SERIES
Food Future Session
2023.04.20. | 

[Vol.3]2人の関係性と、B面がA面にもたらした嬉しい影響【シーナタウン 日神山 × Yuinchu 小野】

「Food Future Session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:takeの座談会。今回は、池袋西エリアで有志と「株式会社シーナタウン」を設立し、商店街のまち宿とお菓子工房「シーナと一平」など、場所・空間・まち作りの提案と運営を行っている日神山晃一(ひかみやま・こういち)さんとYuinchuの小野正視の座談会です。「シーナと一平」を会場に開かれた座談会。Vol.3では、2人の出会いまで遡りながら、2人の関係性や、B面を作ったことでもたらされたA面(本業)への波及効果などについて語っていただきました。

異なるアプローチで、近しいところを目指す2人の関係性

小野:僕と日神山さんの出会いのきっかけを覚えていますか。

 

日神山さん:一番最初は共通の知り合いが主催してくれたオンライン対談でしたね。小野さんの考え方が面白くて、対談の間中ずっと楽しかったことを覚えています。

 

小野:感覚が似ているというか、目指しているものは近いものがある気がするのに、アプローチが違うところがお互いにとって面白かった気がします。

 

日神山さん:インプットとアウトプットのアプローチが逆なんですよね。この1年の間に、いくつかのプロジェクトの伴走を小野さんにお願いしてきましたが、自分ができないことを小野さんがやってくれるので、すごく組みやすいと感じています。

2人でプレゼンに行くこともありますが、僕が喋った方がいい時は小野さんはあまり喋らないですよね。でも、小野さんの立場から言っておくべきところはちゃんとフォローしてくれる。すごくやりやすいです。

 

小野:目指したい世界観が近いけれど、最初に取り掛かる部分が違っていて、日神山さんは僕と逆の方向から話をする感じがありますね。

僕はカフェの運営など、オペレーション寄りの事業をしていて、日神山さんはハードを作るインテリアデザイナーです。順当に考えれば、日神山さんがハードの提案をして、僕がソフトの提案をするはずなんだけど、僕はオペレーションがハードに見えるように「装置」という言い方をしていたり、日神山さんは空間というハードを作っているのに「人間」というソフトのことを中心に言っているんですよね。面白いです。

 

パステル画のような淡さを、くっきりとした企画に落とす

日神山さん:最初に仕事で小野さんに伴走してもらったのは、ある企業からの依頼で、ソフトの仕組みも含めた新業態開発の案件です。コミュニティのある空間デザインをつくる上で、飲食を運営するオペレーションフローを組み立てるには、この分野でたくさんの経験がある小野さんしかいないと思ったんですよね。

 

小野:二つ目は、シーナタウン事業全体のコミュニケーションデザインのサポートで、三つ目が大手生活雑貨店の売り場づくりのサポートでしたね。

 

日神山さん:大手生活雑貨店の案件では、まちとつながった売り場を構築したいと相談を受けました。僕はそういう部分に関わってくれるプレイヤーをたくさん知っているので、彼らをどんどん紹介しつつ、仕組み作りの部分で小野さんに相談させていただきました。

 

小野:日神山さんとこの仕事をしていた時、めちゃくちゃ心地良かったんですよね。日神山さんは、つくりたい場の俯瞰のイメージを企画としてきっちり話せる人だから。

僕が「こんな感じどうですかね」と、絵で例えるならパステル画のような淡いイメージを示すと「じゃあ、レンタルスペースでいきましょう」としっかりしたデッサンに落としてくれるんです。

日神山さんはご自身の仕事を「プロセスをデザインしている」と言いますよね。そうやって、淡いイメージの構想を企画力で埋めてくれる。一方で僕は、「このキッチンなら、こう言う商品が必要で、こういうオペレーションになりますよね」という具合に、現場のスタッフに伝わりやすい形で説明ができます。

 

日神山さん:小野さんはそういったオペレーションの部分をしっかり埋めてくれるんですよ。お互い、得意な範囲が違うところがいいのでしょうね。

 

シーナタウンというB面が、本業に新たなオファーをもたらす

日神山さん:元々、空間デザインをしてきましたが、最近になってこういう新たな分野の仕事のオファーがくるようになってきています。僕にとっては新しい分野の依頼なので、力になってくれる小野さんの存在は力強いし、僕の強みも出しやすい。

 

小野:シーナタウンというB面のチャレンジがあったからこそ、本業にも新しいオファーが来るようになったということですよね。

 

日神山さん:インテリアデザイナーや空間設計者って、まちの人からは姿が見えない黒子の仕事なんですよね。シーナタウンを作った時、ちょうど40歳になったタイミングだったのですが、このエリアで、裏方だけではない仕事をやりたくなったんだと思います。

40歳くらいになると、これまでの経験からできることと、自分が楽しいと感じられること、その両方を仕事にしていかないといけないと思っています。できることをルーティンのように回すだけでなく、新しいことにチャレンジして自分をワクワクさせていかないといけなくなるのかなと感じます。

 

小野:今後、自分がやりたい仕事ってなんだろう、続けられることはなんだろう、と明確にする時期かもしれないですね。

 

日神山さん:そうなんですよ。そういう意味で実験の場であり、自分自身の力をつけたい、という思いも全部、シーナタウンに投影されてきたんだと思います。

 

次回は4/25(火)に公開予定です。それぞれの事業の背景にある思いや、シーナタウンの”これから”について語っていただきます。

 

– Information – 
シーナタウン

ライター / Mo:take MAGAZINE 運営

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