SERIES
コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2023.08.31. | 

[Vol.1]宿河原ってどんなところ?街の魅力をフェスで伝える

真夏らしい青空の広がる7月30日、JR南武線の宿河原駅近辺で、地域のイベント「ウラシュクフェス」が開催されました。イベントを立ち上げたのは、市でも町内会でもなく、宿河原で商いをする若きプレイヤーたち。「宿河原って住みやすいけれど何もないよね」という地元の人たちの声を聞き、「何もなくないよ!」「こんなに面白いよ!」と伝えるためにつくったフェスの、当日の様子をお届けします。

ウラシュクには体を動かす場所がある

ウラシュクフェスのコンセプトは「みんなの知らなかった宿河原の魅力をごちゃまぜにする」。通りは4つのブロックに分かれていて、それぞれ「energy」「eating」「relax」「creative」をテーマとしたプログラムや物品販売を楽しむことができます。

「energy」がテーマのONE_THROWエリアは、バスケットボールが楽しめるコーヒースタンド「ONE_THROW」が会場になっています。プロバスケット選手とのone on one体験など、いかにもONE_THROWらしいプログラムのほか、ダンス体験、ヨガ体験など、体を動かすプログラムが集まっています。

グローブをはめてボクサーさんをパンチできる「古橋殴られ屋」。一瞬、「え、いいの?」と戸惑ってしまいますが、グローブをはめてボクサーさんを追いかけているうちに、普段は隠れている闘志がみなぎってきそうです。

縁日タイムは子どもたちで大賑わい。元気いっぱいの子どもたちには、暑さなんて関係ありません!大人たちが見守るなか歓声が響きます。テーマの「energy」どおり、子どもから大人まで、自分のエネルギーを思いっきり発散している姿が見られました。

「おいしい」と「気持ちいい」は外せない

南武線の線路を渡ってすぐのeightエリアは「eating」がテーマ。宿河原のカフェ「毬ゃ」さんによるヘルシーなお弁当や、以前Mo:takeマガジンでもご紹介したDAHON CURRYさんのカレーが楽しめるイートインスペースになっています。持ち帰りもできるので、フェスを楽しんでからお弁当を買って帰る人たちも。

会場となったのは美容室のeightさん。cafeスペースを併設しており、お店主催のイベントを開催するなど、今、宿河原の街を盛り上げている立役者のお一人です。

eightエリアから更に進むと見えてきたのがMOTOYAOYAエリア。2台のキッチンカーが目を引きます。ここは「relax」がテーマ。小麦・卵・乳製品・お砂糖不使用のクッキー屋さんfor happyさんでは焼き菓子や無添加の梅ジュースなどが、フードトラックレストランのALOHA BABYさんではハワイアンなランチボックスなどが買えます。

さらに、salon de remiさんのヘッドスパや、発酵温浴かいちさんによる足湯もあって、これはもう立派なリラクゼーションスポット!お疲れ気味の大人にはたまりません。取材中も自転車に乗った女性が通りかかり、「え、ここでやれるんですか?」「いまから大丈夫ですか?」と、あっという間にブースに吸い込まれていきました……。

ウラシュク発の小さなクリエティブ

MOTOYAOYAエリアから通りを眺めると、ご家族連れやお友達同士があちこちのブースを覗きながらのんびりと歩いている光景が目に入ります。まるでお祭りの縁日のよう。

そんなゆるやかな人の流れに誘われるように、4つめのISHIBASHIエリアへ。creativeがテーマのエリアで、ハンドクラフトのワークショップが行われています。

ONE_THROW SCHOOLでは、ペットボトルを再利用したブレスレットを彩色するワークショップが行われていました。

オリジナルTシャツ屋さんのWill×Willさんは、Tシャツに好きな色で「ウラシュク」のかっこいいロゴをつけられるシルクスクリーン体験ができます。

身近な素材に手を加えることで、自分だけのオリジナルアイテムをつくる楽しさを、訪れる人たちは思い思いに味わっているようでした。

 

「何もない」を払拭したかった

ウラシュクフェス発起人の、ONE_THROWの東海林さんにお話を伺いました。

「ONE_THROWを始めてもうすぐ2年になります。地域の方ともだいぶ親しくお話させていただくようになってきたんですが、その中で、『なんでここでやってるの?宿河原には何もないのに』と、聞かれることがとても多かったんです。実はこのエリアには個性的なお店をやっている同業者さんも多いのですが、それが案外地元のみなさんには知られていない。だったらみんなで集まって、知ってもらう機会をつくりたい、と思ったのがフェス開催のきっかけです。地域の皆さんにも『そういうことなら、うちの場所使っていいよ』などとご協力いただいて、スペースを貸していただくなどして実現できました。

告知の段階から楽しみにしていてくれた人も多かったんですよ。今日実際に来てもらって、みんな楽しんでくれているみたいでほんとに嬉しいですね」

お話を伺っている間にも、通りすがる何人もの人たちから声をかけられ、その都度にこやかに応じていた東海林さん。東海林さんが宿河原に来てから感じていた「ここにあるもの」は、フェスを通じて地域の人たちにしっかり届いていたようです。

 

次回は9/5(火)に公開予定です。
多くのプレイヤーが集まり、一日中にぎわった「ウラシュクフェス」。東海林さんにとっても初めての取り組みは、どのように進んでいったのでしょうか。次回はフェスの舞台裏を詳しくお伝えします。

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。

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