2018.08.28. | 

Mo:take MAGAZINE 初の主催イベントは、生産者と料理人と生活者のおいしい即興劇でした

「いっしょに たべよう」。Mo:take MAGAZINEのコンセプトに込められた意味をご存知でしょうか。家族、友人、恋人。親しい人と囲む食卓はもちろん、生産者と料理人、そして生活者のみなさまをつなぐ、そんな想いが込められています。そこで今回、Mo:take MAGAZINEのコンセプトを体現するようなイベントを「地のものバル MUJO」にて、Mo:take MAGAZINE編集部チームで試験的に開催してみました。

生産者 + 料理人 × 生活者 = 想定外。一期一会の1品に巡り合える!

「これ、どうします? 食べます?」

味わい深いみやじ豚の美味しさをかみしめていたら、カウンターの中の坂本シェフが、小さな器にてんこ盛り!のみやじ豚の脂身を見せてくれました。 「いやいや、これはさすがにちょっと(笑)」と丁重に辞退しようとしたら、「脂身じゃなくて、白身っていうのが通なんすよね。牛は赤身、豚は白身!」というMUJOの粕谷さんの声が。そして、脂身、ではなく、白身の大きな一切れを口に入れ、おいしそうにモグモグ、パクパク食べ始めました。

えっ?! と、呆気にとられる女性陣。

すると、梅干し生産者の森本さんがカウンターの中で、坂本シェフにそっと何やらささやきました。うなずく坂本シェフ。間もなく、目の前のお皿には、一口サイズにカットされ、梅肉をまとった脂身白身が運ばれてきました。

「豚肉と梅干しってすごく合うんですよ」。

森本さんの言葉にうながされるように早速口に運んでみると、なにこれ、美味しい! 脂身、ではなく、白身なのに、梅干しの酸味でめっちゃ爽やかになってる!! この食べ方最高!!

たぶん、いや絶対、当初のメニューには入ってなかったはずのこの一品。この場に、素材を美味しいものに化けさせる料理のプロがいて、豚は白身が美味しい!という生活者がいて、さらに梅干しの美味しい食べ方を知り尽くした生産者がいたからこそ生まれた一期一会の一品です。

豚肉と梅が合うよー、という話から、「実は鶏とも合うんです」と話は広がり、梅干しを漬けた梅酢を原液で飲ませてもらったり、料理への活用法を教えてもらったり。その過程で、これまであまり関心を持ってこなかった梅干し作りに興味が生まれ、作り手へも想いを馳せるようになりました。

そしてもちろん、翌日からは森本さんから教えてもらった梅干しメニューが我が家の食卓を彩り、坂本シェフのアドバイスが料理に生きています。

生産者だけではこの場は生まれないし、料理人だけでも、生まれない。生産者、料理人、生活者の3者が揃ってはじめて生まれる、しかも何が生まれるかはその瞬間までわからない、ライブ感あふれるぜいたくな空間。堪能させていただきました!

-Mo:take MAGAZINEライター/平地-

 

 

カウンター越しに、生産者×料理人の即興料理と会話を楽しむ

「今日は梅干しの生産者も来ています」

料理人だけでなく、生産者もキッチンに立つってどういうこと? そんな疑問を持ちながら開始したこのイベント。梅干しを使った洋風のおつまみや、イノシシ肉の煮込みなど、ひねりの効いたお料理が目の前にどんどん提供されていくので、もう難しいことは考えず、いただくしかありません。

さらに「梅干しの酸味を、口の中でまろやかにまとめてくれるお酒です」「バケットを食べた後に呑むと、バケットの香りをふわ〜っと拾ってくれるお酒です」なんて具合に日本酒を勧められると来ました。こうなると、お酒はあまり強くもないくせに「じゃあ呑んでみようかな」という気になってしまう。しかも実際に口にすると、その表現通りの実感があるのが楽しくて、ついお酒がすすみます。

戸惑いつつも、ようやくイベントの面白さを掴み始めたのは、シェフの坂本さんが「この豚肉は味が違う!本当に美味い!」という「みやじ豚」の端っこの脂身が残ってしまった時のこと。「脂身も美味しいのに、もったいないね……」と、キッチンで目を見合わせて立ち尽くす坂本さんと森本さん。そうは言われても、脂身だけを食べるには勇気がいります。

そこで、急に思い立ったように、みやじ豚の脂身と梅干しを刻み、和え始めた森本さん。「そんなに真っ白な脂は、お腹に重たいでしょう?」と尻込みしながらも口に放り込むと、不思議と脂っこさを感じません。梅干しパワーに驚くとともに、小原さんが勧めてくれる日本酒も、また上手に脂っこさを拾ってくれるというナイスコンビネーションです。

すかさず粕谷さんが「これぞライブクッキング!」と盛り上げ、お客さんたちの笑いを誘います。その瞬間、10席にも満たないカウンターとキッチンに、心地よい一体感が生まれました。

その日の食材やお客さんとの会話から、「これを提供したら喜んでもらえるかも!」という直感にしたがって料理を提供する。そんなスタンスだからこそ味わえたあの味は、色々な人と話しながら食べた「思い出も含めた美味しさ」だったのかもしれません。

「あの味は、二度と味わえない。そんなのもありじゃん」……一緒に過ごした人たちの顔を思い浮かべながら、そんなことを考えるほろ酔いの帰り道は、気持ちがいいものでした。

-Mo:take MAGAZINEライター/黒木-

 

 

ネットで何でも手に入る時代だからこそ、本物の体験を味わいたい

「生産者 × 料理人 × 生活者のイベントをやるんで、この日は空けといてください」

それだけ告げられ、それ以上の情報もないまま現地へ向かうと、地のものバル「MUJO」店主の小原さん、ケータリング「Mo:take」ヘッドシェフの坂本さん、梅干し農家「みやぶん」の森本さんがバーキッチンに立っているではないですか。しかも、森本さんに至っては、食材を届けに来たら坂本さんに引きとめられ、そのままキッチンに立つことになったとか(笑)。のっけからそのライブ感と異色のコラボレーションに魅了されました。

最初の一品は、みやぶんの梅干しをつかった梅づくし。梅をつかった前菜に小原さんがお酒をペアリングしてくれました。梅干しがただならぬ美味しさの上に、お酒好きのわたしでも見たことも聞いたこともないような珍しいお酒ばかり。しかも、そのペアリングの絶妙さたるや!

その後、イノシシ肉のトマト煮、みやじ豚、アクアパッツア、情熱のろべるとという激ウマ卵をふんだんにつかったカルボナーラ……。料理の数、いや、それ以上のお酒を出していただき、生産者と料理人、お客さんの会話から生まれた即興料理が合間あいまに提供され、だんだんおぼろげになっていく記憶(笑)。

カウンター越しに、生産者と料理人がそろい踏みの環境で、おいしいと思えばすぐさまその気持ちを伝えることができる。気になることはその場で質問し、家庭での調理方法や食材の購入方法まで教えてもらえる。これをお得と言わずしてなんと言えばいいのでしょうか。

インターネットで注文したらどこにいてもなんでも手に入ってしまう時代において、私たちの心を揺さぶる体験は、本物の人とものとの一期一会の出会いの中にしかないのかもしれない。そんな気持ちを抱きながら、おぼつかない足元で帰路についた夜でした。

今回、試験的に行ったイベントですが、今後はMo:take MAGAZINEの読者のみなさまとの交流の機会として開催していく予定だそうです。生産者や料理人との会話まで味わう、そんな食の機会に興味をもってくださるみなさまとのすてきな出会いが生まれることを、たのしみにしています。

-Mo:take MAGAZINEライター/界外-

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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