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意外と知らないローカルフード
2026.05.28. | 

【栃木】「餃子」じゃない? 栃木で今食べたい一皿。| 意外と知らないローカルフード

食の歴史や文化、そして土地の魅力がぎゅっと詰まった“地域の味”を再発見して楽しく紹介する「意外と知らないローカルフード」。このコーナーでは“誰もが知っているあのメニュー”ではなく、知る人ぞ知るローカルフードや、昔から変わらないその土地ならではのこだわりの逸品、時代を超えて今もなお愛される一皿、その「食」の背景にある物語をひも解きながら、その地域ならではの味とは何なのかをカジュアルにお届けします!

第25回となる今回は『栃木』。5月17日から18日にかけて、日光東照宮では春季例大祭が開催され、街は伝統行事の熱気に包まれました。この例大祭は、徳川家康公の神霊を駿府から日光へ改葬した故事を再現する、同社で最も盛大かつ重要なイベントです。

鎌倉時代の装束をまとった射手が疾走する馬上から3つの的を射抜く勇壮な「流鏑馬(やぶさめ)神事」や、1200人余りの武者行列「百物揃千人武者行列」が、当時の様子を現代に伝えます。例大祭の熱冷めやらぬ栃木で、全国的に有名なあのローカルフードとは別の、まさかの味を発見しました!

同じ点心でもこっちに注目!「足利しゅうまい」。

栃木のローカルフードといえば、誰もが思い浮かべるのが「宇都宮餃子」。宇都宮市内には300軒以上の専門店がひしめき合い、「餃子の街」を象徴する名物料理です。白菜などの野菜をたっぷり使い、肉やニンニクが控えめで、あっさりした甘みのある味わいが特徴です。焼き、水、揚げなど多彩な調理法で親しまれ、一皿数百円から気軽に食べ歩きや持ち帰りが楽しめる、全国的にもメジャーなフードです。

しかし、今回紹介するのは、同じ中華点心の定番メニューではありますが、一味違う逸品。宇都宮からおよそ60km離れた、足利市で長く愛されてきた「足利しゅうまい」です。足利しゅうまいは、一般的な“肉たっぷりのしゅうまい”とは少し違います。

最大の特徴は、玉ねぎを主役にした素朴な仕立てであること。店によって違いはありますが、こちらも宇都宮餃子と同様に肉をあまり使わず、玉ねぎと片栗粉を主な材料として作られた、どこか素朴なメニューです。蒸したものや揚げたものがあり、足利市内のスーパーや飲食店でも手軽に購入できることから、家庭や観光客にも人気です。

 

地元の味わい「辛口ソース」で食べるのが足利流。

足利しゅうまいは、戦後の食料不足の時代に、屋台料理として生まれたといわれています。当時の保存技術の低さから、なるべく長持ちできるように肉を使わず、玉ねぎと片栗粉だけで作られたのです。その素朴な味わいは、瞬く間に足利の街で暮らす人に広まっていきました。その後、年月を経てしゅうまいの皮で包まれるようになり、現在の姿に定着しました。

そして、足利しゅうまいに欠かせないのが、ご当地足利産の「辛口ソース」。これをたっぷりかけて味わうのが基本です。足利しゅうまいのユニークさは、醤油やお酢ではなく「ソース」で食べるという点にあります。背景には、足利市がかつて繊維産業で栄えた工業都市であったことが関係しているといわれています。忙しく働く人々にとって、手軽に作ることができ、すぐに食べられ、しかも満足感のある軽食は重要な存在でした。

足利産のソースは、さっと作ったしゅうまいでも、手早く味を決められる調味料としてうってつけでした。揚げ物や粉ものなどと同様に、しゅうまいにも自然と使われるようになったと考えられています。足利しゅうまいは、特別な料理というよりも「日常の中で合理的に進化した味」なのです。

 

超メジャーとは違う「豊かな」食文化に触れる。

さて、足利しゅうまいのお味ですが、ひと口食べると、ふわっとした食感とともに玉ねぎの甘みが口に広がります。この玉ねぎの甘みに、ソースの程よい辛さがよく合い、シンプルでありながらも食べる手が止まらない、クセになる味わいです。肉が入っていないので脂っこさや強い主張はないけれども、やさしい味わいにほどよい輪郭があるのです。どこか懐かしい味であり、ついたくさん食べてしまいます。

超メジャーな「餃子の宇都宮」から少しだけ視線を外してみると、足利の個性的な名物に出会えます。華やかな「あしかがフラワーパーク」はもちろん、実は歴史ある街並みが残り、散策するのも楽しい足利。そこで味わう「足利しゅうまい」の素朴で温かみのある味わいは、地域の暮らしや文化を感じさせる存在として、旅の思い出をより豊かなものにしてくれるに違いありません。

 

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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