一番いいお酒を選びたいから、お客様と会話をする
−−普段の営業では、お酒を先に決めて食事を合わせて出すのか、食事を先に決めてお酒を合わせるのか、どちらが多いですか?
小原さん:食事が多いです。僕がそもそも前菜としておつまみのプレートを出すからなんですけどね。
−−前菜の盛り合わせはどの方も一緒だけれども、どのお酒を出すかは好みに合わせて。
小原さん:はい、必ずヒアリングをして出しますね。じゃないと、日本酒の辛口と言った時にでも何を辛口と言っているのかなど、人によって違いますからね。
−−出したお酒がまだ残っている時には、そのお酒に合う料理を勧めたりしますか?
小原さん:それも人によって全く違います。全部コミュニケーションですね。僕はお酒はコミュニケーションツールだと思っているので。このお店のメニューって、信じられないぐらいにこんなにシンプルなんですよ。
−−お店にはすごくたくさんの種類のお酒があるのに!
小原さん:書き切っちゃうと、コミュニケーションが生まれないんですよね。これだと必ずお客さんから「何がありますか?」と聞かれますから。
「好きな銘柄とかありますか?」と聞いて、銘柄で答える人は絶対に詳しい人ですし、よくわからないけど甘いのが好き、という方には「甘さもありつつ、シャープな男性みたいな感じはどうですか?」とか。書かないことによっての利点がすごく多いんですよね。
−−しかも、お店に置いてあるお酒が刻々と変わっていくからメニューは作れないですね。
小原さん:お客さんとお話をするためにやっているというか、すごく一番いいお酒を選びたいから話をする、という感じですね。
秋のモンブランと、国産ウイスキーの絶妙な組み合わせ
−−今、何か食べたいなあと言ったらどんなものを出してくれますか?
小原さん:秋なので、こんな肴はいかがですか?
−−モンブランどら焼き! 意表を突かれました!
小原さん:これに、秩父蒸留所の「イチローズモルト」の水割りを合わせます。
−−お酒飲みながらスイーツなんて、女性でお酒が好き、甘いもの大好きな人にとっては、超幸せな組み合わせですね。合わせるのはウイスキーですね。
小原さん:モンブランってまったり柔らかじゃないですか。であればお酒の質感もまったり柔らかで出してあげたいし、水割りで出しているのは、ウイスキーの度数は高いので、ロックで出すとウイスキーが勝ってしまうんですよね。なので調和するように極力薄めに作って、香りを楽しんでもらえるように。
ウイスキーってすごく香りが強いものも多いんですけど、イチローズモルトは日本のクラフトウイスキーの代表で柔らか、優しいタイプなので、おそらくモンブランと合うだろうなと思います。
−−ああ、本当にすごく薄めですね。
小原さん:そしてモンブラン、美味しい(笑) 甘すぎず。そして水割りの薄さがちょうどよくて、スイーツと合わせても全然違和感がないですね。
−−お腹が満たされた後に、スイーツ食べたい、でももうちょっと飲みたいな、みたいなそんな時に良さそうですね。
小原さん:お湯割りでも、ちょっと寒くなった時とかにはいいですよね。
−−コース料理の最後、スイーツの時に暖かいものってやっぱりいいですよね。
斬新! 焼酎×キャラメルラテの期待以上の美味しさに興奮
小原さん:さあ、これはバスクチーズケーキです。寒い時期になってくると、ねっとり甘いやつが食べたくなりますよね。
そしてこれに、スタバのキャラメルラテに麦焼酎「佐藤」を組み合わせました。佐藤が入ってるかわからない程度の加減ですけどね。
元々は、青かげというお酒を作っている宮崎の柳田酒造さんのお酒をキャラメルマキアートに加えると美味しいよと教えてもらったんですよ。
−−美味しい! 焼酎、合うんですねー。
小原さん:香ばしいですし、なんの違和感もなく調和しますよね。
−−カルアミルクっぽい!
小原さん:カルアミルクの和酒バージョンみたいな感じだと思います。
−−スタバで飲みたいかも(笑) 甘ったるすぎないのは焼酎が入ってるからなんですね。コーヒーにウイスキーやブランデーはわかりますけど、焼酎って初めてです。
小原さん:バスクチーズケーキには、黒胡椒をかけて食べてください。
ドリンクのキャラメルラテも甘いので、黒胡椒でスパイシーさを加えて、ドリンクの甘さも合わせるみたいな。なので、黒胡椒を食べるくらいのつもりで結構かけていいですよ。
−−いい組み合わせですね! めちゃくちゃ合う。
小原さん:デザートの焼酎を合わせる時の考え方としては、米焼酎を牛乳として考えて、麦焼酎をコーヒー、いも焼酎を紅茶として考えると合わせやすいです。
−−覚えておきます!
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地のものバル MUJO