2020.11.24. | 

[Vol.2]レシピ本からオンラインへ。さらに広がる美味しい笑顔ー料理家・フードコーディネーターSHIORI

結婚という人生の転機で、世界各国に料理の勉強をしに行くようになり、その時の経験が今の自分を支えている、とVol.1で語ってくれた料理家・フードコーディネーターSHIORIさん。ちょうど1年前の2019年9月に、第一子となる長男を出産しました。女性にとって結婚に次ぐ一大イベント、妊娠・出産を経てどんな変化があったのか、お聞きしました。

[Vol.1]はこちら

美味しいの先に家族の健康を
オーガニック食品の賢い取り入れ方

SHIORIさん:出産してから、というよりも、子どもを妊娠した時から、体にいいものを食べていきたい、と今までより強く思うようになりましたね。そして、これからは美味しくて、家族の健康を支えられる料理を作っていきたい、と。

そのための一つがオーガニック食品を取り入れることです。“オーガニック=美味しい”と必ずしも言い切れるわけではありませんが、健康のため、環境のため、どちらにもより良い未来をと考えると、積極的に取り入れたいと思っています。

日本は欧米に比べるとオーガニック食品が高いですよね。でもそれは、買い支える人がいないから、というのも一つの要因だと思うんです。長く続けてほしいから買い続けて生産者さんを応援する。それは、我々消費者にできる大切なアクションだと思います。

 

SHIORIさんもオーガニック食品の価格についてコメントしているように、オーガニックのものを買いたいという思いはあっても価格を考えるとなかなか手が出せない、という方は少なくないと思います。コストとどう折り合いをつけるか、悩ましいところです。

 

SHIORIさん:食卓を一度に全部オーガニックにすると食費がグンと上がってしまいますよね。私自身もすべてオーガニックにしているわけではありません。買える時には積極的に取り入れる、というスタンスです。

中でも、まずは旬のものを取り入れることがおすすめです。オーガニックでも、旬のものは比較的リーズナブルですから、自然本来の営みに寄り添ったものを食べ、季節の移ろいを楽しめたらいいですよね。子どもがそのまま食べられるフルーツなんかもいいですよね。

それから、調味料やお米など日常的に身体に入れるものを変えるのもおすすめです。瓶1本の値段が数百円上がりますが、調味料は少しずつしか使わないので1回あたりの使用量で計算すると、それほど大きな負担にはならないと思うんです。

その上、こだわりの素材で作られた調味料は大量生産ではなく、昔ながらの製法で作られているものが多いですよね、少量でも味わいが深い傾向にあるので、使用量が抑えられたりもします。

1回、真心を込めて作ることで
作る喜びを取り戻す

そしてSHIORIさんは、「旬の野菜、季節のものを取り入れるなら、ぜひ献立のうち1品は、素材の味を生かした料理にしてみて」と提案します。素材の味を生かした料理とは、切るだけ、蒸すだけ、焼くだけ、のようなシンプルな料理のことです。

 

SHIORIさん:皆さん本当に忙しいから、一汁三菜とか言われるとすごくハードだと思うんですよね。でも、野菜を切るだけ、焼くだけのシンプル料理なら、手軽に、野菜本来の美味しさを味わえます。それに、今までどれだけ調味料に頼ってどれだけ味つけをしてきたか、ということにも気づくきっかけになると思います。

 

日々、忙しい中で家族の食事を作っている人たちにとっては、何より嬉しい言葉ではないでしょうか。そして、日々の食事作りが“義務”になってしまっている人たちにぜひ読んでほしいSHIORIさんからのメッセージがもう一つあります。

 

SHIORIさん:忙しいと、既製品に頼りたくなる気持ちもすごくわかります。でも既製品の味って、なんとなく想像できてしまうので、食べ手がノーリアクションになりがちです。それがまた作り手のやる気を削いでしまう、という寂しい循環になりがちです。それはお互いに辛いですよね。

その連鎖を立て直すためにも、手の込んだ料理でなくてもいいので、家族の好きなものを心を込めて作ってみてください。そして「美味しい! これまた作って!」と言われたら、自己肯定感がブチ上がりますよ!(笑)

それが積み重なると、「いかに楽をしようか」だったものが、「せっかくなら喜んでもらえるものを作りたい」に変わり、キッチンに立つのが楽しくなる。私のオンラインレッスンを受けてくれている生徒さんの間でもそんなマインドチェンジがあちこちで起こっていて、料理の力って偉大だな、と私もあらためて痛感しています。

発信できる立場にあるからこそ
自分の実践や考えを伝えたい

さて、母になったSHIORIさんがもう一つ気にかけているのは、子どもたちが未来を過ごす地球の環境問題。それに目を向けるきっかけとなったのが、コロナによる自粛期間中の生活だといいます。

 

SHIORIさん:自粛期間中、私たち夫婦と妹、そして子どもも一緒に過ごしていたんですが、大人3人が3食家でご飯を食べると、家庭のゴミがこんなにも出るんだ!というのが大きな衝撃だったんです。魚も肉も、お豆腐もフルーツも、全部トレーやプラスチックの容器に入っていて、プラゴミがこんなに多いのか!と。

あらためて、これは本気で変えていかないといけないな、と思ったので、まずはペットボトルを買うことをやめ、今まで以上に水筒を持参するようになりました。あと、カフェなどでコールドドリンクを買うと数分後にはそれがプラゴミになってしまうので、店内用のカップを使うようにしたり、紙のカップで飲めるホットドリンクを頼んだりするようになりました。

人によっては面倒臭そうとか、生きづらそう、と感じる人もいると思います。でも私は、自己嫌悪を抱きながら飲む方が嫌なんです。自分が実践していることとか、私はこう考えているよ、ということを言葉にして発信することで、みんなが考えてくれるきっかけになればいいなと思っています。

 

SHIORIさんは、プラゴミを減らすために商店街の八百屋さんや小売店を利用することもできることの一つだと言います。影響力を持つ人の発信は、大きな力になりますし、SHIORIさんの考えを聞きたい、と思っている人も多いと思うので、ぜひ、積極的な発信を続けてほしいと思います。

Vol.3となる次回は12/10(木)に公開予定です。コロナを経て、料理教室などSHIORIさんを巡る環境も変わりつつあります。これからの未来にどんなビジョンを描いているのか、じっくりとお聞きします。(つづく)

– Information –
WEB
http://atelier-shiori.com/
https://online.atelier-shiori.com/

Instagram
https://www.instagram.com/shiorikaregohan/

平地 紘子

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身