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コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2022.07.12. | 

[Vol.4]「面白そう」から自由につながればきっと何かが起きる【AROUND ARCHITECTURE佐竹雄太×Yuinchu 小野】

「建築のハードルを下げたい」という思いをもとに活動の幅を広げているAROUND ARCHIRECTUEの佐竹さん。長く続けるために、大切にしていることがあるそうです。最終回の今回は、Yuinchuの小野とともにその話について深くお聞きしていきます。

興味をきっかけに集まり、つながる

佐竹さんが作った敷地10坪の3階建て自宅兼オフィス、そしてコーヒースタンドには、日々、いろいろな人が訪れるそうです。設計を手がけた建築家の工藤浩平氏が手掛けた建築だと知って見学に来る人、コーヒーを飲みに来る人、佐竹さんのクライアントとしてくる人、ミニギャラリーの展示を見たくてやって来る人。「僕が呼ばなくても誰かしら来てくれるんです」と佐竹さんは言います。

 

佐竹さん:時々外に出すカーブ型のベンチは、鉄工作家の古渡大くんに作ってもらったのですが、彼はイラストもとても上手でTwitterのフォロワーが多いんです。この前、このベンチの画像をTwitterに投稿してくれたのですが、「いいね」がたくさんついて。そこから、ベンチを見たくて来る人も増えました。

この場所にはいろんな人が関わってくれているので、いろいろな興味から人が来てくれています。もしかしたらどこかのタイミングで建築や不動産につながるかもしれない、そういうゆるやかな関係性がいいなと思いますね。

 

小野:佐竹さんは自然に人と人、人ともの、人とスタートのきっかけをつなげていますよね。不動産の周りにある大事なことを考えたり、整理したりしながらチャレンジしていくのが役割だから、佐竹さんのまわりではいつも何かが起きているんだろうなと思います。実際、「AROUND ARCHITECTURE COFFEE」を作るプロジェクトに携わった時に僕も体感しました。

 

佐竹さん:建築家の工藤さんもこの建物を面白がってくれているんですよ。この前は、建築家を2、3人、1階に連れて来て、プロジェクターを使って建築家たちが最近のプロジェクトのプレゼンをしてくれました。僕はお酒を飲みながら見ているんですよ(笑)。

 

小野:えー!それいいですね!

 

地域の人の思いをくみ取りながら形にしていく

佐竹さんらしいやり方で、今、人が集まり、つながっていく場が生まれています。佐竹さんがこの場をつくるために最初にしたのは、「誰かと一緒にプロジェクトや場を楽しむこと」。それが自然とまわりの人をつなげ、仕事にもつなげ、相乗効果を広げているようです。

 

佐竹さん:僕は普段、建築家から仕事を依頼されるので、ポジション的には営業担当だと思うのですが、今は向こうから人がやって来てくれるので全然営業してないんです。建築家たちが来てくれて、コーヒーを飲みながら話をしているうちに仕事の話になって、「では、よろしくお願いします」と帰って行くこともあります。

社会人になりたての頃は、飛び込み営業や電話営業もしました。求められていないタイミングで営業をして心が折れそうになったこともあります。でも今は、誰も嫌な思いをする必要はありません。僕自身も誰かと知り合えることを楽しみながら、結果としてみんなで仕事ができています。人と一緒に何かを楽しんでいると、自分の知らないところまで届けたいことが届いていたりするんです。

 

小野:それは、HYPHEN TOKYOが事業で目指していることと同じです。たとえば僕はコーヒーやバリスタのプロではないけれど、コーヒースタンドやカフェの経営は経験しています。そんな風に、それぞれが自分の道を追求する中で活躍していく姿が見えるし、これからも応援し合っていきたいですね。

コーヒースタンドもカフェも、間口が広くていろいろなスタイルがありますよね。その中でも僕らは、「入口の部分は一緒に作ろうよ」と言っています。

 

佐竹さん:プロジェクトの始まりの部分ということですよね。僕らの仕事だと、入口として、建物づくりを検討している施主さんの話は家族や相続など内容が深いんですよね。僕は、そんな家族のひとりひとりと話をしながら、建築の内容につなげていくのも役割だと思っています。

 

小野:僕たちも、たとえばオペレーションの話で言えば、オーナーと地元の人の間に立って、どうすれば地域にとって喜ばれるものになるかを考えながら形にしています。そんなところにも、共通点はありそうですね。

 

場づくりのスタートはもっと自由でいい

それぞれの立場で、AROUND AROUND ARCHIRECTUE COFFEEに関わってきた佐竹さんと小野。2人はここからどんな未来を思い描いているのでしょうか。

 

佐竹さん:今回、施主として家を建てたことは、僕にとってすごく大きな経験になりました。いつも建築家のことはパートナーとして見ていたのですが、施主側として、「もっとこうなってほしい」という建築業界に対する想いも発見しました。

家づくりって、一生住むことを前提に始める人が多いと思うんです。そう考えると責任が重いプロジェクトです。しかし、僕のこの家に関しては、途中で誰かにつないでいくことを想定しています。だから、構造や空間はこだわったけれど、キッチンやお風呂などの設備面にはお金をかけすぎず、次の人が自由に変えてもらえたらと思っているんです。コーヒースタンドも、もし使いたいという人がいればもちろん応援しますが、その人のしたいように、自由にしてほしいですね。

 

小野:カフェも住宅と同じで、一念発起で作る人が多いですよね。僕は、カフェを、その人が人生で大事にしていることを豊かにするための場として使ってほしいと思っています。

佐竹さんみたいに、自分の自宅兼オフィスに、自分たちの空間や仕事の世界観を見てもらうきっかけとしてコーヒースタンドを始めることが増えてもいいと思うんですよ。文化として広がってほしいですね。もっとカジュアルでいい。

 

佐竹さん:そうですよね。この先何が起こるかわからない時代ですし、もっと自由にカジュアルに出来たらいいんじゃないかと思っています。

オープン以来、僕のお店をご近所さんが応援してくれるんですよ。それがすごく嬉しくて。「ご近所さんから聞いて」「床屋さんで聞いて」「噂で聞いて」といろんな人が来てくれます。これからもゆるやかにいろんな人が来てくれる場所になっていきそうだなと思っています。

自宅をつくる当初から思っていましたが、建築関係の人と地元の人たちがバランスよく立ち寄ってくれる場所にしたいですね。特に初めて訪れた街は自分からコミュニティに入っていかなければなかなか街の実態は見えませんが、そこまでのハードルが高い。

でも、コーヒースタンドで待っていれば、人が来てくれて、「街が場に変わる瞬間」が訪れます。街が、人との会話を通して見えてきます。コーヒー一杯で、街の人たちを知っていくことができる。そういう今の場所が気に入っています。

 

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ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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