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Food Future Session
2023.11.02. | 

[Vol.1] 抹茶ラテから始まった、Japanese Teaのムーブメント【抽出舎 小山 × Yuinchu 小野】

「Food Future Session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:takeの座談会。今回は、西荻窪の日本茶スタンド「Satén japanese tea」のオーナー茶リスタであり、株式会社抽出舎CEOの小山和裕(こやま・かずひろ)さんとYuinchuの小野正視の座談会です。今回のテーマは「『食』の世界のエンパワメント」。Vol.1では、「Satén japanese tea」の立ち上げからこだわりの抹茶ラテ、コロナ前のお店の様子などについてお聞きしました。

出会いは9年前。ケータリングの場でお茶を淹れていたのが小山さんだった

小野:小山さんとの出会いは2015年ごろでしたね。吉祥寺にあった日本茶とコーヒーのカフェ「UNI STAND」のオペレーションをすべて小山さんにお願いしたのが始まりです。

 

小山さん:その後、UNI STANDから独立して「Satén japanese tea」を立ち上げたのが2018年ですね。ちょうど、UNI STANDの移転話が持ち上がったタイミングでした。結局UNI STANDは移転せず、僕だけ出ちゃったという形になったんですけど(笑)

 

小野:僕は、Satén には最初から経営サポートという形で関わらせてもらいました。UNI STANDではフリーランス的に頑張ってくれていましたが、企業経営となるとまた違ってきますし、その頃僕たちもコーヒースタンド事業を始めていたのでそれと連結する形になると思ったんです。

 

小山さん:出会ってから9年、UNI STANDから8年。長い付き合いになりましたね。

 

小野:そうそう、出会いはUNI STANDの1年前でした。Mo:takeのケータリングの初案件の現場で!

 

小山さん:その時の僕はフリーでお茶を入れていてイベントなどに出店させていただいていました。その時、あるビルのオープンイベントでお茶を出すことになってお茶を出していたら、料理をケータリングしていたのがMo:takeさんだったんです。

 

小野:奇跡的な出会いですよね。

 

小山さん:そこで小野さんにお茶を飲んでいただいて(笑)

 

小野:そのお茶が、それまで飲んだことがないくらい美味しかったんです。大きな出会いでした。

 

二層になった抹茶ラテは、吉祥寺の UNI STAND から始まった

小野:UNI STANDは吉祥寺駅からも三鷹駅からも徒歩15分かかり、井の頭公園の前にあるという立地でした。その立地を考えたときに、コーヒースタンド一択で作るよりも、もう少し明確なトピックが欲しいなと思っていたんです。

そこで考えたのが、Coffee and Japanese Tea というコンセプト。コーヒーを丸っ切りゼロにはしないけれど、「Japanese Tea」を立たせてみたいと思いました。そしたら、見事にJapanese Teaが当たりましたね。

 

小山さん:そのころ、日本茶のスタンドや飲食店が少なかったんですよね。ミルクと抹茶が二層になったラテは今では当たり前にありますが、実は二層の抹茶ラテがここまでポピュラーになった元は、UNI STANDなんですよ。

 

小野:今でも覚えてますが、ミルクに合わせて抹茶を濃く出すというところにものすごくこだわって、商品開発から入りましたよね。

 

小山さん:二層の抹茶ラテは、砂糖やシロップを入れると比重が重くなって沈んでしまうので、甘みを加えるとできないんですよ。なので、抹茶本来の味と牛乳の味とを合わせたのが新しいところでした。

UNI STANDにいたのは約2年ですが、雑誌Hanakoの吉祥寺特集で取り上げていただいてからはほぼ毎月のようにメディアに出させていただいていましたね。コーヒースタンドが一般化してきて、「コーヒーの次は?」とみんなが探し始めていた。そこにうまく合致したんだと思います。

 

最高に美味しい抹茶ラテから、リーフの日本茶へ

小山さん:UNI STANDのお客さんで来ていたのが、Satén japanese teaを共同で立ち上げたバリスタの藤岡響さんでした。藤岡さんはバリスタの目線でお茶のことを見ていて、これからはバリスタがコーヒーだけではなく、違うトピックも経験として持っていた方がいいと考えていました。僕は逆に、バリスタさんや他のお店にどうやって日本茶を扱ってもらえればいいんだろう、どう普及したらいいんだろうと考えていたので、お互いの意向が合致したんです。

立ち上げの時に大事にしていたのが、日本茶の中ではポピュラーであった抹茶ラテへのこだわりです。とことんこだわって抹茶を選び、UNI STANDではこだわっていなかったミルクにもこだわり、最高に美味しい抹茶ラテをまず作りました。そこから煎茶など他のリーフのお茶へとお客様の興味を流していく方向性を考えていました。

 

小山さん:UNI STANDでもメディアに取り上げられていたところの派生と、トップのバリスタと日本茶専門の僕が組むということで、最初からさまざまなメディアに取り上げていただき、抹茶ラテがどんどん普及していきました。その中で作った抹茶ぷりんがまた、スイーツ界隈のインフルエンサーの人たちにハマり、2年目の時に本当にびっくりするくらいバズったんですよ。

実はUNI STANDの時から抹茶ぷりんを出していたんですが、プラマンジェという名前で出していたんです。当時は1日9個作っていたんですが、親しみやすくわかりやすい名前にしようと抹茶プリンにしたらバズって、ピークの時は1日60個以上作っては消える、というのを毎日繰り返していましたね。2年もすると、抹茶専門店と言われるような店になりました。

 

次回は11/7(火)に公開予定です。Satén japanese teaの3年目にやってきたコロナ禍で一時的に失ったものと、そこから見えてきたもの、新たに得たものについてお聞きします。
(つづく)

 

– Information –
株式会社抽出舎

Satén japanese tea
東京都杉並区松庵3-25-9
10:00~19:00
不定休(年末年始休業のみ)

Re:leaf Record

 

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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