“日本一のモグラ駅”にオープンしたグランピング施設
ーー土合という地名に聞き馴染みがない方も少なくないと思うので、まずは土合駅について教えて下さい。
茶屋さん:新潟県との県境にあり、上下線合わせて1日に10本程度しか電車が通らない無人駅です。下りホームが地下深いトンネルの中にあって、地上にある駅舎から10分ほどかけて486段の階段を降りないとホームにたどり着けないので、“日本一のモグラ駅”として、鉄道ファンには有名です。
赤いとんがり屋根の駅舎自体が観光スポットになっていますし、谷川岳や利根川、そして温泉もあって通年で楽しめる場所です。東京からも上越新幹線の越後湯沢駅でJR上越線に乗り換えて4駅、もしくは、上越新幹線の上毛高原駅から車で約30分なので、思った以上にアクセスもいいですよ。
ーー2021年春にオープンしたグランピング施設「DOAI VILLAGE」は、その土合駅のすぐ隣にあるんですよね?
茶屋さん:はい、駅直結の敷地内にあります。冬は温かく夏は涼しく滞在することができる「インスタントハウス」と呼ばれる部屋が6棟と、春夏秋限定のテント2棟が、中央広場から放射状に伸びるウッドデッキの上に点在しています。BBQやホットサンドの朝食なども用意されているので、アウトドア初心者の方でも気軽に大自然を楽しめる場所ですね。
「無理でしょ。正気ですか?」と言われたけれど
ーー駅直結、しかも公共交通機関だけで目の前までいけるグランピング施設はとても便利ですね。どんなきっかけで土合駅にグランピング施設を作ったのでしょうか。
茶屋さん:JR東日本さんが抱えている、無人駅の活用という課題解決から始まったプロジェクトです。今、JR東日本が管轄する駅の4割ほどが無人駅、もしくは廃駅になっているそうです。電車の乗降人数は少ないけれど、駅の維持管理には費用がかかるので、VILLAGE INC.ならではのスタイルでの無人駅活用案を提案させていただきました。
ーー私も新潟出身なのでわかりますが、冬のみなかみは結構雪深いですよね。
茶屋さん:はい、この冬は積雪が4メートルを超えました(笑) なので、プロジェクトの対象に数ある無人駅の中から土合駅を選んだ時、JRさんからも「無理でしょう」と言われましたし、地元の方にも「いやいや、無理でしょう。正気ですか」と(笑) なのでいきなり本格オープンするのではなく、実験的にひと冬営業してみることにしたんです。寒い環境下でも使えるインスタントハウスの話もちょうどその頃あったので、テストも兼ねて。
結果的にはその冬が記録的に雪の少ない季節で全然雪が降らず、あまり実験にならなかったんですけどね(笑) とはいえ、ちょうど新型コロナウイルスが広がり始めた時期にもかかわらず、1ヶ月半の営業中に8割ほどの稼働率を達成することができたので、本格的にオープンする運びとなりました。
ーー積雪の中での実験はできなかったということですが、本格的な雪シーズンは大丈夫でしたか?
茶屋さん:雪が少なかった昨年とは逆に、今年はこの10年の中で一番ひどい雪に見舞われました。雪を掻いても掻いても翌朝にはまた積もっていますし、雪の重みで壊れてしまったウッドデッキもありましたが、なんとか今も無事に営業できています。
多彩なアクティビティでみなかみの大自然を満喫!
ーーそんな冬にいらしたお客さまたちの楽しみ方は、スキーですか?
茶屋さん:スキーの方もいらっしゃいますが、インスタグラムにあげている雪の写真を見て、雪の中に泊まってみたいと来られる方が多いですね。雪深い中、テントのような施設の中で泊まれる経験ってなかなかできないですし、「お子様に雪を見せたい」といらっしゃる方もいますね。雪の中で焚き火をしたりサウナに入ったりと、静かにゆっくり過ごしに来られる印象です。
夏は谷川岳に登ったり、ラフティングやカヌー、SUPなどのアクティビティを楽しむ方が多いですね。どの季節でも大自然を満喫してもらえるようにと、シーズンごとのアクティビティをセットにしたプランも人気です。
ーー今、茶屋さん自身もみなかみで生活されていますが、実際に住んでみて住み心地はいかがですか?
茶屋さん:都内に住んでいた時から、夏はラフティング、冬はスノーボードをするためにみなかみに来ていたんです。都内からもアクセスがいいのに豊かな自然があるので、いつか住みたいな、という願望を抱いていました。願いが叶って住んでいるわけですが、とても快適です!
次回は9/15(木)に公開予定です。茶屋さんがなぜキャンプ場の運営をやろうと思ったのか、そして、VILLAGE INC.が運営している他の施設の魅力についてもお聞きします。(つづく)
– Information –
株式会社VILLAGE INC.