ゴールがないからこそ研究し、挑み続けられる
ー下条さんのWebサイトのタイトルは「MIO&WAVE」で、プロフィールのところには“サーフィンと海にまつわる料理を研究・開発している。”とあります。
下条さん:最初はボディボードから始めましたが、30歳ごろからサーフィンに変わりました。今は湘南のショップに道具を全部置かせてもらっているので、週に1、2回そーっと始発で行って(笑)、11時ごろにはもう帰って来ています。
プロフィールのフレーズは、知り合いが「下条さんの料理は、海とか太陽とかを感じるよね」ということで作ってくれました。私自身が意識しているわけではないんですけど、私の料理はそんな感じなんですって。へえ、そうなんだなーって(笑)
坂本:好きなものを体感すると、表現するものもそれっぽくなるのかなってすごく思うんですよ。そこからイメージを沸かせたり、感化されるところは大きいと思うし、シーンや雰囲気を思い浮かべやすいからそっちに寄っていくのかな、と僕自身も思うんですよね。このシーンでこういうのを食べたいな、というのもありますね。
下条さんはサーフィンも料理も好きだと思うんですけど、やっていて共通するような感覚を味わったりしますか。
下条さん:そうですね、どちらも「もっと上手くなりたいな」というのが共通かなと思います。料理もサーフィンもゴールがないので、「もっと上手くなりたい、もっと美味しいものを作りたい」、そこですかね。研究し続け、挑み続けられるのが料理であり、サーフィンであると思っています。
コロナを機に考えた。必要とされていることは何だろう。
ー3月以降、新型コロナウイルスで社会のあらゆるところに多かれ少なかれ影響が出ています。お二人はこの状況をどんな風に受け止めていますか。
下条さん:解決策はまだ全然見えていないんですけど、こういう状況になって向き合う時間ができたのは大きかったと思っています。立ち返ってみた時に、何が必要で何が必要ではないのかを考えましたね。
今まで自分がやってきた仕事を否定するわけじゃないけれど、その仕事は本当に私がやるべきことか、他の人がやってないことをやった方がいいのかな、という風に気持ちも考えも向いていったんです。必要とされていることは何だろう、とか。
そして私は、料理を提供して人に喜んでもらえるという仕事をしたいなあ、というのが根本にあって。空間も音楽も含めた場づくりと、料理を食べてもらうということを今後は重点的に考えていきたいと思います。
坂本:一緒だなと思います。共通項としては、自分の存在証明ですよね。何のために自分がやっているんだということを、本当に僕も考えるし。振り返るとずっとそれを考えていたからこそ、ケータリング業界の中でも、僕が表現するならこういう形だよ、というのを形にしてきたんですよね。
コロナを機に、僕たちはキッチンカー「Mo:take FOOD TRUCK」も始めました。お店で待ち構えるのではなく、こっちからその人たちの元へ行けばいいんだって。多分、何も決まり事はなくて、いろんな形で食からアプローチできると思うんですよね。これからもずっと、僕らしい表現をしていきたいなと思っています。
食はなくならない。また、一緒にお仕事しましょう。
坂本:他にも、プロデュース的な商品開発も積極的にやっていこうと思っています。三重県を流れる宮川という川の水質保全団体が、宮川の清流と環境保全をPRをする時に一緒に考えたんですけど、一番重視したのは、若者にどうキャッチーに捉えてもらえるかということでした。
そこで、日本一透明なプリン「宮川クリアプリン」というビジュアルとして印象に残るプリンを開発したんですけど、食べ物を提供している身としては、ビジュアルを保ちながらいかに美味しくするかにもこだわって開発しました。
これからもそんな風に、いろんな人たちと組んで、「この人だったらこう表現するよな」とか、いろんなパターンでプロデュース的な仕事もやっていきたいと思っています。
下条さん:私もEDWINのイベントで坂本さんと一緒にメニューを考えるのがすごく楽しくて、興味や好みの方向性もすごく近いなと思ったんですよね。だからまた、そういうお仕事が一緒にできたらいいなって。
坂本:共創ですよね。僕だけの考えだとどうしても寄っちゃったりとか、面白くなくなってくるんですよね。この前下条さんと一緒に開発して、スイカのスープみたいな感覚を体験して、ぜひまた一緒に新しいことをやっていきたいなと思っています。
下条さん:これからも周りの環境が変わっても食自体がなくなることってないと思うんですよね。“いい食”というものの可能性は無限にあると思うので、これからが楽しみです。
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MIO&WAVE 下条美緒ライフスタイルメディア
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