2020.10.13. | 

[Vol.2]学生たちと考える、withコロナ時代のフードサービス

「コロナ禍のフードサービスを提案する」。そんな課題に取り組む学生たちのことを、覚えていますか。
新宿にある東洋美術学校クリエイティブデザイン科 高度コミュニケーションデザイン専攻の取り組みをご紹介したのが8月25日のこちらの記事でのこと。そこから約1ヶ月に及んだ学びと試行錯誤の成果を、学生さん自身のレポートでご紹介します。

はじめに登場するのは「Team Bee」のみなさん。前回のワークショップで、「コロナ禍で、食が孤独になった」ことに焦点をあてていたチームです。

「ひとりで食べるのは寂しい」。実体験から生まれた「Mo:take@HOME」のアイディア

 

こんにちは。東洋美術学校東洋美術学校クリエイティブデザイン科 高度コミュニケーションデザイン専攻の「Team Bee」です。

今回私たちは「調理から食事を通したオンラインでの新しいコミュニケーション体験を提供する」というコンセプトのもと、

食材・レシピの宅配サービス『Mo:take@HOME』

を提案させていただきました。

食材の宅配サービス自体は既に様々な会社が行なっていますが、その多くは「面倒な工程をいかに減らすか」に重きを置き、調理過程に対して負のイメージを持っています。

『Mo:take@HOME』では、むしろその調理過程を楽しんでいただきたいと考え、ターゲットを「料理に興味はあるけれど一歩踏み出せない人」としながらも、あえて未加工(非カット済)の食材をお届けするなど、一から料理をしていただく形をとっています。

そして、より良い料理体験のために「オンラインで誰かと一緒に調理すること」を推奨しています。初めての作業や難しい工程も、チームメンバーと助けあったり友人とワイワイしながら乗り越え楽しんでいただくことで、瞬間の面白さだけではなく、長く豊かな生活を送るためのお手伝いをさせていただきたいと考えています。

 

 

オンライン呑みで失われた、「過程の豊かさ」を取り戻す

 

『Mo:take@HOME』の強みは、お酒に合うおしゃれな料理も豊富であることです。新型コロナウイルス流行以前の「食事」はコミュニケーションの場であり、食事中もその後も話のきっかけ(ネタ)になりうるものでした。しかし、感染への不安や他人の目が気になるなどの理由で、家で食事をとる機会が増え、

「人の食べたものを見ることができない(インスタ等に上げる頻度が減るなど)」

という「孤食」が当たり前になってきたことで食事が雑になるなど、本来楽しみであったはずの食事への関心が薄れていると感じました。1日3回、365日、これからも続けていくであろう「食事」が疎かになることは、生活の豊かさにも関わってきてしまいます。

そこで、飲み会・食事会の擬似体験として「オンライン呑み」が普及していることに目を向けました。しかし、現状のオンライン呑みも「今までの食事」に比べると不自由な点があったり、少し物足りない印象を受け、「最初から最後まで楽しむ」ことができていないと感じます。

特に大きな違和感として、「一体感がない」「緊張感がある」「余韻がない」「リズムが掴めない」ということが挙げられ、それらは食べるものが違うことや視線が固定されること、準備過程が寂しいことやメニューを選ぶ過程がなく、話のきっかけが減ること等が原因であると考えられます。『Mo:take@HOME』は月毎に変わる独自のレシピや、調理過程から楽しむきっかけを提供することでそれらの問題を緩和し、オンライン呑みの自然な「導入」をサポートします。

 

 

今回の企画提案に際しては、メンバー同士で実際にオンラインでつなぎながら食事の準備をし、一緒に食べて片付ける、ということをやってみたという「Team Bee」のみなさん。
「つくっている最中は自分の作業に集中するのであんがい会話が起きない」
「つくっているメンバーを見ているオブザーバー的な立ち位置だと、すごく面白いコンテンツだと感じる」

などと、体験してみてわかった発見もあったそうです。机上で考えていただけでは見えてこない発見を通し、デザインがより揺るぎないものとなっていく。そんなプロセスを感じるレポートでした。

次回は10/15(木)に公開予定です。
次回は「TeamTUNA」のレポートです。「食の孤独」と向き合った「Team Bee」とはまったく異なる観点からサービス提案を生み出しています。その内容にご注目くださいね。(つづく)

 

– Information –
学校法人 専門学校
東洋美術学校
東京都新宿区富久町2−6
https://www.to-bi.ac.jp/

レポート:「Team Bee」のみなさん

東洋美術学校東洋美術学校クリエイティブデザイン科 高度コミュニケーションデザイン専攻のメンバーにより結成された授業内プロジェクトチーム。チーム名の由来は、「ミツバチが花から花へと飛び回り、蜜を集め、巣に持ち帰り仲間に花蜜を提供する様子と、ケータリングの料理を振る舞う様子が似通っている」と感じたところから。

構成:八田吏

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。

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