2022.02.17. | 

[Vol.3]初めて飲食店の立ち上げに携わることに。「今の自分だからこそできた」 フードコーディネーター・西村麻佳さん

フードコーディネーターとして広告を中心に活動してきた西村さんが、昨年初めて取り組んだのが、飲食店のフードプロデュース。10月に新規オープンした横浜桜木町のホテル内併設のスープダイニング「NOUMU」で、メニュー開発から器のセレクトまで、フードに関わるすべてを担当しました。ここからはMo:takeの坂本も交えて、仕事のオファーがあった経緯からメニュー決定までのプロセス、オープンに至るまでに苦労したことなどをお聞きしました。

同じ時間に同じ体験をして
お客様の立場でメニューを考える

「NOUMU」のフードコーディネートについて、西村さんにオファーがあった経緯を教えてください。

 

西村さん:「NOUMU」の総合プロデュースを手掛ける株式会社NODの溝端友輔さんと共通の知り合いがいて、おもしろいことをいろいろやられている方なので、一度お会いしてみたくてご連絡したんです。

そこからプライベートで仲良くなり、飲食店をプロデュースするという話を聞いて。そのときは自分が関わるとは思っていなかったのですが、「飲むことで、霧を晴らそう」というコンセプトのスープダイニングをつくるというところまで本決まりしてから、正式に依頼をいただきました。

 

メニュー決定まではどのようなプロセスで進めていったのでしょうか?

 

西村さん:はじめはモーニングメニューのみを提供することになっていたので、お客様と同じ立場になって考えようと、いろんなお店のモーニングを食べに行ったりしました。

「朝って意外と食べられないよね」とか「こういうのだったらスルスル食べられるね」とか、お互いに感じたことを共有しながらイメージを膨らませていき、それを私が言語化して料理に落とし込みました。最終的に6つの案を出し、実際にメニュー化されたのは3つです。

 

オープンまでわずか2ヶ月
これまで培ってきたスキルをフル活用

オープンに至るまで、大変だったことはありますか?

 

西村さん:独立店舗ではなく、ホテル内併設の店舗で、ホテルに宿泊のお客様も来店されるので、「NOUMU」側とホテル側の考えをバランスよく取り入れるのが難しかったです。

ホテル側から最初に言われたのは量のことでした。以前入っていた飲食店がボリュームを売りにしていたようで、「これで足りるのか」という意見もありましたが、

「量と満足度はイコールではないのでは?」
「NOUMUのある横浜には、ほかにも行きたいお店がたくさんあるから、私だったらモーニングだけでお腹いっぱいになりたくない」

など、自分の意見をきちんと伝えた上でディスカッションを重ね、双方が納得いくかたちで完成しました。

スープの味や量だけでなく、メニュー構成や調理工程、器のセレクトに至るまですべて任せていただき、とてもいい経験になりましたね。

広告の仕事は「納品したら終わり」というケースが多いですが、飲食店のプロデュースはオープンしたら終わりではないので、まだ私は経験したことがないですが、子育てに近い感覚のような気がします。

 

企画段階からオープンまでの期間はどのくらいだったのですか?

 

西村さん:約2ヶ月です。タイトなスケジュールでしたが、各分野のプロフェッショナルが集まり、適材適所で力を発揮したからこそ、奇跡的に成り立ちました。

私自身、料理人を育成する学校に通い、数多くのメニュー開発に携わってきた自分にしかできなかった仕事だったのではないかと思っています。これまで培ってきた経験やスキルをフルに活かせたのが嬉しかったですね。

 

まずは人として好きになってもらう
スタッフとは関係性づくりからスタート

新店舗の立ち上げでしたが、スタッフさんとのコミュニケーションの面で工夫されたことはありますか?

 

西村さん:以前入っていた飲食店で働いてた方がほとんど残ってくださり、集団調理の知識が豊富だったことはありがたかった一方、知識や経験が豊富な方ばかりですので、「フードプロデューサーとして受け入れてもらえるだろうか」と不安もありました。

まずは人として好きになってもらおうと、プライベートの話をしたりなど、関係性づくりから始め、指示を出す立場ではありますが、外からあれこれいうのではなく、一緒に仕込みや試作をしたり、いろんなアイデアをもらったりしながら、信頼関係を築いていきました。

 

坂本:お店づくりで一番大切なのは、スタッフとの信頼関係だと僕も思います。コミュニケーション不足が原因で店舗運営がうまくいかないケースも多いなか、関係性づくりからはじめ、スタッフをまとめて2ヶ月でオープンまでもっていけたのは本当にすごいことだと思います。

 

西村さん:ありがとうございます。高校時代から料理人の方々と関わる機会が多く、食品メーカーにいたときはデパ地下の従業員さんに惣菜の盛り付けを指導したりもしていたので、立場が違う人とのコミュニケーションに慣れている部分もあるかもしれませんね。

 

坂本:いろんな立場の人の気持ちがわかっているからこそできることだと思います。そういうのってマニュアルにできないし、人から教わるのも難しいところなので、西村さんのセンスなんでしょうね。

 

新たなチャレンジも無事に成功させた西村さんの今後の展望とは。今特に興味のある分野ややってみたいことは何でしょうか?

 

西村さん:大変でしたが、飲食店のフードコーディネートは今後もやっていきたいです。あとは、私はアイスクリームが大好きで、いつか関わる仕事をしたいと思い、イタリアのフィレンツェでジェラートの修行をしたので、その経験は活かしたいですね。自分のお店を持ってみたい気持ちも少しだけ…。坂本さんはそう思うことありませんか?

 

坂本:ガチガチなレストランではなく、気まぐれなお店だったらいつかやってみたい気持ちはありますね。

 

西村さん:わかります。私も好きなことややりたいことが変わっていくので、「今月は和食屋さん、来月はアイスクリーム屋さん」みたいな自由なお店が理想です。

 

坂本:その日によって料理人が変わるお店もおもしろそうですよね。いろんなフードクリエイターさんと組んで、それぞれが食材やレシピを持ち寄ったら新しい可能性も広がりそうですね。

 

西村さん:楽しそうですね。実現したらぜひ私にも声をかけてください!

 

– Information –

Facebook:https://www.facebook.com/asaka.nishimura.7
Instagram:https://www.instagram.com/nishimura.asaka/?hl=ja

ライター / 上條 真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人広告のライターを経て、フリーランスとして独立。インタビューしたり、執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。

Mo:take MAGAZINE > [Vol.3]初めて飲食店の立ち上げに携わることに。「今の自分だからこそできた」 フードコーディネーター・西村麻佳さん

Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

Mo:take MAGAZINEは、
食を切り口に “今” を
発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、
その時、その場所は、
より豊かになるはず。

みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

みんなとともに考えながら、
さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性を
きりひらいていきます。

さあ、いっしょに たべよう

OTHER SERVICE

様々な形で「食」が生む新たな価値を提供します。

ブランドサイトへ