こんにちは。とっても暑かった夏が、もうすぐ終わりを迎えようとしています。9月になっても陽は照り、台風が頻発し、落ち着かない気候が続いていますね(近年はそれが当たり前になっていますが)。第一回目のコラムでは、カフェ「SWITCH KOKUBUNJI」(以下SWITCH)と国分寺の街の紹介をしました。今後はお店での日々の出来事について書いていけたらと思っています。
近所のスーパーを覗いてみると、にんじんやトマトなど、どの季節でも買える野菜がたくさんありますよね。季節が変わるごとに産地を変えることで、いつでも手に入る仕組みになっています。私自身もそれが当たり前だと思っていましたが、SWITCHを開店し、国分寺のお野菜「こくベジ」だけでお料理を提供するようになってから、いろんなことに気がつくようになりました。
移り変わる季節の中で育てられた旬野菜は、その野菜にとって最も適した季節に育った元気なお野菜ですから、栄養価が高いんです。当然、食べた人も元気になります。ごく自然なことですよね。オープンから1年経った今、これをSWITCHの当たり前にしたいと強く思っています。
今回は、そんな想いがうまれたこの夏のエピソードをお届けします。
5月4日の昼過ぎ、西東京に雹(ひょう/豆粒くらいの氷の塊)が降りました。GWの不安定な天候を、みなさんも覚えているのではないでしょうか。こくベジの発注リストからも雹の被害が伝わってきました。SWITCHでは、その時に食べられる野菜だけでお料理を提供しているので、自然環境の変化を強く感じます。追い打ちをかけるように、6月末から7月は日照不足が続きました。こくベジ便から納品される曲がったきゅうり、不揃いのトマトなど、農家さんの苦労を思うと胸が痛むこともしばしば。
それからも肌寒い日々を過ごしたかと思えば、急に猛暑がやってくるなど、不安定な温度変化が続いた夏でした。こういった環境の変化によって、畑の野菜に害虫がつきやすくなったり、日除けが必要になったりします。些細な天気の変化によって、野菜の生育が左右されてしまうのです。こういったことも、国分寺の農園にお邪魔して、初めて知り得たことです。ニュースになるような悪天候だけでなく、わずかな天候の変化に気を配り、農家さんの様子を気にかけることも、自然に寄り添ったメニューを提供する上で重要なのだと学びました。
そんな夏、サラダ屋さんであるSWITCHにはもう一つ試練がありました。夏はサラダにとって大事なパーツであるレタスが育たないのです。オープン初年の去年はとても驚いたし、困りましたね(笑)。レタスが手に入らないこの時期、サラダのメイン野菜として大活躍してくれるのがモロヘイヤです。モロヘイヤが生で食べられることを、去年初めて知りました。栄養価が高く、エジプトでは「野菜の王様」とも呼ばれていたモロヘイヤ。砂漠のような痩せた土地でも育つ逞しい葉野菜が今年のような気候でも生育し続けてくれたおかげで、SWITCHでサラダが途絶えることはありませんでした。
常連さんとの「モロヘイヤの季節になったんですね」という会話も印象的です。最初はモロヘイヤのことを知らなかったお客さん。「この葉っぱは一体なんだろう? ネバネバしていて、見た目は桜の葉のよう。でも、とても美味しい」と思いながら食べたであろうサラダボウルを、その後何度もリピートしてくれました。そして、1年経った今年の夏も、その存在を覚えていてくれました。「今の時期はレタスが採れなくて」「モロヘイヤは砂漠地帯でも育つ野菜なんですよ」など、普段あまりお話することがないおひとりさまのお客さんとの会話にも恵まれたので、モロヘイヤには感謝しています(笑)。
このモロヘイヤの生食体験から、その後も野菜の変化に興味を持ってくれるお客さんが増えました。モロヘイヤの収穫期が終わり、代わりにキャベツと水菜が登場し、それぞれの美味しさに気づいてもらえた時は小さなガッツポーズです。初めてこの街にきて、「こくベジフラッグ」を見かけた時には想像もつかなかった、地産野菜をいただくことへの想い。また次の季節も野菜の生育に思いを馳せ、いろんな苦労を乗り越えることで、この想いは更に膨らんでいくことでしょう。その時はまた、こちらでその想いをお届けさせてくださいね。
– Information –
店舗名:SWITCH KOKUBUNJI
住所:東京都国分寺市南町3-22-31 島崎ビル201
マッサージ屋さんの入っている建物2階
連絡先:050-1709-0492
営業時間:火-日 11:00-19:00
定休日:月 (月祝は営業、翌水曜が休み)