考えて提案しながら、お客さんと一緒に美味しい商品を作るっていう感じでやってきました。

 

−−どこに頼んだらいいかわからない時に、頼れる人がいるのはありがたいですよね。丸山さんのように寄り添ってくれるなら、お客さんも安心ですね。

完成するまでは時間がかかるタイプ、
でも妥協しないで美味しいものを作りたい

大変だった過去も明るく笑顔を見せながらお話ししてくれる丸山さんは、趣味も仕事も“お料理”だと語ります。そんな丸山さんは、どんな向き合い方で開発をするのか、そして今は何を想い、どんな未来を見ているのか。そんなところもお話ししてくれました。

−−丸山さんのルーツからなんでも打ち返すタイプという内面までお話しを伺いましたが、クリエイティブという側面についてもお聞きしたくて、丸山さんが手掛けてきた商品たちはどうやって生まれてきたんでしょう?

丸山さん:そうですね、例えば私が開発した代表的なものに「お茶ラーメン」というのがあるんです。これの開発の時は、お茶にたくさんはいっている旨味を、ラーメンの出汁にしたらどうなるんだろう?と考えるところからはじまりました。私は着想から完成までを割と頭で考えてから、論理的に落としていって、色々な角度で試行錯誤して、何度も試作をするタイプなんです。だから、開発に時間がかかってしまうんですけど、たくさんのパターンを作って、その中で“これが一番でしょ!”みたいなのが見つかった時に完成する、商品が生まれるというイメージですね。たくさん時間はかかっちゃうけど、これだ!って瞬間が訪れた時って、すっごく嬉しいんですよ!

 

−−ちゃんと考えて試作を繰り返す。やはりそこに妥協なんて言葉は皆無ですね!それにはかなり粘り強さとか忍耐も必要そうですね。

丸山さん:そうなんですよね、でも私は粘り強い面が結構ありまして(笑)だから逆にこれ!って決まったはずなのに、もっといい配合がないかなってもう一度悩んでみて、やっぱこっちが一番だった!って戻るということもあったり、

あとは、予想してたよりも、めっちゃまずい!とか、そうかと思えばすっごく美味しくできたりとか、色々と説明がつかないなぁっていうこともあります。でもそういうことも含めて楽しんでやっていますね。(笑)

 

時代や文化に合わないなら形をかえて。
美味しいものは未来に残していきたい。

−−丸山さんが一つ一つに凄く丁寧に真剣に向き合う姿勢というのが良くわかるお話しでしたが、そんな風に取り組む自分の原動力ってなんだと思いますか?

丸山さん:やっぱり一番は生産から料理に興味を持ったっていうところがあるので、生産者さんに近い方々、老舗でずっとその文化を守ってきたっていうような会社さんなど、そういった人たちの想いや食品、商品を未来に繋いでいきたいっていう気持ちが原動力として結構強いかなって思います。あとは誰もやったことがないようなことを依頼されることが多いので、そこが私の役目として期待されるところだろうと思っています。そのお困りごとをいかに美味しくして、どうやったら手に取ってもらえるか、それも考えながらやるとどんどん熱が入っちゃいますね!

−−やっぱり人の気持ちに応えたい、美味しさで解決したい!っていうのが原動力になるわけですね!まだまだお聞きしたいのですが、最後にそんな丸山さんは、どんな未来を見据えてフードクリエイターとして活躍したいというのがあれば教えていただけますか?

丸山さん:今後は、より商品開発とか、メニュー開発っていうところを加速してたくさん取り組んでいきたいなって思ってるんです。これは私なりの理由ではあるんですけど、美味しいのに今はもう食べられない、無くなってしまった「食」ってありますよね?私はそれがすごく嫌なんです。美味しいものが無くなるということが、ムカつくというか(笑)だから、美味しいものは、残していきたいっていう気持ちが強くあるんです。その素材や食品が、今の時代に合わないというなら、何か形を変えて繋いでいく。そのモノの良さを美味しさで伝えていくところに、私の使命があると思っています。これからも料理のスキルや他にも力を注いで、食で困ってる皆さんの力になりたいなって思ってますね。

 

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X:丸山千里 / フードクリエイター

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

モッテイクマガジンでは、イベントのレポートや新しい食のたのしみ方のアイデアを発信します。そして、生産者、料理人、生活者の想いをていねいにつないでいきます。 みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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