旬の野菜を通じ、食材に愛着をもって食べることを提案したい
阿部さん:yasaiccoは、「旬のリズムと生きていく」をテーマに、今、旬の野菜を届けることに特化したサービスです。あえてスーパーでは見かけない珍しい品種の野菜や、規格外だけれど見た目がかわいい野菜を選び、ひとつひとつ丁寧にお届けしています。大切にしているのは「野菜と出会った時のときめき」。野菜をお届けする袋に顔マークをつけているので、まず「何これかわいいー!」という、ときめきタイムがあります。「食べてあげたいな」という気持ちが、どんなに忙しくても料理に向かう原動力になると思うんです。
広告代理店に勤めていた時に、食べることが大好きだったにも関わらず、忙しさのあまりに食生活が乱れていた自分を思い返し、同じような状況になっている人に届けたいと考えています。
阿部さん:旬のものは、圧倒的に味の濃さが違う。焼いて塩だけで十分というくらい、調理も簡単です。私自身、料理があまり得意ではないので、農家さんやそこで働いているパートのスタッフさんにおすすめの食べ方などを聞いて、「これなら私でも調理できる!」というレシピを、POPやnoteを通じてお届けするようにしています。個人向けだけでなく、会社などのコミュニティ単位にお届けして、それぞれが持って帰ってもらえるような配送方法も用意しています。
野菜に紐づくストーリーも丁寧に伝え、共感してくれる人に届けたい
阿部さんは、食材に愛着をもってもらうために、その野菜が育った背景や、畑のことも丁寧に伝えます。
阿部さん:たとえばyasaiccoでお届けしている「間引きにんじん」。人参は、種を1つまいても大きくなれないけど、隣に2つまくと、寄り添い合って大きくなれるんです。でも隣にいるから、大きくなるとぶつかってしまう。だから間引く。「この間引きにんじんちゃんは、運命の分かれ目のほうの子なんですよ」って伝えると、栽培のこともわかるし、美味しく食べてあげようという気持ちが起こると思うんです。そういう、野菜に紐づくストーリーも一緒に伝えたいと思っています。でも、この間の「yasaiccoちゃんお披露目イベント」にたまたま来てくれた、近所に住むマダムにそういうストーリーをお話したんですが、あまり興味を持ってもらえなくて……。そのとき、ただ売れればいいわけではないと気づきました。少数でもいいから「愛着をもって食べたほうが素敵じゃん!」ということに共感してくれる人たちと楽しくやっていきたいという気持ちでサービスを運営しています。
共感してくれる人に合わせ、サービス内容を柔軟に変えていく
共感者が増えていく一方で、共感が購入に結びつかないということも。
阿部さん:それはきっと、反応してくれる人に対して応える形になっていないということ。だから共感してくれた人の声を聞いて、サービスの提供方法もどんどん変えているんです。「共働きの夫婦には5個入りが隔週で届くのがいい」「一緒にyasaiccoを食べられるご飯会をやってほしい」「ギフトとして届けたい」とか、そのような声に応えて、どんどんサービス化しています。
試行錯誤ですが、最近は、考えや価値観を発信し、そこに反応してくれた人たちから教えてもらって、「オッケー!じゃあやってみる!」と作っていくスタイルになっています。かっこいいやり方ではないかもしれませんが、共感してくれてる人と作っているという感覚があって、幸せですね。私は「旬のリズムと生きて、食材に愛着をもって生活したらハッピーじゃん!」ということを伝えたい。それさえぶれなければ、形は変えて自由にやっていっていいと思っています。
次回は8/6(火)に公開予定です。「共感」を軸に、反応してくれた人に合わせてサービスを少しずつ変えていく、という自分なりのやり方で「yasaicco」のサービスを展開する阿部さん。そもそも、このサービスの始まり、そして、畑に魅せられたきっかけは何だったのでしょうか。(つづく)
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