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Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ
2023.04.27. | 

[Vol.1]香ばしい旬の一品を、家のフライパンで作っちゃおう。カツオのたたき|Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ

母親になって15年。毎日の夕食づくりがどんどん自己流に、そして雑になっているライターの平地紘子です。料理の適当さに歯止めをかけるべく、Mo:takeのフードクリエイターに教えを乞い、基本のきから学び直したいと思います。通常のレシピには書かれていない、レシピの“行間”まで根掘り葉掘り聞きながら、誰でも失敗なく美味しく仕上げるテクニックやコツが満載の「どこよりも細かいレシピ」を教わります!

今回のMo:takeフードクリエイターは、旅とあそびをテーマにフード活動を行なっているSTUDIO HOLIDAY のフードクリエイター、堀内愛さん。カツオのたたきを教えていただけるとのことですが、そもそも、カツオのたたきって、家でも作れるんですか!? 

「カツオのたたき」基本のレシピ

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<材料 4人分>
・カツオ 1柵
・ニンニク 1〜2カケ
・新玉ねぎ 1/2個
・小ネギ 2本
・豆苗 1/4パック
・サラダ油 大さじ2
・ポン酢 大さじ3
・山椒  小さじ1/4(お好みで)
・へべす(レモン果汁カボス果汁で代用可)
・塩

<作り方>
①ニンニク、玉ねぎをスライス。豆苗と小ネギも一口大にカットしておく
②カツオに塩を振り10分くらい置いておく(カツオの重量の1%くらいの塩)
新玉ねぎを塩もみしておく
③フライパンにサラダ油とニンニクを入れて、極弱火でじっくり加熱し、油にニンニクの香りを移していく。ニンニクが薄く色づいてきたらニンニクを引きあげる
④ガーリックオイル小さじ1はフライパンに。残りはボウルに移し、ポン酢と山椒でタレを作っておく
⑤①の新玉ねぎにへべすを加えて和えておく
⑥②のカツオの水分を拭き取り、強火で熱々に熱したフライパンで表面を焼いていく
⑦焼き上がったらジップロックにいれ、氷水で冷やす
⑧カツオが冷えたらカツオをカットして、野菜と共にお皿に盛り付ける

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それでは、家で作るカツオのたたきのレシピを、どこまでも細かく聞いていきます!

 

カツオのたたきは、なんで“たたき”?

平地:カツオのたたきって、家で作れるんですね。そもそも、カツオを家で調理するという発想がなかったので、生のカツオを買ったことすらないです……。

 

堀内さん:そうなんですか!? 私は逆に、カツオのたたきを買ったことがないです。いつも家で作っていました。意外と簡単に作れるんですよ。

 

平地:さすがプロですね。恐れ入ります。スーパーに行くと、アニサキスの危険性が書いてあったりするのも、ちょっと怖かったりします。

 

堀内さん:だからこそ表面を焼いて食べるんですよね。初鰹の季節になったので、ぜひこれを機会に作ってみてください!

 

平地:ところでそもそも、なぜ“たたき”なんでしょうか。“炙り”とかの方がしっくりくるのですが。

 

堀内さん:確かに!炙ってるイメージの方が強いですもんね!それでもいいかも(笑)カツオを焼いた後に塩をするのですが、塩を馴染ませるために包丁でペンペンペンと叩くところから「たたき」という名前がついたそうですよ。

 

平地:本当に叩くんですね!驚きです。

 

カツオを引き立てる薬味を準備
「へべす」って何?

堀内さん:では始めていきますね。まずは新玉ねぎをスライスしていきます。

 

平地:端から順番にスライスすると思っていたのですが、堀内さんは今、まず端っこをザクっと切って、その部分を横に倒してスライスしましたね?

 

堀内:端の部分はそのまま切ると分厚くなりやすいので、端の2cmほどをカットして横に倒してスライスするといいですよ。最後に残る反対側の端も倒して切りましょう。

 

平地:なるほど! そうすれば均等にスライスできるんですね。

 

平地:見ていて惚れ惚れしますね。やっぱりこれぐらい薄く切れるようになりたいですね。

 

堀内さん:包丁が苦手な方は無理せずスライサーを使うのもありです!私も極薄のときや、大量にスライスするときはスライサーにお世話になっていますよ。

 

平地:よかった!安心しました(笑)

 

堀内さん:新玉ねぎは水に晒してもいいですが、新玉ねぎは辛味があまりないので、ひとつまみの塩をまぶして置いておきます。

 

平地:もっと塩を揉み込むのかと思ったら、さっと混ぜて終わりなんですね。

 

堀内さん:塩が全体に行き渡りさえすればOKです。

 

堀内さん:今日は新玉ねぎなのでこのままでも美味しいんですが、私はへべすっていうのが大好きで。

 

平地:へ、へべす?

 

堀内さん:カボスと青みかんを合わせたような柑橘です。宮崎出身なんですが、宮崎ではどこでも売っていて、ビールや焼酎に搾り入れたり、酢の物にしたり、へべすジュースなんかも売られたりしてるんです。私大好きなんですよ(笑)

 

平地:へべすって初めて知りました。味わうのが楽しみです。

 

堀内さん:酸味がちょっと柔らかい風味の柑橘なので、へべすを新玉ねぎに合わせてサラダ仕立てにしようかと思っています。もちろん、カボスやレモンで代用できますよ。

 

堀内さん:小ネギも一口大にザクザクと切ります。

 

平地:小口切りじゃなくて、結構大きく切るんですね。

 

堀内さん:カツオも薬味も全部一緒に食べて欲しいので、一緒に取りやすいように玉ねぎスライスと同じくらいの大きさにしています。豆苗も同じくらいの長さに切りましょう。

 

堀内さん:ニンニクは、芯のところをとって、薄くスライスしていきます。今日は粒が大きめなので1カケですが、小さいものだったら2カケ使っていいと思います。

 

平地:私、芯を先にとるのが面倒くさくて、端っこからスライスしていって、芯が見えてきたらとってます(苦笑)。堀内さんは、芯に対して直角に包丁を当ててスライスしてますが、私のやり方だと、芯に対して並行にスライスになりますよね。いいですか?

 

堀内さん:全然いいと思います。そんなに細かく考えなくて全然大丈夫ですよ(笑)

 

平地:そう言っていただけるとホッとします(笑)

 

カツオにも、新玉ねぎにも、塩で下準備

堀内さん:では、カツオに塩をしていきます。

 

平地:鮮度のいいカツオの見分け方ってありますか?

 

堀内さん:鮮度が悪くなると、血合いの色が黒褐色になってくるので、そうではない鮮やかな色のものを選ぶといいと思います。

全体に塩をしたらしばらく置いて、臭みをとってあげます。

平地:全体に塩が行き渡ればいいですか? 私、全体に均等に塩を振るのが苦手で。

 

堀内さん:サラサラの塩を使うとやりやすいですよ。水分を含んでいる塩だとボタッと落ちてしまいやすいですよね。粗塩をお使いの場合は、フライパンで焼いてサラサラの焼塩にする方法もありますが、正直、家のご飯でそんなことするの面倒ですよね(笑)

その場合は、ぽたっと落ちてもOKってことで! おうちのご飯はそれくらいの大らかさがあっても良いですよね!

 

ガーリックオイルは
ごく弱火でじっくりと

堀内さん:それでは、ニンニクオイルを作ります。フライパンに火をつける前に、スライスしたニンニクとサラダ油を入れます。

 

平地:火をつける前に、入れるんですか?

 

堀内:そうなんです。パスタを作る時もそうですが、冷たい油から入れて弱火でゆっくりゆっくり熱することで、ニンニクの香りを引き出せるんです。

 

平地:急いでいるからと短時間ささっとやったら香りが出ないんですね……。自分の料理の雑さを認識します(苦笑)。

 

堀内さん:カツオのたたきって本場ではワラを燻して作りますが家ではできないですよね。なので、ニンニクのちょっと香ばしい香りをつけてあげます。

 

平地:ニンニクはみじん切りでもいけますか?

 

堀内さん:オイルだけを作るのならみじん切りでもいいですが、今日はニンニク自体も薬味として使おうと思っているのでスライスにしています。細かく刻むほど香りは出ますが、焦げやすくもなるのでみじん切りの時は気をつけてくださいね。

 

平地:いい香りがしてきました。それにしても、火ついてますか?というぐらいの超弱火ですよね。

 

堀内さん:少しずつ抽出するためにはできるだけ弱火がいいですね。

 

平地:火にかけてから、もう数分、5分近く経ってませんか? 私はこんなに時間をかけたことは一度もないと思います(苦笑)

全体が油に浸かるように、フライパンを傾けてるんですね。でも、ずっと傾けてるの大変じゃないですか?

 

堀内さん:実は、手は使ってません(笑)!もう一個フライパンを使って下にはさんでいるんです。

 

平地:なんと、こんなテクが!

 

堀内さん:ズボラテクです(笑)手で持っていなくていいのでラクですよ。でも、ニンニクは箸でたまに混ぜてあげてくださいね。

 

堀内さん:これぐらいの色になったら、取り出していい感じです。

 

堀内さん:取り出した後も余熱でまた火が入って色が入っていくので、色がつきすぎない程度で大丈夫ですよ。

 

平地:余熱で火が通るだけじゃなくて、色もつくんですか?

 

堀内さん:そうなんです!ニンニクの周りについているサラダ油がまだ熱いので、取り出した後も火が入っていくんですよ!ほら、取り出した時よりも、もう少し色が濃くなってますよね。

 

平地:ほんとだ!

 

堀内さん:ニンニクの香りがついたオイルもフライパンから取り出します。今日は漉しますが、漉さなくても大丈夫ですよ。

 

カツオを焼くのは思った以上に短時間

堀内さん:では、カツオを焼く準備に入りましょう。フライパンをキッチンペーパーでふいたら、先ほど漉したニンニクオイルを小さじ1杯分ほどフライパンに入れます。

そして、ボウルに氷水を用意しておきます。焼いた後にそのまま置いておくと、さっきのニンニクのように余熱でどんどん火が入ってしまうので、すぐに冷やしたいんです。

そして、カツオから出ている水分をふきます。

 

平地:ふくのはなぜですか?

 

堀内さん:水分と一緒に臭みが出てきているんです。なのでしっかりとふいて、出てきた水分を取るといいですね。

 

平地:なるほど。ここは面倒臭くてもズボラでも、省いてはいけない工程ですね(笑)

 

堀内さん:いよいよ、焼いていきます。皮がある時は、まずは、強火でフライパンを熱々に熱していきます。少し煙が出るくらいしっかりと熱しましょう。皮付きのカツオの場合は、皮と身の間に臭みがあるので皮をよく焼いてあげないと臭みが出ますが、今日は皮がないのでササッと焼きます。でも、皮のあった面だけはこんがりとした色がつくまで焼きます。

 

平地:皮付きのカツオって売ってますか?

 

堀内さん:あまり見ないですが、皮付きの方が美味しいと言われています。焼き魚をイメージしてもらうとわかるかなぁと思うのですが、香ばしく焼けた皮の部分て美味しいですよね!

 

平地:ジュージューいい音がしますね。こんな風にフライパンで焼いてカツオのたたきができるなんて思いませんでした。

 

堀内さん:これくらいの焼き色になったらひっくり返しましょう。

 

そうしたら、後の2面は表面の色が変化する程度、ササッとで大丈夫です。時間にして、2、3秒くらい。

 

平地:本当に焼くのは一瞬ですね。

 

堀内さん:はい、もう終わりです。

 

平地:早い! 思ったより簡単ですね!

 

堀内さん:平地さん、耐熱の袋を開いてもらっていいですか? カツオを入れます。

 

平地:はいっ。でもこれ、袋が熱で溶けませんか?

 

堀内さん:レンジで使えるものなら大丈夫ですよ。

 

堀内さん:袋ごと氷水に入れてください。中に火が通らないように一気に冷やします。

 

平地:袋を使うんですね。

 

堀内さん:そうですね!そのままカツオを入れると水っぽくなるので、袋を使って氷水に直接触れないようにして冷やすといいですね。取り出したら、表面に油がついているのでササッとふきます。

 

平地:わあ、これはカツオのたたきだ! 簡単でびっくりです。

 

次回は5月2日(火)に公開予定です。いよいよ切って、タレ、薬味とともに盛り付けていく工程に入ります。実はたたきを切るのって、思いのほか難しいんです。コツをしっかりとお伝えしていきますので、お楽しみに。(つづく)

 

– Information –
STUDIO HOLIDAY/休日COLA

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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