SERIES
Food Future Session
2023.03.14. | 

[Vol.4]プレイヤーとして、サポーターとして。食で“生きている場”をつくる【「Mo:take」ヘッドシェフ 坂本英文 ×「Yuinchu」代表 小野正視】

「Food Future Session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:takeの座談会。今回は、Mo:takeの1年間の活動を振り返るスペシャル企画です。

スモールオフィスの日常を支えるカフェ、旅という非日常にふさわしい食体験、みんなで一緒に食べることの価値を最大化するケータリング。2022年のMo:takeは、さまざまなチャレンジをしてきました。チャレンジを経てたどりついた現在地について、小野と坂本が語ります。インタビュアーは界外亜由美(かいげあゆみ)さんです。

一度止めたからこそ、「なぜやるのか」を根底から見つめ直す

−−ここまで2022年の印象的な3つの取り組みについてお話しいただきました。お話を聞いていて感じたのは、「単なる食ではなく、食の体験を提供したい」ということをお2人は以前から言ってきたと思うのですが、それがお2人の中でもさらに明確になり、「こういうことをやりたい会社なんだ」という周囲の認知も進んできたんじゃないでしょうか。

小野:そうですね。コロナでケータリングを大幅に縮小したときに、経営者として相当腹をくくって縮小したんです。それを改めて立ち上げ直すというのは、相当なエネルギーが必要です。自分たちは何をする会社なのか、Mo:takeの立ち位置はどこにあるのか、ということを改めて見つめました。

 

坂本:その上で、僕らが提供しているのは食の体験なんだ、というのはよりはっきりしましたね。SWITCH STAND ODAIBAの立ち上げでは、ケータリングをベースにしつつ、新しいものを出し切りました。あれと同じで、僕らが提供するケータリングは、単なるケータリングではない。

 

小野:Yuinchuは場を作る会社です。空間という大きな軸があって、そこにそれぞれの構成要素があります。たとえばレンタルスペースならスペースを提供することを、カフェだったらお客さんが来たくなる仕掛けが、場を作る構成要素になっている。どちらもベースにあったのは「(お客さんの方から)来てね」なんですけど、Mo:takeは、「(僕たちが)行くね」なんです。あなたの場に合うものを持っていくね。と。「Mo:take(モッテイク)」の原点に戻ったんですね。

 

たったひとりの30分のために

小野:2022年に取り組んできた、カフェ、宿泊、ケータリングの再立ち上げという3つの流れを振り返ってみて、ひとりの人が過ごす時間に対して食で寄り添いたいという気持ちがより強くなった1年だったんだと思いました。僕の言う食体験とは、豊かな時間を作ることなんだな、と改めて感じましたね。

ビジネスを度外視すれば、たった1人のために時間をかけて提供し、めちゃくちゃおいしいとか、健康的になれるとか、目で見ても楽しいとか、本当はそういうこともやれるようにしたいんですよね。

 

−−小野さんのお話を聞いていると、根っからサービスをしたい人なんだなと感じます。サービスをしたい人(小野)と形を作る人(坂本)が一緒に始めた会社だからこの形になったんでしょうね。

小野:そうですね。だから場を作る事業なんですよね。場を作って、その中で豊かな時間を過ごしてほしい。そのための構成要素として「食」があるんだ、という観点は、今後もずらしてはいけないと思っています。2022年は、そこがものすごく明確になった一年でした。

 

「Yuinchuさんにお願いしたい」の奥にあるもの

−−場を使いたい、食を頼みたい人の奥にある思いをずっと掘り起こしてきたんでしょうね。その結果、単なるレンタルスペースやケータリングの会社じゃないという周囲の認知が進んできて、「これは何といって頼んだらいいかわからないけど、Mo:takeさんならなんとかしてくれそうだ」といった依頼が増えてきたんじゃないでしょうか。

小野:たしかに。ありがたいことに、やりたいことはあるけど方法論がまったく決まっていない、という状態でご依頼いただくケースが増えていると、去年は強く感じましたね。

Yuinchuのサービスは「あらゆる場に紐づいた、食に関する体験を豊かにする」というぐらいの言い方が合っているのかもしれません。再び立ち上げたケータリングも、場にかなりフォーカスしたコンテンツになっています。僕らがこれまで考えてきたこととコンテンツが、すごく繋がってきています。

 

坂本:シンプルに言うと、食を使って価値ある場を作りに行く、ということだと思うんですよね。場を、生きている場にしたい。

 

小野:「生きている場」っていいですね。コミュニティづくりをしている人たちが飲食が欠かせないと言うのも、場を活性化する必要性から来ているのかもしれません。飲食業の経験のない彼らがそれを全て担うのは負荷が高いから、僕たちが全力でサポートする。僕たちにとって、プレイヤーでもサポーターでもモチベーションは変わらないですね。面白い体験があって、そこで得た知見を次の体験に生かす。今のMo:takeは、そこがものすごくスピードアップしていると感じています。

 

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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