SERIES
コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2022.09.22. | 

[Vol.4]コーヒースタンドを機能として、場や地域を活性化する【VILLAGE INC. 茶屋尚輝×Yuinchu 小野】

グランピング施設「DOAI VILLAGE(ドアイ ヴィレッジ)」を運営する株式会社VILLAGE INC.(ヴィレッジインク)のマネージャー、茶屋尚輝(ちゃや・なおき)さんと、株式会社Yuinchuの代表・小野正視との対談。最終回は、コーヒースタンドを機能とした場づくりや地域の活性化について、そして、これからの”野望”についても語っていただきます。

1杯のコーヒーからいかに関係値を作り、広げていくか

ーーYuinchuが経営していた池尻大橋のコーヒースタンド JAM STAND COFFEEに茶屋さんが立っていた時、場がどんどん活性化していったということですが、その時の経験が今につながっていることはありますか?

 

茶屋さん:あの経験すべてが今に生きていると思っています。みなかみでは、駅茶mogura(エキッサモグラ)の他にももう一つ「さなざわ㞢テラス」という拠点にカフェスペースを入れているんですが、スタッフにも伝えているのはコーヒー1杯でどれだけ儲けられるかということではありません。その1杯を魅力的に提供することで関係値を作ること、そしてそこから広がっていくこと。なんていうか空間全体を作るみたいな実感値は、JAM STAND COFFEEで培ったものですね。

 

小野:もう最高すぎる言葉です。先日たまたま、茶屋さんの後を引き継いでスタンドに立っていた三宅恭平くんと話していたら、「あんなことはなかなかさせてもらえない。小野さんたち相当変わってますよ(笑)」と言っていたんですよね。当時僕も会社が大変な時期だったのでなかなか店舗運営には関われなかったけれど、そう言われるとやっぱり嬉しかったですね。

茶屋さんにしても三宅くんにしても、フィールドを渡すだけで生きた場にできるって才能だと思うんですよね。三宅くんは映画を観るという文化を広げたかったし、茶屋さんは東京を伊豆のキャンプ場の法人営業の窓口、リクルーティングの窓口にしたいという目的があった。ただコーヒースタンドを運営するという目的以外の意義や目的を持っていたことが良かったんだと思います。僕らと共通目的はあるけれど自分たちの目的意識が強いから、僕らに依存していなかったのも良かったですよね。

 

茶屋さん:JAM STAND COFFEEの時からのつながりで、三宅くんは今、西伊豆のキャンプ場で『MUJINTO cinema CAMP』という映画祭のようなものを開催しているんですよ。

 

小野:もうこんな嬉しいことはないですよね。まさしくジャムセッションですよね。

 

駅茶moguraは、コーヒースタンドが入って地域が活性化していく理想の形

小野:今、土合駅の「駅茶mogura(エキッサモグラ)」で僕たちがやっていることはオリジナルブレンドのコーヒーを卸すというすごくミニマムなことなんだけれど、そこで起きていること、やっていることは、僕が理想としていることなんです。

さっき茶屋さんが、コーヒースタンドという機能を入れることで空間とか場が楽しいものになると言ったことが、まさにHYPHEN TOKYOなんですよね。場がイキイキとしてくるためにコーヒースタンドがあるべきだと思っていて、地域活性化を目指している駅茶moguraがやっていることは、まさに僕が目指していることでもあります。

 

茶屋さん:駅茶moguraに来てくれる地元の方と話している中で、「DOAI VILLAGEや駅茶moguraができてから、明らかに街の空気感が変わった」という声を聞くとやっぱり嬉しいですね。たまたまタイミングが良かっただけで、僕たちがスタープレーヤーとして何かを引っ張ったという話ではないと思うのですが、ちょうどいい感じで自然に地域の皆さんに馴染んでいけた感じですね。

2021年から数ヶ月に一度、DOAI VILLAGEを地域の人にも開放して朝市を開くようになりました。朝の3,4時間だけ地元の飲食店の方たちにお店を出してもらうのですが、こんなに田舎の端っこの駅に400人とか来られるんですよ。

ヴィレッジは宿泊客のためのクローズな場所だけれども、朝の数時間だけでもオープンにして、これからもっと、地元の人も一緒にみんなで面白く使える場所にして盛り上がっていけたらいいなと思っています。

地元の食材をできるだけ使わせてもらえるようにしたり、使わせてもらった食材を僕らの発信力を活かしてSNSで発信したりと、ギブアンドテイクで地元にお返しできるようにやっていますが、今やれていることをスピードをあげてもっと回せるようにしていきたいですね。

 

「ジャムスタ復活、いいですね!」「じゃあ、店長お願いしますね」

小野:施設の一角にコーヒースタンドを入れることで回遊性を上げる仕掛けは都市だと増えているけれど、僕はローカルにこそあった方がいいと思っているんです。その意味で、地元の人にも、鉄道ファンにも、キャンプ目的の人にも目がいっている茶屋さんはすごいなあと思うんですよね。

たまには完全に合流して、コーヒースタンドを機能として活用していける場を共同プロデユースで作っていきたいですよね。その時には、経営的な難しいところは僕が全部やるから、クリエイティブな部分は僕が大好きな茶屋さんのセンスを生かして完全にお任せしたいな。

10年以内、いやもっと早く5年以内ぐらいにやりたいですね。

 

茶屋さん:ありがたい話ですね。やりましょう!

 

小野:場所を変えてJAM STAND COFFEEを復活させるとか、どうですかね。

 

茶屋さん:いいですね。

 

小野:じゃあ、店長お願いしますね(笑)

 

茶屋さん:考えておきます(笑) 小野さんと坂本さんには、もうずっと変わらず仲良くいさせてもらっているので。

 

小野:お互い立場が変わってもそうだったし、これからも変わらずにいたいですよね。

 

茶屋さん:はい、お願いします!!

 

DOAI VILLAGE

WEB/Instagram

株式会社VILLAGE INC.

WEB/Instagram

 

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

Mo:take MAGAZINE > コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏 > [Vol.4]コーヒースタンドを機能として、場や地域を活性化する【VILLAGE INC. 茶屋尚輝×Yuinchu 小野】