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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.08.15. | 

[Vol.1]10周年を機にリブランディング。新たな“農”を届ける旅の始まり 株式会社ベジパング/ハマラノーエン 柳沢卓矢さん

2020年、OPEN NAKAMEGUROでのPOP UPイベントで大好評だった「もろこしシェイク」。そのときの主役、「八ケ岳生とうもろこし」を「HAMARA FARM」(当時)で生産していたのが、「株式会社ベジパング」の柳沢卓矢さんと折井祐介さんです。その後も価値の発信を重視し続けるベジパングは、2022年7月に「ハマラノーエン」へリブランディングし、2023年7月には、体感型農園 「ハマラハウス」をオープンしました。今回、お二人を代表して柳沢さん、2020年より共に活動してきたMo:takeの小野正視、坂本英文に、ここ3年間のベジパングの歩みとハマラノーエンについてインタビューします。

「八ヶ岳生とうもろこし」は順調。その一方で、ブランドの方向性に迷っていた

−−2015年に設立されたベジパングさん。Mo:take MAGAZINEに初登場していただいたのは2020年のOPEN NAKAMEGUROでのPOPUPイベントでした。改めて、ここ3年間の活動について教えていただけますか。

柳沢さん:OPEN NAKAMEGUROでPOPUPをさせていただいた2020年。おかげさまでイベントも好評をいただき、「八ヶ岳生とうもろこし」も順調だったのですが、その一方で、自分たちの方向性を模索していた頃でもありました。

「八ヶ岳生とうもろこし」は、2015年に日本ギフト大賞・長野賞を受賞させていただいて以来、いろんな需要にお応えできるように頑張っていたのですが、何年もやっているうちに、社会的な需要や、自分たちが「農業を新しくしよう」と思って立ち上げたブランドの「何がどう新しいのか」が見えなくなってきてしまって……。

私たちの地域は高原野菜がメインの出荷なので、稼ぎ時も年に数ヶ月しかありません。持続可能な農業はかなり難しくなってきました。生産量を増やすことばかりを考えて農業だけをやっていても未来がなかなか見えなくて、ブランドの方向性にいろいろな迷いが生じていました。

 

−−当時は、そんな葛藤を抱えていたのですね。Mo:takeの小野正視、坂本英文との出会いを振り返っていかがでしょうか。

柳沢さん:小野さんや坂本さんたちのチームとのご縁をいただき、みなさんとお話させていただく中で、「私たちの本質や強みを真剣に考えてくださるメンバーだな」と感動しました。

 

小野、坂本:それを聞いてこちらが感動してます。(笑)

 

柳沢さん:というのも、それまで、多くの方が、「おもしろそうだね」ぐらいでしか話を聞いてくれなかったのですが、お二人は農業に対して本当に興味を持ってくださり、私たちが何に疑問を持っていて、何に苦しんでいるのかというところに真剣に向き合ってくださったんです。そして、的確なフィードバックもくださった。信頼できるやりとりが重なり、「お二人にぜひとも一緒に走っていただきたい。本当に自分たちが今やりたい新しい農業の形を共に見出してほしい」と強く思ったのを覚えています。

 

2022年7月、「ハマラノーエン」へリブランディング。自分たちを新たに定義づける

−−2022年7月「HAMARA FARM」は「ハマラノーエン」へリブランディングされました。その経緯を教えてください。

柳沢さん:2022年に「HAMARA FARM」は10周年を迎えました。一時期は迷いもありましたが、先のような流れで、少しずつ自分たちの目指す農業が見えてきたので、「HAMARA FARM」から「ハマラノーエン」へリブランディングすることで、自分たちが新しくなった定義づけをしようと。そこから、どう新しくなったのかを示すために、農業だけではなくて体験や空間などの付加価値、つまり物質ではない部分でもお客さまにしっかり感動していただける農業をしようと考えたんです。

 

小野:補足すると、もともと「HAMARA FARM」は、長野にいながら東京でも通じるようなブランドだったのですが、それをもっとわかりやすい形で、長野でも東京でもわかりやすく通ずるようなブランドにしようと動いたのが「ハマラノーエン」へのリブランディングでした。それを一番ビジュアルアウトができたのがこの「ハマラハウス」だと思います。

 

−−「長野でも東京でも通じるようなかたちで」と思ったときに体験や空間にフォーカスするアイデアは、Yuinchuさんとのやり取りの中で出てきたのですか?

小野:表現方法の順序付けを僕が一緒にやったという感じです。柳沢くんも折井くんも、「おいしいとうもろこしを作る追求はもちろんやるし、自信もある」と。「でもそれを正しく伝えるには人の体感値が重要なんじゃないか」っていうのが二人からにじみ出てたんです。そこに僕らは気づいたので、じゃあ、どうやってどんな順番でそれを表現していくかという視点で体験や空間にフォーカスするアイデアを提案しました。

 

−−それから今に至るまで共に活動しているのですね。

柳沢さん:はい。お二人には、東京もしくは長野にも何度も来ていただきました。私たちは東京をフィールドに戦っていた部分が大きかったので、感覚的に都会的な部分を、長野でも表現ができていたという強みがありました。そこを残しながら、少しづつ新しい農業を整えていった結果が今の農園です。

 

2023年7月、「ハマラハウス」が完成。リブランディングのイメージをまるごと表現

 

−−「ハマラノーエン」へのリブランディングを一番ビジュアルアウトさせたものが「ハマラハウス」だとおっしゃっていました。

柳沢さん:そうですね。まず、根本的にはビニールハウスです。でも、そういうと「野菜を生産する建物なのかな?」と思いますよね。「ハマラハウス」はビニールハウスでありながら、野菜はいっさい育てていません。ここは、お客さまに、「このビニールハウスに入ってみたら何か楽しいことがあるんだろうな」って思わせる空間です。

 

−−来た人に「何かあるのかな」って思わせるしかけがある?

柳沢さん:大型のカウンターがあって、のれんがあって、壁面にはボードがあって、直売所だけでなくカフェも併設しています。ハウスの後方では、うちの社員が農作業をしているので、それも見学していただけます。いろいろな角度で〝農″を体験できる空間なんです。そういった意味で、「ハマラハウス」は、体験とか空間で喜んでいただくっていうことができる農業をしたいという僕らの思いをまるごと体現した場所なんです。

 

−−「こんなビニールハウス、初めて」という方ばかりなのでは?どうやって設計などを進めたのですか。

柳沢さん:車で20分ほどのところにあるリビルディングセンタージャパン(リビセン)さんとコラボさせていただき、実現しました。どこにもない建物で、ここにしかない空間を演出できる自信があります。

 

次回は8/17(木)に公開予定です。

「ハマラノーエン」独自の、ここにしかない農体験が味わえる「ハマラハウス」。次回は完成までの道のりと、「ハマラハウス」の楽しみ方について、たっぷり語っていただきます。

 

– Information –

『体感型農園 ハマラハウス』
所在地:長野県茅野市玉川11398
営業時間:7:00~12:00(7月・8月は無休)
9月から土・日・祝日のみ営業※収穫不良や天候による休みの場合を除く
アクセス:最寄駅JR中央本線・茅野駅より、車で約15分。諏訪南ICより車で約10分。
ハマラノーエン公式HP/フェイスブック/インスタグラム

 

ケータリングで「生とうもろこし」を体験する

ライター / 黒澤 真紀

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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